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第11話(1章) … 講習8

レイラさんの『場所を変えましょう。』という提案に乗り、今はその道中。


移動手段は徒歩。


ほんの少しだけ、移動魔法とかそういうのを期待していたが、流石にそれはなかったか。


勿論、その間も話は続いているのだか。


「そう言えばレイラさんもそうですけど、こちらの世界の住人の方たちは日本語で会話してますが…。」


そう、もっと早くから疑問を持つべきだった。


そもそも俺とレイラさんが普通に会話出来ているのは変だ。


ここは平行世界なのだから、日本語なんて言語が存在しているとは思えない。


それに、今は場所を変えるために街を歩いているわけだが、街の人々も普通に日本語で会話しているのが聞こえてくるのだ。


「それも"魔術"のおかげですよ。」


何とも魔術というものには感心させられる。


「久保さんから発せられる言葉はこちらの言語に、そして久保さんに届くこちらの言語は久保さんの母国語に変換される魔術が発動しているのです。」


「いつの間にか、そんな魔術が僕にかけられていたんですか?」


俺が寝ている間だろうか?


そんなことを考えているとレイラさんは…


「いえいえ、久保さんに魔術がかけられているわけではありませんよ。後でちゃんとネタばらししますからご安心ください。」


何かトリックがあるのか?


まあ、待ってれば説明してくれそうだし、今は考えないことにする。


「話のついでに言っておくと、この世界は単一言語の世界なんですよ。何百年か前までは複数の言語があったらしいですけどね。」


そうなのか。


"ここも地球"なわけだから、土地は広大だ。


国だっていくつもあるはず。


住んでる人の数だって、相当数いるだろう。


それなのに単一言語というのは意外だ。


「但し、通貨は複数通貨が採用されています。複数の国で共通通貨を使用している所もありますが、多くは国ごとに通貨が異なりますね。」


なるほど。


単一通貨体制には先細りの未来しかないと言うからな。


「言葉には困らない…通貨は概ね国ごとに異なる…と。」


「ですのでこちらの世界で言葉に困るということは殆どないと言っていいでしょう。通貨については換金率などは確認が必要でしょうが、初めから国を跨いで飛び回るようなことは無いでしょうから、こちらも追々で問題ないでしょう。」


そんな話をし、途中でお茶を飲んだりしながら目的地に到着する。


因みに飲んだお茶は、所謂ハーブティーみたいな感じだった。


日本茶や紅茶などとは、ちょっと趣が異なる。


こちらの世界では、こういったお茶が主流らしい。


勿論、代金はレイラさん持ち。


俺はこちらのお金を持っていないんだから当然だが…。


さて、到着したのは今まで歩いてきた街並みの中では比較的大きめのレンガ造りの建物。


似たような窓が並んでいる様子。


これは恐らく…


「もしかして、ここは俺の住まいになるんじゃないですか?」


「はい。ここは私も住んでいる、久保さんの住居です。」


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