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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
三章

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124 魔人対八歳児 その2

12月12日ごろ、1巻が発売です

 魔人の右手から俺の右腕を攻撃するための魔法が放たれたはずだ。

 だが、はじけとんだのは魔人の右腕だった。


「なん……だと……」


 魔人は驚愕の表情を浮かべてつぶやく。


「ざまぁ」


 俺は全てがわかっているふりをする。

 魔人を煽るように笑って、後ろに跳んで距離をとった。


 だが、驚愕しているのは俺も同じだ。

 魔人の右手を攻撃して、俺の右腕を解放して逃げようとしていた。

 そして失敗したのだ。


 俺は右腕が吹き飛んだあと、いかに回復して立て直すか考えていた。

 だが、俺の右腕は無事で、吹き飛んだのは魔人の右手。


 俺は自分の右腕を見る。

 すると、極々薄い膜に覆われていた。

 俺自身、まったく気づいてすらいなかった。


(ぴぎ)

 フルフルが小さな声で鳴く。


(ありがと、助かった)

 俺も魔人に聞こえないぐらい小さな声でお礼を言った。


 フルフルは魔人の攻撃魔法を自分の身体で防いでくれたのだ。

 フルフルが俺の身体を覆ったのは魔人に俺が腕を握られるずっと前。

 恐らく、ルーベウムの背から飛び降りたときである。


 俺とフルフルは魔力の相性がいい。魔力の質がとても似ているのだ。

 だから、体を覆われても違和感がなかった。

 それでも平静時なら気付いただろう。


 だが、魔法で体を強化し超高速で落下。そして魔人との激闘。

 皮膚感覚のわずかな違いに注意を払う余裕がなかった。

 だから、フルフルが俺を守ってくれていることに気づかなかった。


「……ありえん! 何をした!」


 魔人が怒りと驚愕の混ざった表情を浮かべながら叫ぶ。


「今すぐ死ぬお前に教えて何か意味があるのか?」


 すべてを知っているような顔で勝ち誇っておく。

 実は俺もよくわかっていないのだが。


 恐らくだが、フルフルは俺の身体の広い範囲を覆っていたに違いない。

 そして、俺の右腕が掴まれそうになった瞬間、右腕を集中して守ってくれたのだ。


 魔人の右手が吹き飛んだということは、フルフルは守っていただけではないのは確かだ。

 以前、獣の眷族テイネブリスの尻尾と戦った時。

 フルフルは獣の眷族の傷口を身体で覆い、吹き出る金色の煙を吸収し再生を阻害していた。


 獣の眷族が再生のために傷口から噴き出させた金色の煙は、魔人の靄に少し似ている。

 もしかしたら、フルフルは魔人の表面を溶かし、靄と化した部分を吸収したのかもしれない。


 魔人が体を再構成している最中、ずっとフルフルは魔人の右手に触れていた。

 そして、魔人の皮膚と肉体を溶かし吸収し、かなり深く食い込んでいった。


 そのため再構成した魔人の魔力回路がおかしくなったのだ。

 それゆえ魔人の魔法は暴走し、まともに発動せず、魔人の腕の中で暴発した。

 フルフルも狙って同じことをするのは難しいだろう。


「……舐めやがって下等生物が。死ぬのは貴様だ!」


 魔人は叫んで俺に襲い掛かってくる。

 爆発した魔人の右腕は徐々に再生を始めていた。

 そして、魔人の全身は黒い炎に包まれている。


 黒い炎は、魔王「厄災の獣」系列の魔法である。

 呪いが込められているので触れたくない。

 俺は対応するため、魔人から距離を取る。


「逃がさぬ!」


 魔人が黒い火球を連続で撃ち込んできた。

 俺は黒い火球を躱すために横に飛ぶ。魔人を中心に円を描くように移動する。

 俺がいた直前の地面に黒い火球が着弾し、土を燃やし溶かす。


「ちょこまかと!」


 魔人は同時に三十程の黒い火球を出して自分の周りに浮かべた。

 そして魔人が右手を動かすと、地面から円形に高さ三メートルほどの黒い炎が噴き出す。

 円の半径は十メートルほど。

 俺と魔人は、黒い炎の円の中に閉じ込められた格好になった。

 まるで黒い炎の檻である。


「もう逃げられまい」


 そういって、魔人は嬉しそうに笑う。いやらしい笑みだ。

 黒い火球を撃ち込みながら、黒い炎の檻を仕掛けていたのだろう。


「逃がさないってのは、こちらのセリフだ」


 そういうと俺は一気に間合いを詰めた。

 魔人のこめかみを目掛けて右足で全力で蹴りとばす。

 とっさに魔人は俺の右足を左腕で受け止め掴む。


 俺は一瞬笑みを浮かべてみせてみた。

 慌てたように魔人は俺の右足を離して距離を取る。


 掴んでいた腕がフルフルによって吹き飛ばされたことが、魔人の脳裏に浮かんだのだろう。

 それに今の魔人は全身が黒い炎に包まれているのだ。

 蹴ることによって、黒い炎に触れた。

 呪いの込められた黒い炎に触れて、無事のはずはない。

 だが、俺は無事である。

 フルフルが薄く全身を覆ってくれているからだ。


 魔人は、俺がなぜ無事なのかわからないのだ。

 警戒して当然である。


「反撃の絶好の機会だっただろう? 俺の足を掴まなくてよかったのか?」

「……抜かせ!」


 俺の身体は掴めないと魔人に印象付けた後、俺は打撃を加えていく。

 拳をふるい、蹴り飛ばす。


 魔人は俺の身体を掴みたいのだろう、だが掴めない。

 だから巧みな体術でかわそうとする。

 身体能力は八歳の俺より魔人の方が上だ。

 だが、神々により修行をつけられた俺の方が体術の技術自体は上だ。

 虚実織り交ぜた俺の打撃は的確に魔人をとらえはじめた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とっても面白いです。 [一言] これからも楽しみにしてます♪
[良い点] フルフルすげぇ!(喜) 魔人ざまぁ!(笑) [気になる点] 八歳師匠…余裕ぶってるケド、危なかったネ(驚) [一言] さて…そろそろ誰か追い付かないかな? まぁ…追い付いたら追い付い…
[一言] 八歳児「さまあ」 メッキが剥げて地金が出てきてますよ 戦闘中で煽るのも戦略のうちとは言えども
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