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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
悪魔のような毎日に、粉雪の抱擁を
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81.おつかいを済まそう

 俺たちは街にいる。というのもミコの

おじいちゃんからの依頼で、ミコの妹で

ある愛ちゃんを連れて街まで買い物に

来ているだけだ。その最中にまさかとは

思っていなかったが、同じ学校の生徒会

メンバーが一人、マヤこと”英嶺(えいれい) 麻綾(まあや)”が

サンタ服を着てバイトをこなすのを見た。


 そしてそのまま流れるように、マヤを

連れておつかいを続けることとなったの

だが……


「……なんでついてくるんだよ」

「だってココ、この街のことあんまり詳しく

 ない雰囲気だったし、それに愛ちゃんとも

 もっと仲良くなりたいからねー」

「ねー」


 今は右からマヤ、愛ちゃん、俺と愛ちゃんを

はさみながら歩いている。この様子だけ見ると

ずいぶんと仲のいい家族か何かに見えるな。


 ……これはこれでありだな。

 何がとは言うまい。


 しかもマヤと俺は愛ちゃんの手を握りながら

歩いている。時々、愛ちゃんがブランコーとか

言いながらぶらぶらしているのが実にたまらない。


「たまらない?」

「あ、いやなんでもない」

「えーとね、ケーキができるのが予想だと

 今から3時間後ぐらいって言ってたから

 無理にでもこの街で3時間分を楽しむ必要が

 あるけど、どこか行きたいところとかある?」

「え、いや俺あまり詳しくねぇし……」

「そっかぁ、じゃあ愛ちゃんは?」


「あめりか!」

「この街の中で行けるところで!」

「じゃあ、ケーキ食べれるとこ」

「さっき行ったよ!」


 うん、ここらの受け答え方は完全に

下の姉のものを継いでいるな。一番いらない

スキルを受け継いだんだなぁ。


(あー、やっぱりこの子ミコちゃんの妹だ。

 ミコちゃんを10歳下に落としたら多分

 ほんとうにこんな感じになるんだろうね)

(マヤもそう思うか。奇遇だな俺もそう思う)


(このままがいいなぁ……)

(あぁ、だけどそれミコの前で言うなよ)

(言っても気が付かない気がするけどね)

(けっこう、手ひどいこと言うよなお前)


 俺も全く同感だから何とも言えないが。


「オードブルなんかはさっき聞いたけど、

 ケーキと一緒に用意してくれるらしいから

 別にいいでしょ?」

「いつの間にそんな用意してくれてたんだ……」

「え? うちも食べるからそのついでにって

 頼んでおいたからね」

「だからって10人前って……ビッグダディじゃ

 あるまいし」

「まぁ、ミコちゃん家だからね」


 マヤは御前家の事情は知っている。もちろん

本人から聞いたという可能性もあるが、それ

以前にマヤ、いや英霊家が生徒一人一人の情報を

握っているから”そもそも”わかっていたと

言った方が正しいか。


「でもねぇ…… ツリーの装飾ってどんなの?

 だってシチュエーションが”神社のもみの木”

 って時点でおかしなことになってるから……」

「それが日本人!」


 愛ちゃんが急に叫んだ。日本人のこと

擁護しすぎだろ。


「それに当日って意外と売ってないことが

 あるからなぁ…… もう場所によっちゃ

 年末年始関係のコーナーになってたり……

 まぁ、探せばあるだろうけれど面倒では

 あるよねー」

「……あ、そういえば生徒会長がクリスマスに

 買いに来た店ってどこなんだ? そこで別に

 いい気がするけど」

「あぁ、そこがその年末年始仕様にシフト

 チェンジした店なの。じゃなかったらこんな

 悩まずにそこに直してるよ」

「それもそうだな」


 クリスマスとはいえ、一年がもうあと一週間も

しないうちに終わる日だ。常識的にもそういう

風にしていてもおかしくはないか。


「でもあそこの装飾って意外とこってるものが

 多くてきれいだか……ら……」

「? どうした?」

「……


 ねぇねぇ! お姉ちゃんの学校にちょこっと

 行ってみたくない、愛ちゃん??」

「行きたい!」

「よし、じゃあ決まり! 学校行こう!」

「ええ、なんd」

「クリスマスの飾りを買ったのは分かってるしょ?

 でも、今日でクリスマス終わるからそれらを全部

 撤去するんだ。だから今のうちに気付かれない

 ように何個かぶんどっちゃおうってこと」

「いいのか!? お前生徒会だろ!!?」

「大丈夫大丈夫。だって私生徒会だもん!」


 あ、あー、そうか、そうだな確かにそうだ。

生徒会が用意したものを生徒会が撤収しても

まったく問題はないか。……いやいや問題あるよ?

学校の経費で買ったものを私物するってこと

だよなそれ。それに最終的に使うの生徒会

メンバーじゃないし。


「でもクリスマスが終わり次第私に返してね。

 一応、結構お高い奴だからアレ」

「当たり前だ」


 盗みはしませんよ、さすがに。


「よーし、そうと決まれば学校に行くぞー!」

「おー!!」

「……」


 愛ちゃんはやっぱりミコの妹だなと感じる。

どんなにかわいくても、どれほど愛くるしい

見た目でも、ミコをより幼くさせたイメージは

もちろんのこと持ってはいたが。改めてそう

思うとなんだか悲しく感じる。


 ピロン


「小恋@巫ッ女ミコ


  東京タワーにいるけど、なんかどこかで

 私の悪口を言われた気がする…… 高いとこに

 いるからかなぁ……


 15:01」


 鋭いなアイツ! それと陰口と標高は全く

関係ないと思うぞ。


「っていうか学校に入れるのか? 今ってだって

 休みの期間だろ。だから学校は閉まっている

 のがセオリーだと思うが」

「ところがどっこい! 今、学校では3年生が

 模試をやっているのだ! だから学校には

 余裕で入れるし、それに生徒会の名前を使えば

 全然問題なく、学校内を歩き回れちゃうのだよ」

「”権力”っていいよな」

「響きはあんましよくないけどね」


 俺ももしかしたら生徒会に入っていれば、

夜の学校に入る手段として「部活」なんて

選択をしなくてもよかったかもな。けどよく

考えたらめんどくさいし、こんなやつを候補に

するような責任者もいないか。


「学校まではそんなに遠くないしいいでしょ?

 それに部室のロッカーにミコちゃんのもの

 だってあるよ?」

「いやまぁ、別に行くのは問題ないが……

 ってなんでミコの荷物が俺を釣るための

 材料だったんだよ!!?」

「え、だって話題だよ?”ミコちゃんの着替えを

 見ようと試みて、逆に見世物にされた”って」

「おい、その話どこまで広がってるんだ!!」

「私と義堂君と、会長と……あ、あと加賀音ちゃn」

「わーーーーーーーーー!!!」


 やめてくれ! 年明けに学校行きづらくなるから!


「冗談よ。生徒会にそんな犯罪じみたことが

 ばれてたら大変だってわかってるでしょ?

 私は知ってるとして、会長と加賀音ちゃんは

 知らないと思うよ」

「はービビったー」


 けど、マヤは知ってるんだよなぁ…… せめて

「異能部」内ぐらいにこの話題は収めたかったな。


「だから、このお兄ちゃんはアブない思考を

 はたらかせる”HENTAI”って名前の病気を

 持ってるから気を付けてね、愛ちゃん」

「お兄ちゃんってヘンタイなの?」

「そーそー、ヘンタイヘンタイ」

「あのさぁ、人の妹に変な事吹き込むの

 やめていただきたいんだが……」


 否定はしないg、いやするわ! 俺は変態

じゃねーし! 小さな子供が大好きなおじさん

ってだけだよ!! 「それで十分じゃねw」

と思った読者諸君。みなまで言うな。


「それとあんたの妹じゃあるまいし、何が

 ”人の妹”だよ……」

「ヘンタイって」

「うーんとね、人の服に鼻をこすりつけて、

 「グヘヘヘーwww」とか言ったり

 人の裸をガン見する人のことだよー」


「じゃあ、小恋お姉ちゃんはヘンタイだ」

「「……」」


 えー、そういうことになるー……?


「え、お姉ちゃん何? そんなことしてるの……」

「いつもきがえるときにやってるよー。ぐへへ

 っていわないけど、いっつもニヤニヤしてる。

 それにいっしょにおふろはいるときとかすごく

 さわってくるよ、ぎゅーっともしてくるし」

「へ、へー、でもそれってただ単に体を

 洗うからってだけでしょ」

「ううん、おゆのなかでもやってるよ? ときどき

 わたしのふくのせんたくものあさってた」

「……」


 マヤが俺に視線を向けた。こっち見んな。


(このままだとミコちゃんのイメージが

 ぶち壊されるんだけど……)

(いや壊れるのは勝手だろ。それともうかれこれ

 3話の時点でミコのイメージはとっくに崩壊

 してるから別に……)


 今になって思うと、俺はなんで学校で悪魔の

召喚なんてやったんだろうなと思う。それが

無かったら俺はここまで苦労はしていないし、

今も多分、家でゴロゴロとゲームをしている。


 けどこうやって幼女とX’mas買い物デートが

できることを考えれば、これはこれでよかった

かもしれない。


「何考えてるのさ」

「え、お前って”人の心読める能力”の

 持ち主だったっけ?」

「はい? よくわからないけれどそんな

 気色悪いニヤケ面見たらなんとなくわかるよ」

「……」


 顔に出やすいとは言ってたけれどそこまで

醜いものなのかよ。だったら今までの読心も

俺の顔色から察しただけなのかもな……


 ……それはそれですごいな!


「それじゃ行くよ!」

「れっつごー」

「ゴー!!」


 学校までは本当に遠くはない。じゃなければ

学校帰りに街に行こうなんて発想に俺が

ならないさ。俺の手を放して愛ちゃんは

突っ走った。マヤもそれに合わせるように

走っている。って違うか、愛ちゃんを無理矢理

引っ張っているだけだ。だとしてもその

光景は見ていて心地が良かった。


 ……あ、マヤのヤツ転びやがった。

 やーいやーい



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