131 総長室での相談
二巻が三月十二日ごろから店頭に並び始めます。どうぞよろしくお願いいたします。
教団の一大攻勢を凌ぎきって、後片付けを済ませた俺とディオン、レジーナは学院へと戻る。
もちろん、シロ、フルフル、フィー、ルーベウム、ドゥラも一緒だ。
俺とレジーナはルーベウムに乗り、ディオンはドゥラに乗っている。
学院に到着すると、すぐにディオンがドゥラの住む家を建てるように指示をだしはじめた。
そうしてからドゥラを連れてワイバーンたちの宿舎へと連れて行く。
「ドゥラさん。申し訳ありませんが、しばらくはこちらで……」
「ダイジョウブ。カイテキ」
「遅くとも二、三日中には完成すると思いますので、お待ちください」
ドゥラは家が完成するまで、ワイバーンたちの宿舎に一時的に寝泊りすることになった。
自分たちよりずっと強いドゥラの登場にワイバーンたちは緊張して落ち着かないようだ。
それでも、吠えたり暴れたりしないのは流石学院のワイバーンである。
落ち着かない様子のワイバーンをみて、ディオンが丁寧にドゥラのことを紹介する。
それでもワイバーンたちは落ち着かない。
そこでドゥラがワイバーンたちの顔を舐めて回った。
「ヨロシク」
「グルルルル」
顔を舐めるというのは上位の竜において、仲間として認めるという意思の表明である。
ドゥラに仲間と認められたと本能レベルでワイバーンに伝わったのだろう。
途端にワイバーンたちは大人しくなった。
ドゥラとワイバーンたちが仲良くなったので、俺たちは安心して総長室へと向かう。
しばらく総長室で待っていたが、ゼノビアはなかなか帰ってこなかった。
ゼノビアはアルティたちを迎えに行ったので当たり前なのだが。
だから、俺は心配することなく、ゆったりと総長室の座り心地のいい長椅子に座る。
座る際に、当然のようにレジーナが俺を後ろから抱きかかえてきた。
レジーナは身長が低く体が小さいので、自分より小さい子をかわいがりたいのだ。
俺の頭を撫でながらレジーナが言う。
「師匠はかわいいねー」
「失礼ですよ」
即座にディオンがたしなめた。
ちなみにディオンの頭の上にはシロが乗っている。フルフルは俺のひざの上だ。
「いや、俺も今はただの子供だ。気にしなくていい」
「師匠がそうおっしゃるなら」
「ふふん」
レジーナは機嫌よく俺の頭を撫でている。
俺はとても疲れていたので、ついウトウトし始めた。
なんといっても、俺は八歳児。眠くなっても仕方のないことだ。
ディオンが何か言っていたが、とりあえず任せると言っておく。
どのくらい、時間が経ったのか。
目を覚ますと、まだ俺はレジーナに抱っこされたままだった。
「ゼノビア、遅いねー。何かあったのかな? 師匠どう思う?」
レジーナがそんなことを尋ねてくる。
「どのくらい経った?」
「二時間ぐらいかなー?」
うとうとしている間に、そんなに経っているとは。
いや、もはやうとうとではない。完全に眠っていたようだ。
子供なので仕方ないことではあるのだが。
だが、眠ったおかげで少し目がさえた。疲れもかなり取れた気がする。
流石は子供の肉体だ。回復も早い。
「……ゼノビアはアルティたちと合流して一緒に帰ってくるんだろう?」
「そうだけど」
「それなら遅いとまではいえまい」
俺たちとアルティが分かれた場所からは、ワイバーンを全力で飛ばして五時間かかるのだ。
アルティたちもそこから、こちらに向かっている。
そして、こちらからはゼノビアが迎えに行っている。
双方が全力で合流を目指したとしても、合流するまでに二時間程度はかかるだろう。
しかもゼノビアのワイバーンは色々飛んだので疲れている。
ワイバーンの体力も考えて、ゼノビアは全速力では飛ばすまい。
時間が多少かかるのは当然である。
それにゼノビアは自分の弟子であるアルティと通話の指輪で連絡も取れる。
合流に手間取ることもあるまい。
それに当然ゼノビアはこちらとも連絡は取れる。何かあればすぐに連絡が来るはずだ。
だから特に俺は心配していない。
だが、レジーナは心配そうにつぶやく。
「ちゃんと合流できたかなー」
「一応、念のために状況を聞いてみましょうか」
ディオンが通話の指輪を起動する。
「ゼノビア。そちらの様子はどうですか?」
『ああ、こちらは大丈夫だ。アルティたちと合流して帰還中だ』
「そうでしたか。こちらは学院に到着済みです。急がなくてもいいですよ」
『そうか。それなら……。到着時間を明日にしても大丈夫か?』
「構いません。何かトラブルでもありましたか?」
『いやトラブルではないんだが、私の乗って来たワイバーンが疲れていてな……』
ゼノビアが乗っているワイバーンは全力移動の連続だった。
疲労して当然である。
「そうですね。その方がいいでしょう。こちらは任せてください」
『ディオンすまない。任せる。……ところで師匠は?』
ゼノビアが師匠と口にしたということは、近くにロゼッタとティーナはいないのだろう。
だから俺も気兼ねなく話しかける。
「ああ。聞こえている。ゼノビア、気を付けてくれ」
『はい。お待たせして申し訳ありません』
軽く会話をして通話を終える。
それから、さらに五分ぐらい経って、ミルトが総長室に入って来た。




