82.学校に行こう
「ここだぁぁぁぁーーーーーー!!!」
「かくれんぼかよ」
学校に着いたと共にマヤが叫んだ。そんな
叫ばなくてもいいだろ……
「ほら、ここが英嶺高校! 小恋お姉ちゃんの
言ってる高校だよー」
マヤが優しく愛ちゃんと接している。
何か、どこか母性を感じるな……
「というかマヤ、そんな恰好で入って
大丈夫なのか?」
「あー……大丈夫じゃない?」
マヤはバイトの時に着ていたサンタ服の
ままだ。制服じゃないから門前払いされそうな
気がするけれど、本当に大丈夫なのか。
「大丈夫でしょ。だって今日はクリスマスよ?
サンタの一人や二人学校にいたって誰も
不思議がらないって大丈夫大丈夫」
「サンタが学校の備品盗むなよ」
いや、最終的には返すけどもさ。だからって
こんな目立つ格好でしないでくれよ。
「わかったらさっさと行くよ!」
「おー」
もちろん今日は学校がない日で、中で模試が
あったとしてもやはり学校内には基本的には
入ることはできない。入るには職員玄関から
入るしかないし、先生方に見つからずに学内に
入るのはむりだろうな。
「それで、どうやって入るの?」
「職員玄関から入るに決まってるでしょ」
「いいのかそれ?」
「べっつにー? サンタですーっていえば
通してくれるでしょ。サンタを拒めるのは
大人とセコムだけよ?」
「なんだその二強……」
なるほど、と思うから何も思わない。
「ごめーんくーださーい」
気が付いた時にはマヤは職員玄関で先生と
インターホン越しに話していた。
ここからでは会話の内容は分からないが、
とりあえずこっちに戻ってくる様子だと
話が通った様子だな。
「で、どうだって?」
「オーケーだってさ。でも模試の邪魔にならない
ようにしてって。それと愛ちゃんについても
ミコちゃんの妹で、見学したいって言ったら
それもいいって言ってくれたよ」
「おお、よかったな」
やっぱり生徒会の一人だから甘く審査
されがちなのかなぁ…… だったら本当に
生徒会に入っときゃ色々良かったかもな。
「というかよく先生認めたなぁ……」
「そーだね、意外とすんなり通ってビックら
こいてるよ。サンタらしいこと一切しない
から余計邪魔な気がするけど」
まぁ、やることが窃盗だからなぁ……
「どうせだし何かプレゼント的な何か
持ってくればよかったかもな。何か
持ってないのか?」
「現金かな」
「もっと夢と希望のあるもので頼む」
ツリーの下に置いてあったらまずいだろ。
仮にきれいな小包に入ってたとしてもまずい。
「ほらもっとあるだろクリスマスらしい
可愛げのあるものとかさぁ……」
「んーじゃあ私のサンタ服?」
「教育上よくないわ」
プレゼントとして無料であげるよりも
誰かに言い値で買わせた方がいいぞ、それ。
「男子受け以外で何かないのか」
「なんで男子受けのみなのさ!? だったら
可愛らしいって点だと…… 愛ちゃんかな」
「一番、プレゼントにしたらダメだろ」
人身売買、ダメ、絶対。
売買ではないが、ダメ、絶対!
「ま、とりあえずツリーの飾りを早く
片付けましょ。そうでもしないと話が
進まないから」
「あぁ、そうだな」
「喫茶店の下りで丸ごと一話使ったりと、
進行速度が無駄に遅いことになるからね」
「すいませんでした」
それはすまないと思ってる。あんなに
ケーキの下りでのびのびと話すことになるとは
作者も考えてなかったのだ。
「ま、とりあえず入ろうか」
「そうだな」
俺たちは職員玄関から学校に入った。
先生方が俺たちのことをめっちゃ見てたけど
そんなの気にしなーい気にしなーい。
「クリスマスツリーは学校中央のホールに
飾ってあるから、まずそこにいこうかな」
「そんな目立つ場所でやるのかよ」
「え? 今って冬休みよ? こんな寒々しい
学校になんて誰もいないって」
「いやまぁ、確かにそうだがこの学校の
持ち主の娘であるお前が言っていい
ものなのかそれ?」
「学校の持ち主の娘だから言えるのよ!」
えばるなよ。
職員玄関からホールまではそう遠くない。
このルートで学校を巡回することはないが
意外とスピーディに着いた。
「さ、到着到……着……」
「どうした?」
「飾り、ないんですけど……」
「……あ、ホントだ」
クリスマスツリーがただのもみの木と
なっている。なんて質素な見た目なんだ。
「えーどうするのコレ。結局街に戻って
飾り探さないとダメな感じか?」
「うーーーん、いやっ! 昨日まではまだ
あったって連絡が入ってたはず。だから
まだ全部が全部撤去されたってわけじゃ
ないと思う。だとしたら…… 生徒会室に
もしかしたらあるかも」
「ってえ? 生徒会室に入れるのか?」
「そりゃ先生方は入れるでしょ? それにこの
恰好で校内をうろつくのはちょっと……」
それもそうか。今俺たちは制服はおろか、
コスプレをしているのだ。いや俺はしてない
けど。それに愛ちゃんという部外者だって連れて
いるんだ。あまり学校内をうろついて問題なり
先生方につかまってアレコレ説明をするのも
面倒な話だ。
「愛ちゃん! 二階の生徒会室まで
レッツラゴー!!」
「ごーーーー!!!」
「あ”お前らちょっと待て!! それと
マヤお前スカートめくれてるぞ!!」
「知ったことかーーー!!!」
「ちょっとは知れよー!!」
何に躍起になったんだ俺は…… あーあ
馬鹿らしいったらありゃしない。それに
なんでミコであったりマヤでったりは
こうやって急に走り出すのが好きなんだ。
こっちの身にもなってくれないかなぁ……
「ここだぁぁぁぁーーーーーー!!」
「だからかくれんぼかって」
走っただけあり、すっげぇ早く着いた。
俺も走ったけど全く意味ないよなこの行動。
「ちょっと待って、私鍵持ってるから開けるね」
ガチャッ
「はい、これd」
ガガガッ
「あ、アレ??」
「もともと開いてたんじゃないのか?」
「ああ、なるほど。ってずいぶんと
不用心だねそれは」
ガチャッ
ガラガラ
開いた。
「お邪魔しまーす。って誰もいないけd」
「はい、どうかしましたかこんな日に
お二方揃って」
「加賀音ちゃん!?」
「はい、そうですけれど……」
生徒会室には副会長がいた。俺がずっと
副会長副会長と連呼しているだけあって、
多くの人は本名を覚えていないだろうが、
彼女の本名は”六郷 加賀音”だ。生徒会長は
”六郷君”と呼び、マヤは”加賀音ちゃん”と
呼んでいる。そして俺は立場そのままに
”副会長”と呼んでいるお方だ。
「こんなとこで何してたの?」
「それは私のセリフです。あなたって確か
この時間はバイトをしているはずでは?」
「あー、それはヤメテキタ☆」
「はぁ、全く……」
副会長、あきれないでくれ。こうなったのは
俺がそれを断らなかったからであり、別に
あの喫茶店で働いててもよかったんだ。
マヤの言い方がアレだけど別にサボった
と言う訳ではない。
ちなみにマヤは数時間前にこんなことを
ツイッタ上につぶやいてる。
「マーヤー@FXで有り金全部溶かさない人の例
バイトしてくるでありんす。クリスマスは
やっぱりバイトするに限りますなぁ
ハッハッハッハッハ(´∀`)
12:43」
これを見て、副会長はバイト中だと判断
したのだろうな。
「それと神前さんもなぜここに? 今は
てっきり東京で遊んでいるものかと……」
「あのさぁ、その話もうよくない?」
その話を聞かされるたびに、なんか自分が
みじめに見えてくるから至急やめてくれ。
「……その子は?」
「あ、この子は”御前 愛”ちゃん。ミコちゃんの
妹だってさ。今はクリスマス用のおつかいの
真っ最中なんだけど…… それでさぁ、ここに
ツリーの装飾ってあったりしない?」
「ええ、それでしたら私が時間を見つけて
片付けましたので、そこの段ボールの
なかに入ってますよ」
「それって貸出ってできたりするものかな?」
「そう……ですね…… 大丈夫だとは思いますが……」
「なら借りてくね! 休み明けにちゃんと返すから
安心して安心!」
「……わかりました。くれぐれも破損には注意
してくださいね。あくまでこれは学校の備品の
一部に当たるものですから」
「よっし! おつかい一つ目ゲット!」
どうやら何とかなったようだ。俺は
今回のおつかいに関しては全く活躍の場面が
なさそうだな。
「ていうか逆に聞きたいんだけど、加賀音ちゃん
なんでここにいるのさ? 私が言えたセリフ
じゃないけど、今学校にいる意味ある?」
「それはもちろん、あなたと同じですよマヤ」
「へ?」
「私もバイトでここにいるんですよ」
「はぁあ??」
学校でバイト? それも何のだ?
「あら、聞いたことないですか。模試の
監督というバイトですよ。三年生が今
受験に向けた模試をやっていることは
多分、知ってると思いますがそれの
模試監督をやらないかと進路指導の先生に
提案されたので」
「へぇー、クリスマスに一緒に過ごす人とか
いないんだーwww」
さっき俺が煽った奴じゃねーか、それ。
「私は家で家族と過ごすので別に。へぇ
マヤ、あなたはクリスマスに過ごす人が
いるのですね、その言い方ですと」
「え”、あーそりゃあもっちろん!」
「あら、フフッ」
「なにわらとんねん」
「まさかマヤと神前さんがこんな関係だなんて
思っていませんでしたので」
「「はぁ”!!?? 誰がこんな奴と!?」」
「あら、てっきりそうかと。バイト終わりに
こうやって街中をおつかいと称し、散策
する。これだけでも十分そう考えられる理由に
なっていますよ?」
「「こんな、中二病患者(金持ち生娘)と
付き合うわけないでしょうが!!!!」」
…………
ピキッ(#^ω^)(^ω^#)カチン
今すぐにでも、呪ってやろうかと
思ったがそういえば御前神宮に向かう際に
ミコンは家に置いてきたんだった。霊を憑依
させはできないにしろ、俺の手には拳があると
言いたくなったのは確かだ。
「落ち着いてください。そんな気で言ったわけ
ではありません。そう聞こえてしまったので
あれば謝ります。マヤもはしたない。それに
御前さんの妹がいるのですよ? そんな子供を
目の前に高校生二人がみっともない」
「「……」」
子供をダシに喧嘩を食い止めるとは。俺も
マヤもこれには気を静めるしかないか。
ここは穏便にことを済ませた方がいいだろう。
だが、ここではそうするだけであって
別の場所に行ったときは覚えておけよ!
「まぁまぁまぁ、そんな怒んないって大丈夫
加賀音ちゃん。で、その模試監督さんは
なんでこんな生徒会室なんかに?」
「もちろん書類整理ですよ。それにクリスマス
ツリーの装飾の片付けも一緒に済ませて
しまおうかと思いまして。それに先ほど
三年生の模試の全工程が終わったので私の
バイトの方も”アガリ”ですよ」
「あ、なるほどね。……って書類整理?」
「はい、本当は会長がするべきものなのですが
その仕事を一切やらずに東京に飛び立って
しまったので副会長である私がやらなくては
いけなくなってしまったので」
「生徒会っていつもこんななのか?」
俺の軽い疑問だ。こんな生徒会にこの学校を
任せておいて大丈夫なのかがかなり心配に
なる。もちろん生徒の秘密等を握っている
会長、学内トップの成績の副会長、そして
個人情報を扱っているマヤが切り盛りしてるから
機能するのは分かるが……ねぇ……。
「いえ、そうでもありませんよ。仕事をせずに
別のことをし出すのは慣れましたので」
「副会長、一回くらい怒っていいんだよ?」
慣れって怖いんだな。そう思うしかない
人の怖い部分を見て取れる言葉だった。
「それにもう書類の整理は済みましたので
後は帰るだけですが、あなた方は……」
「俺たちも戻らないとな。ケーキの予約を
している関係でもうそろそろ街に戻って
おかないt」
「加賀音ちゃんも来る!!!???」
人の話に割り込むなよ!
「え、私ですか」
「うんうん! 街まで歩くだけだって。
街の中どーせ見てないでしょ? だから
クリスマスの街を歩かない? ってこと」
「そうですね、わかりました。私も街で
少し見たいものがあるので」
「やったぁ!」
「たー!!」
よくわかってないが愛ちゃんもマヤの
隣で喜んでいた。類は友を呼ぶというか
何というか…… お前ら仲良くなるの早くね?
「それで見たいものって?」
「ええ、クリスマス用のケーキなんですg」
「だったら私が働いてた喫茶店のがオスス(ry」




