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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
空に笑えば
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49.侵入しよう

 ”ヴァンダー(英語:WANDER)”


 ここで豆知識になるが「W」はドイツ語で

”ワ”とは呼ばずに”ヴァ”と呼ぶらしい。これを

俺は偶然知っていたためこの悪魔のことを

”ヴァ”と濁して言っている。この単語の

意味としては「徘徊」とか「巡礼」なんて

意味があるが、特に”ゲイジー”同様なにか

超能力を持っているような悪魔ではない。

ただ、何かについて周囲を回るだけである。

って、ただのおじいちゃんみたいだなオイ。


(ほいほい、何でございやしょうか)

(ああ、久しぶりに呼んだ気がするな)

(そうですなぁ、軽く20年近くぶりか……)

(俺が悪魔になった頃じゃねーかそれ)

(いやいや冗談ですよ。久々なことには変わりは

 ありゃせんし、こう冗談の一つや二つ言いたく

 なるのもですよ)


 ”ヴァンダー”は……ま、こんな性格だ。

 深くは言うまい。


(そんで、私を呼んだのは何かあるんでしょう?

 あの小娘三人組みたいに”なんとなく”で

 私を呼んだことはないですし)


 小娘三人組というのは”ゲイジー”、”ヴィーハ”

”リア”のことで俺が特に今、仲良くしている

悪魔だ。と言っても”ヴァンダー”と同じく、

しばらくミコンから出してあげていなかった

のも事実ではある。


(この学校の中に仲間がいるかどうかを見てきて

 くれないか? 俺はこれから、少しばかり

 用事が残っているから別のヤツにこの仕事を

 頼みたかったんだ)

(それで私だと)

(ああ、そーゆーことだ)


 語弊があるかもしれないため先に言っておくと

”ヴァンダー”は「使えない」悪魔では決してない

ということだ。「徘徊」というのは目的なく

ひたすらに歩き回ることを指す。”ヴァンダー”も

もちろんその類の悪魔ではあるが、言うとなれば


「目的がなければ、どこにもいかない」

「逆もしかり、どこにでもいるしどこにもいない」

「ゆえにどこにも行けることができる」


(って、ことです)

(だからこの学校の隅から隅まで探して俺たちの

 仲間らしき奴らを見つけてきてほしい)

(”仲間”……というのは……単純に「悪魔」ってこと

 ですかい? あるいは、私たちみたいな「眷属」

 みたいな捉え方でいいのかい?)

(そうだな、とりあえず”眷属”ってくくりで探して

 もらってもいいか?)

(あいよ、了解。そうせんと探すのがどうにも

 苦手なんで、対象を限ってくれればなんぼ

 でも探せますわ)

(ああ、たのんだぞ)

(はいよー)


 ……と気が付けば”ヴァンダー”は消えていた。

元々、神出鬼没な悪魔でふとしたらいない

なんて何もいたって普通のことだ。初めて

俺が”ヴァンダー”を呼んだときは驚いたが、

もうこれには慣れた。


 俺の悪魔探しは”ヴァンダー”に任せておく

として、壁をよじ登っているであろう義堂と

生徒会室で会わないとならないな。


「ーーーふぅ……よし」


 疲れをあまり感じない悪魔である俺でも

さすがにここ数日に動きすぎた。ため息の

一つくらいつきたくなるさ。


 俺はミコと義堂がいなくなった部室を

出て、生徒会室に向かった。別段俺は暗くても

問題はないが、何も持たずに突っ走って

行ったミコのために懐中電灯を持っていこう。

この懐中電灯はもちろん体育倉庫に放置

されていたもので、電池さえ入れ替えれば

全然使えたので使おうかと思う。


 しかし、夜の学校というのはなんというか

行くことがないためテンションが上がるな。

多分、こうやって何度も調査のためにこんな

時間にうろつきまわっていればいつかは

飽きが来るだろうが。


 そうこう考えているともう生徒会室の

目の前についてしまった。あとは義堂が

ここを開けてくれるのを待っていればいい。


 …………


 と思ってから、20分が経った。


 あれぇ……義堂君、そんな壁のぼるのに

時間かかってますー? いや、確かに

学校の壁登るって時点でもう人間業の域

ぶち抜いているが……


 ガチャ


 あ、やっと、

……ってこれ違うな……


 …………


 ピッ


「もしもーし、今校庭でーす」

「ミコお前いつ俺の携帯の着信音変えた!」


 なんで扉の音が俺のポケットのそこから

なってんのかなぁって思ったら、俺の携帯の

着信音だ、これ!! 前にミコの着信音が

「ほら貝」だったけど何勝手にそういう

センスを流行らせようしてんだよ!!


「それで何、どうしたんだ? さっきから

 義堂が生徒会室から出てこないんだが」

「うんそりゃ、目の前にいるもん」

「なんでいるんだよ!」


 登ってないのかよ。俺がずーっと部屋の

目の前で待ってたのは何だったんだ。


「それで、何か問題でもあったのか?」

「問題はないんだけど……私がここで見張って

 いればいいんでしょ?」

「? いや、まぁそうだが……」

「そしたら私がここでほったらかされることに

 なるでしょうが!!」

「お前が義堂を止めてるんじゃねぇか!!!」


 やっぱ怖いんじゃねーか!! 本当にこんな

”聖職者”が部長として除霊作業がこれから

できるのか。


「それで今、義堂を待たせているのか」

「うん」


 めっちゃしょんぼりした声で言ってるな。

それに付き合わされている義堂も可哀そうに

なってくる。でも本当にこのままでは

ここでさらに20分延長になりかねない。


「わかったわかった、状況は理解したから

 ひとまず俺が電話でもいいから相手に

 なってやる。だからその間に義堂を壁に

 登らせてほしい」

「え、でも私の携帯電話の充電もあまり残って

 ないんだけど…… 私今日、充電忘れてて」


 充電器持って来ている友達の一人くらいいる

だろ。と最初は思ったがそういえばミコの携帯は

一時代遅れて”折りたためるボタンタイプ”の

電話である。”スマート”じゃない”フォン”だ。

それに対応した充電器を学校に持ってきている

学生だなんて、このご時世見たことないな。


「ああそうか、でも義堂の携帯でも使えば別に

 問題ないだろ」

「いや、さっきギドー君の携帯でツムОムしてたら

 充電切れちゃったよ」

「お前は人の携帯で何してるんだよ!!」


 この野郎は前から思っていたが”人の”携帯で

色々とやるの好きだな、おい! それとさっき

ツッコみ損ねたけどなんで勝手に俺の着信音

「ドアの開閉音」にしてくれてんだ!!

まだ「ほら貝」のほうがましだわ!!

だからって「ほら貝」もどうかと思うが……


「って、義堂ツムОムやってるの!!?」

「生徒会長に言われたからやってるんだって。

 ギドー君はあまりやってないみたいだけど」

「生徒会長が?」


 たぶん、俺のツイッターみたいに何かしらの

勧めで携帯に入れられたんだろうな。


「で、義堂はそれを自分でやらずにミコに

 やらせていると」

「やらせているって言い方はなんか違う気がする

 けど、そんな感じかな」


 ちなみに、作者はツムОムをしたことがないため

どんなものなのかはわかるが具体的なゲーム内容

までは理解できない。


「すごい得点でて、びっくりしたよ。まさか

 あんなとこで揃うとはね」

「へー、何かを揃えるゲームなんだー。確か

 ”なんか”のキャラクターがモチーフなんだっけ」

「そうだね、イーソウって鳥もいるしね」


 ? そんな鳥のディズОーキャラいたか?

ってさっき”なんか”とわざわざぼかしたのに

ディズОーって言っちゃったよ。


 って、イーソウって……


「それと聞いて聞いて!! 私さっきのすごい

 得点っていうのがドラ2の国士無s」

「節子、それツムОムちゃう! ツモツモや!」


 まったくの別ゲーじゃねぇか!! それにしても

そのスマホゲーム考えた人のネーミングセンスは

称えるものがあるな。ま、パクリだけど。


 それとドラ2の国士無双ってすげぇな、おい!

裏ドラ込みでの国士無双ってかなり運いいぞ。

そのときのスクリーンショット残っていたら、

義堂から見せてもらお。


 閑話休題


「それで、充電は後どれくらい残っているんだ?」

「このままだと……電話もしていることだし、

 後、5分が限界かなぁ……」

「わかった、だから早くしてくれ。俺もかれこれ

 30分近く待ってて待ちくたびれてるんだよ」

「それはごめん。でも、電話したままだから怖くは

 ないし、ギドー君、行ってもいいよ」

「あ”? 行ってもいいのか?」

「電話でココと話しているし、大丈夫!」

「おう、ならとっとと行くぜ」


 悪いなぁ義堂。こんな怖がりっ子の面倒まで

見てもらって…… 学校祭といいミコ救出といい

義堂にはけっこう大変なことをさせているな。

って、これほとんどミコ関連の問題じゃねーか。


 生徒会室は前にも言ったと思うが2階にあり、

頑張れば登れないこともない。いや、仮に

生徒会室が3階とかにあるんだったら義堂に

「そのまま屋上行って来い」と言っている。

でも、義堂はあくまで「人間」で、鉄パイプで

殴られればけがをするくらいまだまだ”人”の

枠には収まっている。そこを配慮して2階が

義堂が登れる限界かと思っていたが……


「義堂はどんな感じだ?」

「今0.5階くらい……?」


 つまりは半分ぐらいは登ったってことか。でも

その言い方だと義堂が地下にいることになるぞ。だが

この調子ならスムーズに生徒会室に入れそうだな。

って、そんなスムーズなら本当にミコのせいで

俺が待ちぼうけしてただけじゃねーか。


「あ!」

「なんだ!!? どうした!!?」

「充電なくなりそう!!」


 充電がなくなればミコとの連絡手段がなくなる。

そうならないうちに義堂に生徒会室に入って

もらわなければな……


「義堂は?」

「今、手が届きそうな場所がなくて戸惑ってる」

「ってそれであとどれくらいで行けそうだ?」

「ええっと…………あとどれくらいで登り切れるー?」

「うっせぇ!! 話かけんじゃねぇ!!」


 直接本人に聞くのか。


「………えーっと、もうこれ以上は足場がないから

 上に行けない、とのこと……」

「ええ!? 嘘だろ!!?」


 さすがに義堂を過大評価しすぎていたか……

電話越しに「フレーフレー」とミコの貧弱な

応援が聞こえる……


 と、思った時だった……


「ミコおおおおおおおおおおおおお!!!!!

 そ、こ、を、どけええええええええ!!!」

「うえぇ!?」


 ズドン………!!!!


 鉄の塊が落ちたような音が電話から鳴った。

義堂が諦めて地面に落ちた……訳ではなかった。


 バシュッッッッーーー………!!


「おらああああ!!!!」


 空を切る音、そして空気を掻っ切るような

義堂の叫び声が電話越し……いや、生徒会室の

奥から聴こえてくる。


「な、なにがあったんだ?」

「すっごぉ!! ギドー君、地面に落ちた反動で

 飛び上がって2階の窓に辿り着いたよ!!」

「義堂ってホント常識通じねぇな」


 やはり筋肉馬鹿はこういう場面で楽しませて

くれるものだ。ったく、よく怪我なくそれが

できるだけのスタンスがあるな。


「はぁ……やっと生徒会室に入れるな……

 ミコ、よく……」

「………ピーーー、メッセージを……」


 ギリギリのところで充電が間に合った。

生徒会室でガタガタと音がしていることから

今、義堂が唯一開いている窓を探しているの

だろうな。


 ガチャ


 あ、やっt


(いえ、私の声です)

(お前かよ!!)


 今話二度目の登場”ヴァンダー”だった。

もう「鍵開いたかと思ったら違ったネタ」は

いらないわ。


(だから久しぶりだと言ったでしょう? こう

 久しぶりだと冗談の一つや”二つ”言いたく

 なると)

(そんなどうでもいいところでフラグ回収は

 しなくてもいい)

(一応、この学校の中は廻ってみましたよ、ええ

 今はその報告に、と)

(え、ずいぶんと早いじゃないか?)


 と思ったが、”ヴァンダー”を放ってからもう

30分以上過ぎている。どんなに方向音痴な

奴でも学校内を回るのに30分もいらないな。


(それで、どうだったんだ?)

(ヒットゼロ)

(え?)

(どーにも、マスターとおんなじ香りがする

 悪魔とか、霊というのはいませんでしたね)


 ん? どういうことだ? ”学校七不思議”の

大半の原因が俺かと思っていたが、曲がりなりにも

そういうわけではないということか……?


 それに何か重要な何かを忘れている気がする。

なにかをほったらかしにしたような……


 __________


「うええええええん、電話でてよココーーーー

 一人でここに放置されるのはイヤだよーーー

 ギドーくーんーーーーー、ココーーーーーー

 誰か、いませんかーーーーー……………………(泣)

 しくしくしくしくしくしくしくしく…………」



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