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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
一章

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15/185

15 御曹司との再会

5/21再び改稿しました。ティーナとの再会がまた今度になりました。



もう一つの拙作「ここは俺に任せて先に行けと~」の2巻が発売になりました!

どうか、よろしくお願いします。

 勇者の学院の入試会場に来てまで、本家の御曹司にかまってやる筋合いはない。

 俺は無視してロビーを歩いて、奥へと進む。


 ロビーには御曹司以外にもたくさん人がいた。全員が受験者なのだろう。

 受験生の年齢は、上は三十歳前後の者から、下は十代の者まで幅広い。

 受験生の中には元から知り合いだったものも多いようだ。談笑している。

 恐らく、騎士や賢者の学院を卒業ずみの受験者だろう。


 受験生の平均年齢は、それなりに高い。御曹司たちは若い方だ。

 そしてどうやら、今日の受験者には俺より若いものはいなさそうだ。


「ヴォルムス本家の嫡男に逆らったんだ。とりあえず頭を下げる必要があるんじゃねーか?」

「ああ、ヴォルムス本家の俺たちに逆らったんだからな!」


 御曹司たちはヴォルムス本家というとき、声を大きくした。

 俺をいじめるついでに、周囲の受験生に自分の存在をアピールしているのだ。


 恥ずかしいので、本当にやめて欲しい。

 今の俺はただのウィルとはいえ、前世は最も有名なヴォルムスなのだ。

 ヴォルムスを名乗るものが恥ずかしいことをすると、俺も恥ずかしくなる。


「おい、ヴォルムスだって?」

「本家の公子って、二人とも守護神が四柱いるという、あの?」


 アピールは効果があったようだ。受験生たちがざわめいた。

 間抜け面の御曹司たちに守護神が四柱というのは意外だ。

 御曹司たちは、いわゆる才能がある方なのかも知れない。


 どの神かは知らないが、見る目がないにもほどがある。

 御曹司に加護を与えるぐらいなら、俺に加護をくれればいいのに。


「おい! 無視してんじゃねーぞ」

 十五歳児に怒鳴りつけられる。


 相手にするのも面倒だ。言葉をかける価値もない。


「喧嘩か?」

「あんなに小さい子なのに、入試前に痛めつけられたら可哀そうだ」


 そんなことを受験生たちが話している。

 それを聞いて、御曹司たちは機嫌がよくなったようだ。


「おい、クソガキ。土下座したら今は見逃してやるよ」

「ああ、あとでたっぷり痛めつけるのは変わらないがな。手心加えてやってもいい」


 無視して進もうとしたのだが、肩をつかまれた。


「おい、聞いてんのかクソガキが!」

「……土下座するわけないだろうが」


 俺が反抗的な言葉を発すると思わなかったのだろう。

 十五歳児はきょとんとする。


「……え?」

「え? じゃねーよ。お前の方がよほどクソガキだろうが」

「て、てめえ」

「ヴォルムスの恥さらしが。これ以上家名を汚すな」


 俺が怒鳴りつけると、御曹司たちは顔をひきつらせた。

 そして、数瞬固まったあと、顔を真っ赤にさせた。


「もう、許さねえからな!」

「ぶっ殺してやる!」


 語彙力ない罵倒。むしろ心地が良いくらいだ。

 暴力を振るわれたら、身を守るために適度に反撃してやればいいだろう。


 だがダナンはいつものように俺に暴力を振るわなかった。

 ここは勇者の学院。ヴォルムス本家の権力が及ばない場所だとわかっているらしい。


「クソガキ。お前も守護神寵愛値測定したんだろう?」

「ああ、したな」

「なに、兄上に対等な口をきいてんだ!」

 イヴァンがわめいているが気にしない。


「クソガキ。守護神は何柱だったんだ?」

「おい、クソガキ、早く答えろよ。ちなみに俺と兄上は四柱(よはしら)だ」


 イヴァンはそういいながら、周囲の受験生たちを見た。

 イヴァンは受験生に聞かせたかったのだろう。

 自分とダナンが守護神を四柱持っているということが自慢なのだ。

 イヴァンの思惑通り他の受験生たちが少しざわめいた。


「やはり四柱持ちという噂は本当だったのか」

「流石は高名なヴォルムス家だ」


 やはり守護神四柱持ちは、勇者の学院の受験生でも珍しいようだ。

 受験生たちの会話が気に入ったのだろう。上機嫌のイヴァンが煽ってくる。


「おい、クソガキ、さっさと何柱だったか答えろよ」


 イヴァンは俺が四柱より少ないと確信しているようだ。

 そして、残念ながらイヴァンの確信は当たっている。


一柱ひとはしらだ」


 隠してもすぐにばれることなので、正直に俺ははっきりと言った。

 その瞬間、ダナンとイヴァンは満面の笑みを浮かべた。


「ん?」

「なんだって? もう一回言ってくれ」


 ダナンは聞こえただろうに、大きな声で復唱を要求してくる。

 周囲の受験生にも聞かせたいのだろう。だが、俺の声は、他の受験生にも聞こえている。

 そのぐらいの声量で、俺は話しているのだから。


 受験生たちは、少し同情的な目を向けてくる。

 そのほとんどは悪意の含まれた同情ではない。

 受験生には努力して技量を高めてからの再受験組も少なくないのだ。


「ほらほら、早く言うんだよ」「はっきりと言え。何柱だって?」

「聞こえなかったのか? 頭だけでなく耳まで悪いんだな」

「……は?」


 煽っておいて、煽り返されることが意外だったのか、ダナンはきょとんとした。


「てめえ、クソガキ! 兄上に向かってなんていう口の利き方を……」

「売春婦の息子が!」

「売春婦の息子のくせに調子に乗りやがって!」


 母がそのようなことをしていた事実はない。

 だが、母の身分は高くはなかった。

 そんな母が父を射止めたことを、口さがない者たちの中には陰口を叩くものもいた。

 曰く身体を使ってどうのこうのとか、そういう品のない噂だ。

 だからダナンは売春婦と言ったのだろう。


 さすがに母を侮辱されて、黙っているわけにはいかない。

 俺はポケットから手袋を出して、ダナンの顔面に投げつけた。


 昔ながらの決闘の申し込みだ。

 様子をうかがっていたほかの受験生たちが一斉に大きくざわめいた。

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