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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
ナン・マイ・ダー
63/446

63.話をまとめよう

 今回は少し短めに切ったかもしないが

作者的には頭痛で悩まされたり、神宮の内部が

一切わからず、情報不足でも悩んだりとかなり

個人的な理由ではあるが、”ある意味”濃い

意味合いを持つ話だった。


 とまぁ、言い訳に過ぎないんだけどね。


 俺たちがミコの家から帰った後は、義堂は多分

本当に布団に倒れこんだだろうが、まさか俺も

同じことになるとは俺も思ってはいなかった。

ミコの家は山の中腹にあって、その道中は

坂になっているとは言っているはずだ。そして

ここで一つ博識な神前(こうさき)おじさんから豆知識を

授けておく必要もある。


 ”登り坂よりも下り坂の方が負担は大きい”


 下り坂の方が、どこか登り坂よりも斜面に

なっている分、楽に歩けるかと思ったら実は

間違いで、下り坂の方が筋肉への負担は大きい。

登り坂の時はもちろんではあるが「進む力」を

足にかけるのに対して下り坂の場合は進む以外に

自分の出せる限界の速度を出さないようにするため

「止める力」を使っているのだ。そして筋肉の

性質上「推進力」よりも「静止力」のほうが

負担が大きいため、下り坂の方が体にかかる

負担が大きいのだ。


 これで俺が何を言いたいかというとだな、

俺は帰宅そうそうに足がパンパンになり

ベットにぶっ倒れてしまったというわけだ。

あんな坂を毎日、登下校で使っているミコを

今だけは尊敬する。


 そして俺は今、ベットで横たわっているわけ

ではあるが、今回の総括と行こう。と、その前に

やることがある。ベットの隣に放置してある

学校のカバンに手を伸ばし、中からミコンを

取り出した。


「******************」


「”具現召喚・ヴィーハ”」


「ちぃーす、マスター! ってまたこんな

 昼に呼んでどうしたの? それとそんな

 死にかけなのは何で?」

「話せば長くなるけど、まz」

「じゃいいや」


 いいんかい。


「それで何で私を呼んだの?」

「いや、ちょっと俺のこと見てほしくてな」

「え、マスター……私とついに……もう、なんで

 すぐに決心してくださらなかっt」

「いやいやいやいやいやいや違う違う違う違う」


 これは俺の言い方が悪かったせいだ。決して

”ヴィーハ”のせいになんてしてはならない。って

ベットで横になりながらだから雰囲気もくそも

無いだろうが!


「俺の体の検査みたいなのをしてほしいんだ」

「検査? 私そんな能力は……」

「いや、そんなガチで調べるわけではないけど、

 俺の体に何か変化が起きてないかなぁと」

「変化……うーーーーーーーーーーーーーーん、

 あるには、あるんだけど…………


  なんかこう、”くさい”というか何というか」

「臭い?」

「いや、マスターがお風呂に入ってなくて、汚い

 って意味じゃなくて、なんだろう……うーーん

 そうだねぇ……コウモリのスープが嫌いな伯爵に

 コウモリ詰め合わせの香りをかがせた感じ?」

「もっとわからん」


 が、”ヴィーハ”の言いたいことは分かっている。

俺の体にはやはり魔除けとなるなにかは施された

ということだ。が、別段俺が悪魔だからそれがうまく

作用しないということや逆作用して身を滅ぼすなんて

ことはなかったということだ。そして俺は今

”霊が嫌う”匂いのような何かをまとっているのか。


「これってつけてていいものなの?」

「つけてても問題ないんじゃない? でもねぇ、

 ”格好いい気品ある上司”じゃないと、部下も

 全力でついて行こうってはならないよねー」

「あー、なるほどな」


 わかるー。どんなに真面目な先生でもなんか

汚らしいと馬鹿にしがちだよねー。


 ということで俺は、なんとかしてこの2日にかけ

施したまじないを解くことにしたのだが……


「”ヴィーハ”これってどうやったら取れるものか

 知ってるか?」

「え? マスターってほどほど強い悪魔でしょ?

 だったら別にそんな程度のものはここ3日程度で

 消えちゃうよ」

「あ、そんな程度なんだ」


 俺つえええええ。上位種ってすげえええええ。


 そんな程度にしかかかってなかったのか。

というか俺が悪魔だからそういう関係のものの

かかりが悪いだけなのか…… まぁ、”ヴィーハ”曰く

この3日でその施しとやらは何もなかったかのように

元に戻るそうだ。二日かけてもこの程度なのか……


 とまぁ、ここまでがその日の大きな話であり、

その次に話しておきたいことと言うのが翌日、

つまりは月曜日の学校での話だ。


「ギドー君のお墓参ったお墓の人調べてみたよ」

「”お墓参った”ってなんちゅう日本語だよ」


 義堂がある人物に墓参りをしたというのは言う

までもないことだろうが、ミコが独自で調べて

どんな人だったんだろうと手をこまねいたようだ。

と言っても俺はあの日の夜に義堂本人から墓に

眠っている人物”三沢(みさわ) 夏樹(なつき)”については深く

聞かされている。そのため、これ以上驚くような

新情報が出てくるとは思わない。


 が、ここで驚くような新情報が出てきた。


「”三沢(みさわ) 夏樹(なつき)”さんって昔にみんなから

 いじめられてたんだってね。あ、いやこれ

 マヤちゃん情報だから確実なんだろうけれど

 私の昔と似てるよね」

「ああ、そうだな」


 マヤとは”英嶺(えいれい) 麻綾(まあや)”のことで、生徒会の

一人でこの学校に限らず、あらゆる人たちの

個人情報を保護なんかをやっている一家の

一人娘だ。そこから情報を仕入れるのが確実だと

ミコは判断したんだろう。そして義堂の旧友で

ある”三沢(みさわ) 夏樹(なつき)”はいじめられていたというのは

やはりマヤが握っていた情報通りの事実であり

もちろんその話も義堂本人から直接聞いている。


 と、俺はここで重要なことに気が付く。


「あれ? ミコ今、三沢のことなんて……?」

「三沢って……知り合いじゃないんだからもっと

 敬意を持ったいい方しなさいよ…… だから私は

 ちゃーんと”三沢(みさわ) 夏樹(なつき)"先輩と」

「それだよ、それ!」

「え」


「三沢って年上だったの!!?」

「うんそーらしい、さすがに名前だけだと年なんて

 分からないからね」


 それがどうした。と思う人も多いかと思うが

義堂はこうも言っていたのを覚えているだろうか。


 「一生居れるヤツだった」と。


 つまり、義堂はその三沢に対して何かしらの

感情を持っていたということになる。”何かしら”と

ぼかしたが別にぼかす必要なんてない。相棒、ダチって

やつだ。義堂が中学時代にいた親友は義堂にとって

大事な人物だったというのは知っていたがまさか、

それが年上であり、尊敬まで抱いていたとなれば

それこそ驚きが隠せない。"夕霧"一筋だと言っていた

奴が、ってこれは失礼な言い方になるが、本当に義堂は

その”三沢(みさわ) 夏樹(なつき)”の一件で内面が変わってしまった

というのもうなずける。


 いいや、年上で尊敬と言うなれば生徒会長の前身って

思えば、そのポジションは変ではないか。


「それでさ、何かギドー君からそのー……三沢ちゃんに

 ついて何か聞いてないの?」

「…………


  いや、聞いてないよ。いいやつだったってだけ」

「あら、ふーん」


 言ってもよかったが、なぜか俺はここで言い渋って

しまった。なんでかは今になってもわからない。

いや、これが常識だなと判断したというだけだろう。

人の死について意気揚々(いきようよう)と話すものでもないし俺が

それを担うには責が重すぎるということだ。


「え? ココなら何の無礼もなく聞いてるかと

 思ったけど、さすがにそこまではしなかったのか」

「あ……あ、ああそうだよ。それに聞いたところで

 義堂も墓参りの時に嫌がってた感じだったし、

 答えなかったんじゃないかなぁ……はは」

「?」


 ……はい、無礼なく聞いております。


「だったらさ! 夜にギドー君となんか話とか

 しなかったの? ほら、彼女いるとか好きな人とか」

「修学旅行か!!」


 そのネタはいいよもう! ってあれ? ミコは

そのあたりの話はミコ姉からされていないんだな。

というかミコ姉も俺たちの話を盗み聞きしているかも

怪しいが、朝のあの雰囲気から察するに聞いては

いるだろうな。


「それで何話したの?」

「あー、確か


  ”義堂の淡い思い出”


  ……かな」

「は?」

「いや、いい忘れて」

「はぁ……?」


 ___________________


「それで一人になった後、義堂はどうなったんだ」

「そっからはてめぇらの知る通りさ。そんまま学校

 出て、高校で抗争に明け暮れ、一年ダブったと

 思ったら、てめぇらが抗争を収めた。そんだけだよ」

「義堂」

「なんだよ」

「その”三沢 夏樹”はどう思ってたんだ」

「”いい奴”。そんなんじゃ表せねぇぐれぇいいやつだ。

 今になって思うよ。俺ぁあいつがどこまでも

 先走り野郎だったんだなって。一生守られんのは俺ぁ

 納得いかねぇから、俺が守ってやりてぇ、そう思った

 唯一の奴だ。けっ! んなばかばかしいもん持って

 ってからこう墓参りものびちまったっつーのが

 申し訳が立たねぇがよ」

「だったら、その守るはずだった分を他に分けろ」

「あ”?」

「俺たちは部員でメンバーでチームだろ? なら

 俺とミコは間違いなくお前を見捨てはしないし

 お前が見捨てるとも思わない。だから、それだけの

 何かを俺たちに分けろ。その中学時代につるんだ

 奴ら、助けになった奴ら、お前を憎み嘲り罵った

 奴ら、そして死んだ奴ら。そいつらから得たもの

 すべては間違いなく今につながる。そうできている

 んだ。だから俺たちにその好きだった気持ちを

 向けてくれ。「助けに」なってやる」

「…………っちっ、うるせぇよ。てめぇ何様だよ」

「何、「異能部:副部長」兼30代のおじさん

 からのメッセージだよ」

「はぁ?」


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