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第16話(1章) … 先輩3

…あの後、お互いの"札"同士の認証を済ませたレイラさんは『職場に戻らなきゃ』と言って部屋から出ていった。


因みに"マリー"も一緒に出て行った。


まあ、マリーはこのアパート(?)で飼われている存在だから、レイラさんの職場に付いて行ったわけではないだろうけど。


レイラさんの職場…恐らく俺が最初に寝かされていた建物…あそこが職場なのだろうと推測できた。


その際、彼女は『明日の朝、また迎えに来る』と言い残していった。


というわけで今は急に与えられた"第3の自室"に独りでいる。


取り急ぎしなければいけないことがあるわけじゃないから、せっかくなので"俺が起きてから起きたこと"を整理していた。


何せ昨日の今時点では想像もしていなかった事ばかりが起きているのだ。


話をしている最中は内容一つ一つを咀嚼して進めていたつもりではあったのだが、それでも見知らぬ部屋に独り残されている異常な現状が俺を素に戻らせ、改めて色々思い返さざるを得ない気持ちになる。


他にレイラさんが話していたこと…。


そう言えば、この世界の"魔法"や"魔術"についても、この部屋までの道中に少しだけ話した。


尤も、詳細は"実際に使用する段"になった時に逐一確認した方が分かり易いということで、話自体はざっくりしたものだったが。


簡単に言えば、魔法や魔術の類は使おうと思えば誰でも使えるということ。


確か、魔法の使用や魔術の発動は自らの力を変換する形で具現化するということだった。


話を聞く限り、ゲームでよくあるような設定…HPとMPがそれぞれ独立しているようなことはないらしい。


そんな"ゲーム脳"みたいなことを言ったら『そんなわけないじゃないですか』と笑われてしまったな。


まあ、言われてみれば当たり前だ。


仮に体力的に疲弊しきっている状況…要するにHPが枯渇しかけた状態だけれどMPは満タンだから強力な魔法も使用出来る、なんて少し考えれば可笑しな事だって分かる。


動き回って疲れる事も、魔法を使って疲れる事も、"自分の力を使った"という意味では同じということだ。


但し、"同じ規模の同じ魔法"を違う人間が使った時に、"同じだけ力を消費するとは限らない"とも言っていた。


魔法は使用者の力そのものを変換して使用する。


この"変換"というのがポイントで、例えば"10"という規模の効果を発揮する魔法を使うのに"10"という力が必要な者もいれば、それが"20"の者も"5"で済む者もいるということらしい。


その辺が"適正"ってことみたいだ。


適正が高ければ高いほど、支払う代償は少なくて済む、と。


まあ、こればかりは使ってみないと分からない部分も大きいようだけれど。


他には…ああ、そうそう。


"こちらとあちら"の間での転移について。


行動は基本的に自由と言っていたけれど、それは"こちらとあちらの行き来"も含む話みたいだ。


尤も、これに関しては"制約付きの自由"ということになるのだろうけど。


俺は向こう側では大学生をしなきゃならないし、恐らくこちらでも何かしらすべき事はあるだろう。


その条件の満たした上での自由が保証されているという意味だと受け止めている。


まあ、その上で行き来する際には何処でも転移出来るというわけではなく、こちらから転移するには"祭壇"からでないと出来ないそうだ。


これは話の最初の方でも言っていたけれど、波動が干渉し合うことで行き来してしまう状況になってしまったわけだから、当然と言えば当然だった。


向こう側の"ポイント"と、こちら側の"祭壇がある場所"の波動が関係してるわけだから。


正確には他に、"俺自身の波動"もだけれど。


とは言え、こちらから転移する時の転移先はある程度狙って転移出来るらしい。


"ある程度"というのは、向こう側の世界にはポイントが複数あるわけだが、狙って転移出来るのは"元々転移してきたポイントの範囲に限る"という条件があるからだ。


俺は日本にあるポイントの影響下から転移してきているわけだから、こちらから戻る時には同じように日本のポイントにしか戻れない、というわけだ。


それに、同じポイントの影響下であれば転移先は自由なのは確かだが、それでも実際はそう簡単な話じゃないことくらい、これだけ話を聞けば誰でも分かる事だ。


実際に内容を聞いたからこそ尚更そう思う部分も大きいのだが、"19歳講習"の18歳以下の者への情報漏洩が全くない時点で、これを18歳以下の者に知られてしまう事は、イコール何らかのペナルティがあるということは確かだろう。


それも、結構なペナルティが。


でなければこのご時世、これだけの情報統制なんて出来るわけがない。


となれば安易に転移先を選ぶのは自殺行為かも知れないわけで、必然的に転移先は限られることになる。


「ま、この"転移"を使った瞬間移動的な裏技は使えないだろうな。」


こちらとあちらの転移を利用して、あちらの場所移動を瞬時に行うことが出来たら便利だろうけどな…


そんな想像をして、俺は思わず苦笑した。


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