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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
始まり始まり
9/444

9.騒動を起こそう

 "メア(英語:mere)"


 ふつうはこの英語は完全に成長した

馬やロバのメスのことを指す。これは

古来から残っている「馬」を意味する

英語から派生したものであるが、今回の

これはラテン語から派生した方の意味で

使っている。ラテン語から派生したこの

英語は天文学で使われ月や火星の「海」を

意味する。だが、その海は綺麗な青色を

しているわけじゃない。単純に穴がボコッと

開いているだけであり、光が届かないため

月や火星の「海」は表面の暗黒部分という

意味に現在は捉えられている。


 そして、メアを「膨大な闇」という意味に

捉えなおしたことで創造された言葉こそが

『ナイトメア』。日本語で『悪夢』である。 


「へー。詳しいんだねー」

「………………………」


 いつからいたんだお前。自称巫女。


「「膨大な闇」ってとこから」


 今回に関しては、俺は何も言ってない。

なんなんだコイツ……怖いよシンプルに。


「そういえば、ミキちゃんとその周りの

 人物にお化け騒動のこと、ちゃんと

 話したのか?」

「もちろんだよ。君が私のことを信じて

 こうやってコワイお化け騒動のことを

 広めようとしているんだもの。巫女の

 私もそれに加勢しなくてどーするの」


 あぁ、そういえば、俺からも他の人に

お化け騒動アレコレを言っておくって

約束してたんだっけ。ターゲットが今回は

相澤ただ一人だからそんなことする必要が

ぶっちゃけない。ゆえに、約束を忘れて

全くそんなことをしていなかった。


「それで、こんなに話を大きくしちゃった

 けれどどうなるの? これで私が参上して

 シュパーンっと解決…………ってうまく

 いくとは思えないのだけど……」

「お前は最強の巫女なんだろ。それくらい

 できるだろフツー。それに、これも

 俺が勝手に作ったガセネタではあるが

 霊ってのはそーゆー変な噂に(たか)

 人を狙って憑くものだろ?」

「それじゃ、ミキちゃんは……?」

「わからないけど大丈夫じゃないか。

 ああ見えて友達だろ? 信じてやれよ。

 そろそろ本人が登校してくるだろうから

 実際に聞いてみたらいいんじゃないか」


 まだ今は朝の早い時間で教室にまだ

生徒がぽつぽつとしかいない。自称巫女は

聞いてみると言って、俺から離れていった。


 ちなみに、ミキちゃんは必ず……


 大丈夫じゃない。


 そして、噂のご本人登場。うん、俺の

見込み通りかなりげっそりとした様子で

登校してきた。この様子にはさすがに

自称巫女も度肝を抜かしているようだ。


「なにがあったのミキ!?」


 自称巫女よりも先にミキちゃんの取り巻き

であろう女子がミキに話しかけていた。

自称巫女はその話を一緒に聞いている。

遠巻きから俺も少し会話は聞いておくか。


「いや、なんにもないわよ。ただ、すっごく

 ヤな夢を見ちゃって寝れなくって。

 だから大丈夫よ。気にしないで」

「えーメズラシー。どんな夢なのー?」

「うーん、うまく思い出せないけれど確か

 『死に続ける夢を見る夢』みたいな感じ?」

「ん?? どうゆうこと?」

「んー、例えば夢の中で車に轢かれたりしたら

 現実の自分がビックリして起きるでしょ?

 でも今日の夢は死んで起きてもそれも

 夢の中で、そこで死んでもまた夢の中で

 起きるって無限にグルグルしてるみたいなの」

「えー、なにそれー」

「もう二度とあんな夢は見たくないなぁ」


 ここで、自称巫女が一言。


「それ霊の仕業じゃない?」

「は? そんなわけないでしょ!」


 そりゃあ、そう反応をされるのは

目に見えている。


「御前あんた、なんでも霊につながるって

 考えおかしいでしょ? 最近だとテストも

 近くなってるからストレスでこんな夢を

 見てるってことかもしれないじゃん。

 「自分が巫女だから」ってそんなの誰も

 信じてないし、しつこいんだって!!

 あんたにはなんもできることなんてないし

 あんたから手伝われる気なんてないわ!」

「…………」


 まぁ、一回悪夢みただけじゃあおおむね

あの反応が当たり前だろうな。でもこんな

悠長なことが言えるのは今だけだろう。

それにこの悪夢(ナイトメア)に相澤、お前はどれだけ

耐えられるのだろうかな。


 …………………やめよう。これじゃあ、

俺が悪魔みたいだ。いや、悪魔ですけど。


 それに結論から言うとミキの限界は

すぐに来た。それもその日の5時間目に。

昼休みが終わって誰もが眠くなる時間、

ろくに満足に寝れていないミキは

午前から目をこすっていたがどうやら

ここで彼女に急激な眠気が襲ったようだ。

誰にもバレないよう顔をうつぶせて

寝ていたようだったが、この時にも

俺の召喚した悪魔は宿主の体を蝕む。

そして、授業中にミキは…………


「うあ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁ!!!」


 と、いきなり起きたと思ったら急に

叫びだし、そのまま床に倒れこんだ。

それも音もなくあっけなく、ドサッと。

これには授業の真っ最中だった先生も

目を丸くした。そして、流れるように

5時間目の授業が中止され、先生方が

俺の教室になだれ込み、横倒れになった

ミキの体を保健室に移す作業が始まった。


 この騒動は人伝(ひとづて)で学校中へと広まり

相澤の発狂はこの日一番の話題となった。


 計画通り。パーフェクトだ、メア。


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