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ばす

夜、バスを待っている間に携帯小説を読んでいた。

ホラー小説であった。

ホラーものらしい背景で、黒い画面に悪趣味な装飾が施されていた。

画面が黒くなったおかげで、光の反射で私の顔や後ろに並ぶ人の姿がよく見える。



私は携帯小説を読むよりそちらが気になって、髪型を直したり後ろのバスを待つ乗客の行動を盗み見たりした。

存外に見られていないと思っている人間の行動は面白いものである。私のように携帯電話をいじってくすくすと笑っていたり、時計を確認して苛立っていたり、無防備な姿は滑稽に映っている。


画面の右下。そこにフードを被った男性が歩いてきた。

その男性は、パーカーの腹に付いているポケットからバタフライナイフを出していた。


ナイフの切っ先は鈍く銀色だった。


フードを被った男性はこちらに向かってくる。


足音はあまり響かず、砂を踏む音だけが濃厚だ。


男性は近づいてきた。徐々に、画面に写る顔の面積が広くなってきた。そのリズムは、砂を踏む足音と同調していた。


男性の顔が、携帯電話の画面の縦三分の一ほど写り込んだときに足音は止んだ。

すると、私のすぐ後ろにいた男子高校生が、奇怪な悲鳴を上げた。先ほど携帯電話を弄って笑っていた少年である。

少年が倒れた時。フードの男性と、携帯の画面越しに目があった。

男性はどろりと笑い、夜の闇に消えていった。

後ろを振り向くと、アスファルトに男子高校生が転がっている。








バスがやって来た。男子高校生以外の待ち人は、全員乗車した。






バスは、定時に発車した。

バスを待っている間の出来事でした。


主人公が妙に達観し過ぎている割にはケータイ小説を読んでいるというちょっぴり若者めいた一面も。


主人公は何者なのでしょう。


僕にも分かりません。

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