表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
ぼくらのおしごと
68/446

68.部活を取り戻そう

「申し訳ありませんがあなたたち「異能部」は

 部活をすることができません、とのこと」

「「え?????????」」


 ________________


 話は数分前にさかのぼる。


 今日は月見をした日の翌々日、

つまりは明後日のことで、俺とミコは

念には念を入れよということで、生徒会に

”学校七不思議”の一つ「秘密の部屋」を

解決したことを伝えるべく、昼休みに

ふたりで生徒会室に殴りこんだのだ。


 なんで生徒会にこれを伝える必要があるのか

と聞かれれば理由としては大きく一つ、

小さく一つある。まず大きな理由は俺たちの

活動報告だ。前に「動く銅像」を解決した際に

同じように生徒会に似たように報告したのだが、

そのときは「動く銅像」を解決したという

事実を公表しないでくれと頼んでしまっている。

そのため、俺たち「異能部」の評価は上がる

どころか「予算泥棒」みたいな扱いをされて

いるというのはマヤから聞かされている。

という訳で、今回の「秘密の部屋」の解決は

早急に生徒会に伝え、俺たちのキャリアに

繋げたかったというのが大きな理由だ。

そして小さな理由というのが、その話している

相手である副会長のことを思ってのことだ。

副会長はどうにも俺たちのこの活動、いや

心霊現象云々に多少なりとも興味を持っている。

ここは話のネタを振るという意味も込めて

この話を副会長にしてもいいんじゃないか?

ということで副会長にこれを話に来たのだ。


「そうですか、それはお疲れ様です」

「えへん! どうですか!? 私たち

 ちゃんとやればできるんですよ!!」

「いえ、それは以前の「動く銅像」の件で

 ある程度は分かっています。それに「異能部」は

 ”それ”が目的の部活なので、できて当然と

 言われれば当然とも」

「そ、そうですか」


 やはり、副会長は顔色変えずに俺たちと

話をする。こういう無口でしゅっとした

人というのは俺はどうにも苦手だな。


「それに話がありましたし、こうやって

 生徒会にわざわざ赴いていただきありがとう

 ございます」

「それはどうm……え? 話?」

「ええ、あなた方に一つ連絡があるのですよ。

 それも先生方から」

「え、先生?」


「申し訳ありませんがあなたたち「異能部」は

 部活をすることができません、とのこと」

「「え?????????」」


 部活ができない?


「そ、それは急すぎないか副会長? なんで

 いきなりそんな話が」

「次の期末テストがいつかわかってますか?」

「え、そりゃ2週間後だろ?」


 今日は12月のはじめで、うちの学校の

期末テストまではあと2週間と迫っている。

が、俺もわかっているがこの手のテスト前の

部活動休止については1週間前と決まっている。

だというのに、俺たち「異能部」だけは

それよりも1週間以上も長くとられている

ということなのか?


「いや、さすがに2週間もテスト前の

 休みがいるってことじゃないだろ」

「いえ、そのぐらい必要だと判断しました」

「は?」


「前回のあなた方のテストの平均はかなり

 下回っています。そのため、他の生徒よりも

 勉強の時間を確保するなどの措置が

 かけられたのですよ」

「え、俺たちそんなに点数低かったのか?」


 確か、前回というと夏休み明けにやった

中間テストのことで、その時の俺の点数は

平均すると80前後だったはずだ。別に問題は

なさそ……う……


 …………………………………………………ミコさん?


 さっきから何でそっぽ向いてるんですか?


 …………


「えーーーーと、ちなみに聞きますがーーー??

 そこの「異能部:部長」”御前(みぜん) 小恋(ここ)”さんの

 平均点は……?」

「コホン、人の点数を公言するのはよろしく

 ないのですが状況が状況なので。えー、御前

 小恋さんの点数の平均は


  15点ですね」

「…………」

「…………」

「……15」

「はい、正しくは14.80点ですが」

「……で、15と」

「はい、15点です」


 そしてその会話の間、俺の隣で汗を

ダラダラかきながら、あっちの方向を

見続けている同級生の女の子が一人。


「……ミコ」


「”人”というのは数字で表せるものじゃない」

「悟るな」


 うわー、この子悪いのおつむだけかと

思ってたけど、頭の方も悪いのか……


「ってなんでそんなになるまでほったら

 かしてたんだよ? ほら知ってるだろ?

 赤点ってシステム? そのせいで大会に

 いけないからって夜通し赤城の家に

 泊まったバスケットマンガとかあっただろ」

「その例えやりたかっただけでしょココ」


 作者が最近になって「バスケがしたくなる」

例のバスケットマンガを読み直して、軽く感動

したので無理やりネタとしてぶっこんだのだが

さすがに無理があるか。


「いや、だってうちの教育方針が


 「勉強せずとも呪詛(じゅそ)と対霊格闘(CQC)を

  覚えとけばなんとかなる」


 ……って感じだし」

「ひっでぇ教育方針だ」


 呪詛(じゅそ)はまだいい。対霊格闘ってなんだよ!?

それと略語のCQCって何の略だよ逆に!?


「C:かならず

 Q:オバQ

 C:駆逐する格闘」

「それ付けたやつの無理くり感がすごいな」


 とばっちりじゃねーかオバQ。可愛いじゃん

オバQ、水着ニトクリスみたいで。スマホゲーム

俺やらないから基本的によくわからないけど。


「そういうことで午後の授業も頑張って下さい」

「ああ、そんな時間か。わかった俺たちはこれで。

 ほら行くぞミコ、こうなった以上仕方がない。

 受け入れるしかない」

「…………い


  いまにみてろよーーーーーー」


 ぴゅーーーーん(退散)


「「……」」

「…………なんですかあれ?」

「多分、頑張ってきますって意味だろうけど

 言い方と動きが完全にザコのやられ役ですね」

「本当にその通りにならないといいんですが」


 俺もとりあえず次の授業が始まる前に、教室に

戻っておかないとな。ミコの様子もこの目に

収めておかないと。


「今日は忙しいところすいませんでした。

 義堂にも、そう伝えておきます」

「はい、ありがとうございます」


 俺は生徒会室の前で一礼して出た。どんなに

生徒会の人たちと仲がいいとしても礼儀は礼儀で

しっかりと重んじるのが俺のモットーだ。が、

部長と副部長の関係だけは重んじていないのが

現状ではある。


 俺は自分の教室に戻った。ミコとは同じクラスで

とっくに教室に戻ってるとは思うが……


 ……多分、あの教室の隅で小さくまとまってるのが

それだ。うちの部長だ。


 周りが心配そうに、ミコの周りに集っている。

うわぁぁ、あそこに行きたくねぇー…… が、俺が

行かないとこれは多分、解決はしないだろうなぁ。


 俺はその人ごみを避け、ミコの肩をたたいた。

その時に「大丈夫」と声をかけようか、と思った

矢先にその手をとらえるように手首を握り返した。


 ちょっ! 折れるから!! いや俺は悪魔で

頑丈だとはいえ、痛いものは痛いから!!


「何何何何何!!!? なんだよ!!?」


「勉強を教えてください」

「さっきまでの勢威はどこいった」


 覇気のかけらとして感じない顔だ。人として

死んだような顔だ。ミコが「カワイイ同級生」の

レッテルがいまだに貼られている人たちには見せる

わけにはいかない顔だな。


「勉強を教えてって……」

「ココって確か頭良かったよね? だったら

 私にその知恵を授けていただきたいとです」

「キャラぶれてるぞ」


 だが、これでは部の存続を左右しているのは

事実だ。特にそれが部長となればさらに話は

深刻だな。というか俺、人にものを教えるなんて

ことはやったことはないからなぁ…… まぁ、

仕方がない、やるだけやるか。


「……はぁ、……いいよ教えてやる。どーせ

 部活ができないんだったら時間も余るしな」

「ココぉ……なんでそんな……」


「いや、お前が撃沈したらそりゃ俺が部長に

 なって切り盛りするし、ミコ一人抜けても

 なんとかするつもりだし、何とかできる

 つもりだぞ」

「はい! 全力で頑張ります!!」

「よろしい」


 俺は悪魔だ。俺が情けでやっているなんてわけ

なく、使えないと判断すればスパッと切るさ。

それに、”そう”言った方がミコのやる気は

出るだろうしね。


「とりあえず、今日の部活はやるからな」

「え? できないんじゃ?」

「いや、義堂にこのこと伝える必要があるから

 部室に行くだけだよ。そのあと勉強教えてやる」

「あぁ、そうだね。わかった」


 って今更思ったけど、こんなことを俺が率先して

やる必要なんてないよな。逆にこういうときこそ

マヤとか副会長の助けになればよかったのでは?

いや、もうこの話も今更だ。俺がやると言ったんだし

俺がやらなければならないよな。


 とりあえず、俺たちは午後の残りの授業を

受けることとした。教科は「家庭科」「体育」

そして「保健」だった。そして、俺とミコは

それらの工程を終え、部室に向かっている。


「……あのさぁ、人がせっかくやる気出してたのに

 何、あのテスト関係ない教科の応酬……」

「ああ、どうもテスト期間で忙しくなる前に

 授業をいじくって、今日にそのテスト関係ない

 強化を丸ごと持ってきたようだな」

「そんなことできるんだ」


 多分、こんなに楽な授業は当分来ないだろうな。


 部室の前に着いたが、義堂は学校に来ている

様子はなかったし、部室に先についている

事だろう。が、あれ? 中から義堂ともう一人

声がする?


 ガチャッ


「あ、「異能部」みんな午後の授業お疲れ様」

「あれ? 生徒会長?」


 部室に入ると、義堂と生徒会長が座卓の前で

向き合うように座っていた。


「どうしたんですか生徒会長」

「いやー、それがねぇ…… 君たち、ちょっと

 大変なことになったんだよね……」

「ああ、部活休止のことですか?」

「え!!? なんでそれ知ってるの!?」

「いや、副会長から聞きましたから」

「えー困るよそれー。なんでここに僕、仕事

 切り上げてでもきたと思ってるのー」


 生徒会長と副会長は何、意思疎通が取れて

ないのか? 同じ生徒会のメンバーだよな?

それもナンバーワンとナンバーツーだろ。


「それで、それを義堂に伝えるために俺たちも

 部活休止中にこうやって部室に赴いたの

 ですが」

「ああ、その話はもう義堂君にはしてあるよ。

 特に義堂君には伝えておかないといけない

 からね」

「は、なんd」


 ……と言いかけたが、今日もそうだったが義堂は

大抵、学校自体に来ていることが少ない。

ってことは……


「義堂、前のテストの点数どうだった」

「あ”? んなあったんかよ」

「そう、義堂君はテストにすら来てないから

 平均は0点なんだよね」

「おいぃい!!!」


 ミコより危うい人いたよ! そうだね!

よく考えたらそうだよね!!


「あのさぁ、もっと勉強ができる人をこの

 部活に呼んでくれませんか、生徒会長?」

「ごめん、それは僕の手には負えないなぁ」

「ですよねー」


 なんでこんな馬鹿ばっかなんだうちの部員は。


「それで、生徒会長はこれでお役御免ってわけ

 じゃないでしょう? ねぇ?」

「いや、お役御免になるつもりだったけど……

 ……え、僕が教えろって顔してるけど……」


 あらら、俺ってばいっけなーい。生徒会長に

そんなことを押し付けようとしてただなんてー。


「いや、いいよ別に」

「ありがとうございます」

「それに部活復帰させる秘策を持ってる

 からね」

「は? 秘策? そんなことよりとっとと

 この馬鹿どもに一から教えてください」

「いや、人の話聞いてよ」


 次回、勉強しよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ