はじまりはじまり
むかしむかし 大陸には人間の国がありました
人間の国では特に秀でた才もなく、欲もなく、皆が助け合って等しく生きていました
ある日 1人の少年が友達が欲しいという欲を持ちました
少年はずっと寂しかったから
少年は来る日も来る日も友達を作り続けました
やがて少年にそっくりな友達が出来上がりました
友達を人形と名付け少年と人形は旅に出ました
そうして“人形の国”が出来ました
ある日 1人の少女が空を飛びたいという欲を持ちました
少女はずっと空を見上げていたから
少女は来る日も来る日も風を感じました
やがて少女は風を操る力を身につけました
風を操る力を魔法と名付け少女は空を飛んで行きました
そうして“魔法の国”が出来ました
ある日 1人の青年が速く走りたいという欲を持ちました
青年は届け屋をしていたから
青年は来る日も来る日も走り続けました
やがて人間には無い獣の身体を得ました
青年は獣人と呼ばれ恐れられたので大陸の果てを目指しました
そうして“獣の国”が出来ました
大陸に4つの国が出来た時 人間は羨み妬む“嫉妬” 人のモノを欲しがる“欲求”という感情を得ました
長い月日が経ち 人間の国にこの世で最も美しい女王が誕生しました
ですが 女王も年を取りその美貌が失われつつありました
美しいことに執着した女王は 人形の国1番の人形技師に元の美しい体に作り変えるように言いつけました
人形技師は断りました
人間の体を人形にすることは禁止されていたから
人間は欲深く恐ろしいから
永遠に生きてはダメなのです
女王は怒り狂いました
そして言いつけました “人形の国を滅ぼせ” と
たくさんの人形が壊れました
たくさんの人間が死にました
たくさんの涙が流れました
依頼を断った人形技師は大事な人形を人質に取られてしまい 女王を人形に作り変えました
女王は歓喜しました
人形技師は哀しみました
そして自分の命を断ちました
人形技師の大事な人形は荒れ狂い たった1人で人間の国に戦を仕掛けました
その人形はとてもとても強かったのです
幾千幾万もの屍を積み上げた後 人形はひっそりと姿を消しました
こうして人間の国に平和が訪れました
はじまりはじまり
よろしくお願いします。