35.てっぺんを獲ろう
「さぁー!! これまた作者の計画不足で
中途半端なポイントで次回になりましたが
これより、決勝戦を始めたいと思います!」
これはいいわけなのだが、この小説が
一話一話と進むほど、文字数とかが色々と
増えてるのだ。前だったら3000字あれば
十分くらいだったというのに今では普通に
4000字とか一話にかかっている。ここまで
(ほぼ)一日一話更新なのだが、それができなく
なりそうだ。もし「更新されてないなぁ」と
思ったらこれが原因だと思ってくれ。あくまで
作者は”アマチュア”で”初投稿作品”なのだ。
大目に見ていただきたい。
「では、チームの紹介に移ります!!
まずは期待候補第一位(生徒会調べ)の
現在、ノーミスノーアラートを続けている
最強チーム「野球部」!!」
「「うおおおおおおおおおお!!!!!!」」
ちょっと待て。”ノーミスノーアラート”って
解答ボタン押してないよね!? どうやって
ここまで勝ち進んだんだ、それ!?
「そして、乱入と奇抜な答えで会場の心を
依然としてわしづかみにしている隠し玉!
どうやら生徒会が裏でひそかに温めていたと
噂されるキラージョーカー「異能部」!!」
「「うおおおおおおお!!!!!!!!!」」
さっきから思ってたが、なんなんだこの謎の
盛り上がり方は。さすがにテンションだけで
盛り上がっているにはキツすぎないか?
「ちなみに現在、野球部は「1.2倍」で、
ノーマークの異能部はなんと「2.8倍」!!
これはまさかまさかの大番狂わせがあるのk」
「あーっ! ちょ! それ言わない約束!」
……
「「……会長?」」
いつの間にか俺たちの後ろに副会長がいた。
急に出てくるなよ。驚くわ。だが俺と副会長の
言いたいことと思ったことは一緒だった。
「え”、い、いや。ちょっと……。先生方に
少し、商売のことを提案、してて……」
「「会長おおおおおおおおお!!!!」」
どおりでパンフレットに書かれてないわけだ。
やっぱり生徒会長は生徒会長らしくないな。
だが、今回のこれは悪い意味で使っている。
って、意外とあくどいことするんだな。
抗争を止めに”不良”を使う時点で確かに
まともな生徒会長じゃないとは思っていたが。
「おっほん。これは失礼、口を滑らせました。
ではこの2チームに挑んでもらう問題はこちら!
問:現在、企業では残業のシステムの見直しが
進んでいる。特に大手企業の残業時間が
一定の時間を越えているとの問題も浮上
しているとのこと。この問題以前にも、
企業団体では就業時刻を越える労働に
対する大きな反感も大きくなりつつある。
1週間当たりに可能な就業時間と残業時間は
なーんだ?
さて、これは難問ですねぇ……。ではドーゾ!」
「難問過ぎるだろぉ!!」
なーんだ? じゃねーよ!
なんだこの問題!? 話題のチョイスがリアル
過ぎるし社会が得意なヤツにしかわからないだろ!
ちなみに俺は社会が得意なのでこたえられる。
ドヤァ。
「おや? さすがの難問。両チーム手がボタンに
のびません!! これはどうなってしまうのか」
こんなリアルな話題だと、面白いことも言えない。
ボタンが押せないのも仕方がない。
ピンポーン
「日本語でもう一度お願いします」
ここで野球部が動く。これは不意打ちで多少の
面白味があったがものすごく面白かったという
訳ではない。だが、義堂とミコが答えられない
この現状ではこれが最良手だと言える。
答えれば「勝ち」なのだから。
「……」
これでも義堂とミコは動かない。問題の意味
すらわかっていない可能性も出てきた。これでは
3話と伸ばした”クイズ大会編”がしょっぱい
結果に終わってしまう。どうするんだ……
ピンポーン
押したのは義堂だ。何かいい答えが……
「わりぃが、俺たち二人にぁわからねぇ。
だからよ、同じ部活のアイツに答えてもらう
っつーのはいいか?」
「あ、ココ確か頭良かったもんね」
義堂-----。
俺頼みかよ! しかも今回はミコがさっき
やったみたいにジェスチャーなんかじゃなく
直接マイクで俺のことを指名しやがった!!
「んー、どうですかー? 会長ー?」
「いいんじゃない?」
会長が主催者だから最終決定権は会長本人に
あるわけだが、もっと悩んでから決断しては
いただけないか。こんな妥協みたいな答え方で
俺が納得すると思ってるのかよ!?
「はーい、ではそこの部員さん! 解答権が
移ったんで、答えをドーゾ!!」
「あーっと! ちょーっと待って! ストップ!
スタンバイ プリーズ!!」
今ので俺は後ろの方で見ていただけのただの
観客から大会に参加する当事者に無理やりされた。
生徒会長が俺は向いてないって言っていたのに、
なんでこんなことに。ってそうか、あいつらが
答えないことにはこの大会自体も”しょっぱい”
ものになってしまうのか。だからこそ最後の
切り札として俺が指名されたのか。だったら
こんな問題を作ったバカを指名してほしい。
俺は基本的に”あがり症”だ。こんな大舞台で
悠長に喋れるほどの肝は持っていないし、今まで
しゃべろうとだなんて思ってもいなかった。
しかも、「正解」ではなく「粋な不正解」を
求めているのだから、余計変に考えてしまう。
どうすればいい、このまま答えを言うのは
この大会のシステム上、いいことじゃない。
だからといって全く見当違いの答えを出しても
無駄に目立って終わりだ。よく考えろ、よーく
考えるんだ。ここでは逆に言えば何でも言って
いいんだ。それに観客から賞賛されるだけの
ものをいうだけだ。いやいや、それができたら
俺はとっくに挑戦しているし、こんなにも
悩んでいない。さっきも言ったがこれは
間違いなく難問だ。専門的な知識を問う問題で
ボケるというのは、それなりの知識がいるし
観客が俺がボケていると数少ない知識から
気づく必要もある。ここまでくるとこれは
俺だけの問題じゃなくなり、観客の趣味思考を
考察して言った方がいいのか。だが、生徒
一人一人を見ながら答えを見つけ出すだけの
時間とコミュニケーション能力を俺は
持ち合わせていない。先生方ならある程度
同年代ってだけあって話題が…………
……
それ、使えるんじゃ?
「さーて答えは出ましたか? では
答えは何時間でしょうか!?」
「……」
「……」
「……答えは
40時間と15時間だ。
……これはちゃんとした基準のもと作られた
法律の一つで、一般に一週間に働く時間は
必ず40時間に収めると決まっている。だが
これを換算すると、1日休みがあるとして
40÷6で約6時間と10分となる。つまり
ふつうの企業の就業時間である9時から16時
というのは原則としては違法なのだ。だから
この問題を解決するために”残業”のシステムが
存在する。だが、残業があるからと働きすぎ
では全く意味がないためこれにも規制があって
それが15時間という制限だ。これで、多くの
企業の現場環境は良くなったとは思う。
だが、これに該当しているというのに、
今まで、そしてこれからも問題視されず
延々と酷使されるのが、ここ学校なんだ。
俺たちが学校に登校する前に学校にきて
一通りをこなし、生徒の悩みとかを聞いたりと
忙しく、結局帰るまでには合計10時間と
就業するのが教師だ。こんな実態でいいのか!
そしてこの残業の問題が出てくるのはいつも
ゆとりがはびこる企業のボンボンだけだ!
対して教師が今までに頑張って来た苦労を
しり目に楽をしようとしているのが、この
残業の問題提示だとは思わないだろうか!?
学校のシステムはかつてから、問題に出ていた
にもかかわらず何も変化がないのは、本当に
問題にしているのかという疑問につながる。
いや、そうでもしないと教師としての威厳が
成り立たないというのが建前なんだろうな。
だったら、教師諸君! どう受け入れる!?
この問いに対していかにして受け入れる!?
これが実態! これが正体! そして俺は
問いてみせる。
これが本当にこの場で出す問だったのかと
いかに愚かで、いいように国に使われる教師が
”理想”の教師と言えるのか。否、言えるはずが
ない! それも絶対にだ! だからこそだ。
俺はこの問題にもう一度答えてやるさ。
40時間と15時間なんて生ぬるいと!
日本がこれを作ったとしても罰さないなんとも
”キレイゴト”をならべる国だと!!!!!」
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こんなに言ってなんだが、40時間と15時間は
本当に正解で、これをいかに観客に印象的に
言うかが問題だった。だからこそ俺は、観客の
層を絞って俺と同年代の「特別審査員」である
教師たちをターゲットに話した。
後は、まぁ、うん、”勢い”ってヤツだ。
俺は盛大な拍手をもらった。特に教師から。
現場にいた生徒の大半は、教師につながる
ように拍手を俺に送る。なんだろう……
何かに勝った気分だな。
そして、「異能部」は特別審査員の追加点に
よって野球部に圧勝し、”初代優勝チーム”の
称号をもらった。優勝した際にもらったメダルは
後に部室の”井上”の首にぶら下がることとなる。
”井上”とは部室にいる仏像のことだ。
そしてこれは後日談なのだが、学校祭が
終わった後、数人の教師が辞任したようだ。
……悪いことをしたなぁ……。




