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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
一章

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40/185

40 獣の眷族 その2

前回のおはなし:獣の眷族と戦闘中。


6月13日前後に「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売になります!

どうか、よろしくお願いします。

「ここは俺に任せて先に行けと~」の2巻も発売中です!

「ピギイイイイイイ」

 フルフルが叫びながら獣の眷族の六本足の切断面を体で覆う。

 すると再生が止まった。

 金色の煙をフルフルは吸収し、再生を阻害しているようだ。


「メエエエエエ!」

 子ヤギは鳴きながら、小さな角から魔力弾のようなものを出す。

 それが飛ぶ速度はあまり速くはない。獣の眷族の足が健在ならばあたらなかっただろう。

 だが、今は足は全て切断済み。

 全身を使って地面を跳ねるしか獣の眷族には避けるすべがない。

 子ヤギの攻撃は、容易く獣の眷族にあたる。


 あたった瞬間「バシュン!」という音が鳴り、獣の眷族の体、その肉が弾けてえぐれる。

 えぐれた部分から血と金色の煙が吹き出た。


 えぐれた部分は直径〇・一メートルほど。

 体高十メートルの獣の眷族にとって大したダメージではないのだろう。

 十秒足らずでえぐれた部分の再生は終わる。

 だが子ヤギは、魔力弾のようなものを高速で連射している。


「メエエエエエエエエエ! メエエエエエエエ!」

「GAAAAAAAAA」

 子ヤギの与えるダメージは、獣の眷族の再生スピードを上回る。

 獣の眷族は苦しそうに咆哮しながら、金色の魔力弾を口から放つ。

 だが俺の水球に遮られて効果はない。


 フルフルの浸食も再生速度を上回っている。

 アルティも手を緩めず斬撃を繰り出している。

 どれも致命傷には至らない攻撃だが、手数を増やすことで再生を上回っていく。


「その調子だ!」

「はい!」「ピギ!」「メエエエ!」


 特に子ヤギの攻撃は素晴らしい。

 遅いので、動きを封じた後でなければ使いにくいが、効果は絶大だ。


「GUAAAAAA」

 獣の眷族は大きく咆哮すると、あろうことか俺の水球を飲み込んだ。

 このままだと、じり貧だと考えて焦ったのだろう。


 最大の勝機だ。俺は獣の眷族の体内に入り込んだ水球を支配し続ける。

 御曹司たちと違い、獣の眷族は魔法抵抗が高い。

 俺の全力でも支配し続けるのは容易ではない。


「GAAA」


 頭を覆う水球が失われたことで、口から金色の魔力弾を放たれ始めた。


「ピギイイイ!」「メエエ!」

 至近距離にいたフルフルはまともに食らって、吹き飛ばされる。

 少し距離のあった子ヤギはかろうじて直撃を防いだが、左前足を負傷した。


 俺は水球を支配し続けることに魔力をつぎ込む。必然、防御がおろそかになる。

 金色の魔力弾を防ぐために、薄い障壁しか張らない。いや、張れないのだ。

 当然のように、障壁は簡単に砕け散る。即座に張りなおす。

 金色の魔力弾一つにつき障壁一枚消費する。

 障壁を使い捨てながら、俺は水球を動かして獣の体内を探っていった。


 その間も金色の魔力弾が俺を襲う。

 障壁は簡単に砕け、金色の魔力弾の破片が何度も体をかする。

 そのたびに激痛が走った。


「これで終わりだ!」

 獣の眷族、その魔力の核となるコア。

 生物で言うところの心臓近くまで、ついに水球が到達した。


 すかさず俺は土まみれの水球を爆発させた。

 水神の力。つまり浄化と癒しの力。土神の力。つまり植物など生物を育てる力。

 その神の力を帯びた水球だ。


 獣の眷族のコアを貫き、砕いた。


「GIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


 厄災の獣の眷族は断末魔の悲鳴を上げる。

 傷口から常に発せられていた金色の煙が消え去る。

 そして全身が灰のようなものへと変わっていく。


「倒せたのでしょうか……」


 アルティは警戒しながら剣を構えたままだ。


「ぴぎ……」「めぇ……」


 フルフルも子ヤギも巨大化を解除せず、身構えている。


「ああ、安心しろ。倒せたはずだ」


 転がっているのは三つに砕けたコアと灰。それ以外は何も残っていない。

 倒せたと思った瞬間、気が緩んだのだろう。

 一気に疲労が押し寄せてくる。


 だが、油断はできない。周囲に敵がいないか、魔法で探知する。

 いないことを確認すると、すぐに休みたくなるが、治療と解呪も大切だ。

 俺もアルティも、子ヤギもフルフルも獣の眷族の金色の魔力弾がかすっている。

 傷つき死に至る呪いを受けているのだ。


「とりあえず、治療と解呪だ」


 俺はまずアルティに治癒と解呪の魔法もかける。


「あ、ありがとうございます」

「あとで医務室にも行っておいた方がいい」


 治癒はともかく解呪は少し難しかった。疲れている身には少ししんどい。

 続けてフルフルと子ヤギにも治癒と解呪の魔法をかけておく。


「ぴぎ!」「めえ」

 フルフルと子ヤギは嬉しそうに鳴いた。

 そして、最後に自分に同様の魔法をかけて治療は終わる。


 無事治療を終えると、俺は地面に尻をつき、足を伸ばして座った。


「めちゃくちゃ疲れた」

「お疲れさまです。私も疲れました」

「アルティ、お疲れさま。フルフルと子ヤギもお疲れ」

「ぴぎぃ!」「めぇめぇ!」


 フルフルと子ヤギが元の大きさに戻って俺の足の上に乗って来た。

 とりあえず、撫でる。


「ああ、そうだ、コアと灰も回収しておこう」

「そうですね、それは私がやっておきます」

「ありがとう」


 アルティは獣の眷族の砕けたコアと灰を拾って鞄に入れる。

 灰は大量にあるのでその一部だ。

 残った灰はフルフルが再び巨大化して処理してくれた。働き者のスライムである。


 それが終わるとアルティと小さくなったフルフルは、俺の横に来て座る。

 フルフルは座るというか、俺の足の上にのってプルプルしているだけなのだが。


「強かったですね」

「ああ。人から魔人に。魔人から獣の眷族に二段階変化されるとは思わなかった」

「はい。私もこのケースは聞いたことありません」


 どうやら珍しいケースらしい。

 帰ったら、魔人について知られている知識を詰め込まなければなるまい。


 そんなことを考えていると、アルティは俺が作って与えた剣を差し出した。


「ウィル。素晴らしい剣でした。今までに使ったどの剣より使いやすかったです」

 激しい戦闘のあとだからか、アルティもいつもより饒舌だ。


「それなら良かった。その剣はそのまま持っていてくれ」

「よいのですか?」

「もちろんいい。だがその剣は急ごしらえだから耐久性がな。今度新しい剣を改めて作ろう」


 耐久性と言っても、折れやすいという意味ではない。

 時間的な劣化が早いという意味だ。腐食も早い。

 そういう耐久性を犠牲にして、鋭利さと折れにくさを高めたのだ。

 ひと月もたてば、今の性能の八割程度になってしまう。


「ありがとうございます。でもいいのですか?」

「もちろんだ。アルティが強くないと俺も困るからな」


 これからアルティと一緒に戦う機会も増えるのだろう。

 戦力は多い方がいい。


「それにしても眷族如きにこれだけ苦戦していたら、テイネブリス本体に勝つのは無理だな」

 本体と戦うまでにはこれまで以上に成長しなければならない。


 そう考えて俺は決意を新たにした。

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