61.もう一度施そう
気が付けば俺たちは寝ていた。やはり
眠くないとはいえ、布団に入っていれば
おのずと眠くはなるものだ。そして俺は
朝の6時に起こされた。起こされたというのは
まんまその通りである。
「おはよーーーーー!!」
「はよーーーーー」
!!?
俺たちが寝ていた部屋にミコと愛ちゃんが
強襲してきたのだ。もうちょっと寝かせて
いただきたいのだが……
「あ”? んだよ朝っぱらからうるせぇ」
「ほら! 神社の朝は早いんだから!
起きた起きた」
「てめぇはお母さんかよ」
俺は”こいつら”のせいですっきりとした朝を
迎えることとなった。が、この寝起きドッキリを
スルーするかの如く、義堂は再び布団に入る。
「寝かせろ。その、なんか儀式やるっつー時にでも
起こしに来い。それまで寝る」
「な、なにいいいい!? 仕方ない……ここは最終
手段を使うしかないのか……っ! 行け!
アイ! ギドー君に”のしかかり”!!」
「とーーーーーー!」
愛ちゃんがぴょんと飛んで、寝ている義堂の
腹の上に着地した。
「ぐえっ!」
「こーかはばつぐんだー」
「うるせぇ! ノーマルタイプの技が効果が抜群に
なるわけねぇだろ!」
義堂、もっとツッコむべき場所があるぞ。
「って、いつもあんな起こされ方するの?」
「そうだね。特にお姉ちゃんとか」
「ああ、納得」
多分、義堂と同じ扱いなんだろうな……
それと愛ちゃんにだけ部屋に入っても祟りがない
というのは、それもどこかツッコミどころが
ありそうだが。
「あの起こされ方は、普通お客さんにはしない
はずなんだけど、私の知り合いってことで
無理やり話を通したの」
「それで義堂が犠牲になったと」
「そゆこと」
「義堂も大変だな、変わってやりてぇよ」
「そうだね……って、え? 変わってやり……
……え?」
トトロのメイの起こし方を幼女がしてくれる
というならば俺は甘んじて受け入れよう。なんと
言っても俺は「子供が大好き」だからな。
そして、もう一度言おう。
俺は”ロリコン”ではない。決して断じて違う。
「それでさぁ、ココ。聞きたいことあるんだけど」
「え、どうしたんだこんな朝っぱらに」
聞きたいこと?
「なんで最近、投稿ペースがた落ちしてるの?」
「いやそれ作者に言え」
そんなん知ったこっちゃないわ!
作者にも事情と言うものがあるのだろう。
……というか、ぶっちゃけると作者はここ数日
頭痛と腰痛、肩こりでろくにパソコンの前に座る
事すらできなかったというのが正しい。そのため
今まで、ためにためまくっていたこの小説の
ストックももう時期に尽きてしまうのだ。という
わけで、作者の病欠による執筆遅れが原因です。
みんな、体調管理には気を付けよう!
「ってまだ寝てるのギドー君。ほら! 起きる!」
「んなら、そこんチビにも同じこと言ってくれ」
愛ちゃんが義堂の上でダウンしていた。”クピー”
とか音を立てながら、そりゃまぁぐっすりと。
「アイ! なんで寝てるの!? まさかギドー君
うたうをつかったのね!?」
「茶番はいいからとっとと起こせ!! 上にチビが
いたら俺が起きれねぇんだよ!!」
別に振り払ってもいい気がするが、そこは義堂も
気が引けたのだろうな。それよりも……
「ミコ」
「え? どうしたの」
「自分、寝顔激写のほうよろしいか」
「却下だ」
ここ数か月で聞いたことがないほどに図太い
セリフが返って来た。妹を守る姉の風格だ。
ミコは義堂の上で寝る愛ちゃんを子猫をつまみ
上げるように持ち上げ立ち上がらせた。本当に
となりのトトロの一場面見ているようだな。
「な”ぁーに、朝っぱらから騒いでんのよ。
とっとと行くよ小恋! ほら愛も!」
「あ、お姉ちゃん」
俺たちの部屋は開けっ放しだ。その中を
覗き込んだのか、ミコ姉が廊下で俺たちを
呼んだ。が、なんてひどい寝起き顔なんだ……
「今日は早起きなんだね」
「今日は客がいるからね。そこんとこは
しっかりとしねえとな、ってね。それと
父さんが呼んでたぞ小恋。どーせ朝飯の
手伝いでもしろとかだろうが行って来いよ」
「はいはーい」
「愛は…… まぁ、可愛いからそこにいろ」
なんだ、そのわけわからん理由???!
「あ、えーっと……義堂っつったっけ……」
「あ”? 俺がどうかしたかよ」
「おまえ……めっちゃいいやつなんだな……!」
(`・ω・)b
「あ”?」
「それじゃ、朝飯出来たら呼ぶから愛呼んで
昨日晩飯食べたとこにきてねー」
義堂にここぞとばかりのグーを突き出し
足早にミコの後を追ってミコ姉はこの場を
去っていった。
「なんだあいつ? 朝っぱらからわけわからねぇ」
「いや、訳は分からなくはないが俺はもっと
別のベクトルで一抹の不安を抱いたよ」
「はぁ?」
これは後で、隠しカメラの場所を意地でも
聞き出すしかないかもしれない。
さて、ここから話は点々と進む。というのも
予想はついていると思うが、俺たちはこれから
おいしく御前家のみなさんと朝ご飯をいただいた
後に、昨日言っていた俺たちにかける霊障の予防の
最終段階に入ることとなる。とこれも先に言って
しまうと俺の体には全くと言っていいほど変化は
無かった。昨日の時点で、このまじないは俺には
効かないとはわかっていたものの、日を改めてやる
と言って用意してきたものはどうなんだと不安では
あったが、昨日と同様のまじないをかけられたため
何の心配事もなくことを終えた。ちなみに、今日の
朝ご飯は「白米・味噌汁・焼き鮭・ナスの炒め物・
きんぴらごぼう・温泉卵」そして「玄米茶」だ。
日本人って最高! って思う瞬間だった。
そして時は過ぎ、俺と義堂はとっくにその
施しを受け終わって、後はもう帰るだけである。
そう、もうここでおかしいなと勘づくかもしれないが
「61.もう一度施そう」という今回のタイトルを
完全無視して、大事な大事な施しのシーンを
丸ごとカットしたのだ。なんという暴挙を
お許しいただきたい。というか昨日もサラッと
カットしているためこれまた察しがついている
かと思うが、どんなに調べてもその手の検索結果が
一切出てこなかったのだ。そのため、詳しく
本殿で何が起こっているかなんて書けないし、
それ以前に本殿自体があまり入れる場所でもなく
データが少ない。それに言ってしまえば、この
施しを受けることが重要ではなく、こうやって
ミコの家族構成を知るための機会がほしかっただけ
なのだ。
ということで……つまり……はい……
「言い訳」です。はい、すいません。はい。
話が変わるが俺と義堂は同じ場所にはいない。
いや、霊障の予防は義堂と一緒に受けたのだが
そのあと、愛ちゃんに呼ばれて遊びに連れて
行かれた。それにくっつくようにミコもついて
行ったため俺は本堂で一人、ボーッとしている。
というか、愛ちゃん! 神前おじさんとは
遊ばないの!!? もっと遊んであげるよ!!?
大丈夫だって! 俺はただの子どもたちが
好きな30代のおじさんだから!
「いやぁ……お前さん、それ余計危ないじゃろ」
「!!?」
おじいちゃn……”御前 剛隆”が俺の背後に
いつの間にかいた。ってこの一家はこぞって
人の心覗いてくるのか。そう考えたらやはり
御前一族ってすごい血筋の集まりなんだな。
”すごい”のベクトルが違うけど。
「悪いのぉ。こんな急に呼んだと思おたら
泊まってけ言うんだからの」
「あ、いえ、それは気にしないでください。
それに”楽しい”ものも見れましたし」
「ほぉ!? そいつぁよかったじゃあないかぁ!」
「あ、はぁ」
て、テンションたけー……
「それで、学校の方はぁ……」
「いや、別に……」
「いや、お前さんのことじゃあない。あの間抜けに
見えるうちの孫のことじゃよ」
「ああ、そうですね」
そりゃそうだ。赤の他人の学校生活を聞いて何の
特になるというんだ。っておじいちゃん、最愛の
孫にそんなレッテルを貼ってるのかよ。
「今は俺たちと部活だったりとで楽しくやっています。
特に最近ですと、俺は小恋さんと同じクラスだという
ことで部活に限らずに面白く過ごしています」
「そうかぁ、そいつぁよかった」
「……」
「そいじゃ、シゴキじゃったり、切った張った
っちゅーもんもないんか」
「……
……」
シゴキや切った張ったという言葉の意味を俺が
知らないため答えられないのではない。シゴキや
切った張ったというのは今でいう「いじめ」に
近い言葉だ。そして俺は、ミコが部活に入る前の
”あの”光景を伝えるべきなのかがわからなかった。
「……そ、それは……」
「いやぁ、ええんやそんなんは。それに小恋が
あんな元気っちゅーことは、そんな物騒ごとが
ないっち、ゆうてるもんやろうが」
「そう……ですか……」
”御前 剛隆”は持ってきたあったかいお茶を
ずずっとすすった。「ああ」と声が漏れる姿を
見てもこれが俺の敵である聖職者であるとは
思えないが、これでも全国屈指の霊媒師である
ことは認める。
そしてもう一度ふぅと息をつくと再び話出した。
「儂にもなぁ、もう一人息子がおったんやがなぁ
そんシゴキっちゅーんに会ったんじゃよ」
「え」
それよりもこの老人に何人の息子娘がいるかなんて
見当もつかないため、もう一人と言われてもイマイチ
ピンとこない。それよりもその息子さんがいじめに
会った。そして「息子がおった」と過去形で言っている
ということは……
「もう、かれこれ30年も昔の話よ。そんときゃ儂も
まだまだ若かったし、まだまだひよっこじゃった。
じゃがそんな儂でもあんバカ息子はついてきて
「ととおみてぇな僧になる」っちゅーて学校でも
貼り切っとったようなんじゃ。がな、気づいたとき
にゃあもう、手ぇ付けれんくなっとったんや」
「手を付けれなくなった?」
「そんまんまや。死んだんじゃよ」
!!!!!!!!!?
「え…………死んだって……それはなぜ……」
「あのバカ息子は筋金入りの馬鹿じゃっただけよ。
儂とおんなじ、まだまだひよっこじゃっちゅーに
「これでひよっこに見られちゃ御前の名に廃る」
っちゅーて、学校でなんか色々とやったらしいの」
ここでふとミコの幽霊騒ぎのデマのことを
思い出した。”アレ”みたいな感じなことか。
「それに目を付けられシゴかれたんや。じゃが、
それでも儂に……いや、だーれにも相談せんで
一人でそれに耐えとった」
「……」
「じゃがな、儂もこう年を取ると分かるんじゃが
人っちゅーのは意外と脆いもんじゃよ。すぐにゃ
ガタがきたわけじゃないとおもうんやが、儂らが
そいつに気が付いたんは、そいつに耐えれん
言うてポックリ逝っちまった後やったよ。全く
バカ息子は馬鹿なまま死によったわ、ふん」
「……」
なぜ今こうやって俺にこんな話をしたのか
なんてわかる。仮にミコが”隠して”そんな状況に
なっていれば似た境遇になっていたかもしれない
からだ。それに俺は隠す気はなかったのだが、
いじめられていたというのは変わりない事実で
もし、俺があの場でミコのことに気が付かなければ
一体どうなっていたのだろうか……
そう考えるとその息子さんとミコは
「似ているのぉ」
「え」
「なぁに、儂がこうやってぐちぐち言うたのも
そんためじゃよ。あの間抜けなうちの孫はな
そこんとこ、どうにもバカ息子に似て仕方が
ないんじゃ。立派な巫女になるゆうとこや、
なーんも見ずに真っすぐ見て突っ走っていく
あん生き方。あれをみるとどうも息子を思い
出してしゃーない。儂はな、バカ息子がどんなに
馬鹿じゃったとしても間違うたことはせん
ような奴じゃった。小恋は学校でどうかは
知らんがな。そうすっとな、こいつも年んせい
なんやが、息子と孫がどーも生き代わりに
見えてきてまう。ま、こん仕事やっとったら
そんなことあるわけなかとスパッと切れるもん
なんやがな、年食うてそこんところ考えが当て
はまらんくなってくる。
だからなぁ、小恋にゃ、あの間抜けな孫にゃ
死んだ息子の分まで学校っちゅーのを楽しんで
ほしい。そう思うんや。
……
お前さん、確か同じクラス言うたよな」
「ええ」
「なら、うちの間抜けのこったぁ任せるわい。
よろしくのぉ、うちの大事な孫を」
「……」
遠くでミコと義堂の声が聞こえる。どうやら
俺を呼んでいるようだ。
「神前君、呼ばれとるが」
「はい、わかってます。大事な話を
ありがとうございます」
俺は本堂を出て声の聞こえる方へ向かった。
後ろをちらっと見るとまたお茶を飲んで
ため息をついているミコのおじいちゃんがいた。
”僧侶”に認められた”悪魔”か……
なんだこの矛盾を帯びた文章は……




