32.義堂に会おう
「なんで、あんなのに2話も使ったんだ」
「ココ、メタ発言もろに言っちゃってるよ」
前回、前々回と本編とまっったく関係ない
ミコ出演の劇、”心霊恋愛”を見ていたわけで
すっかり本編から離れて”番外編”を
書いてしまっていた。
演劇部の公演が終わり、今は生徒会長の
次の仕事の連絡待ちといったところか。いや、
義堂がまだ執事喫茶で頑張っているのか。
あ、それだ。
「ミコ」
「ん、急に何さ?」
「義堂のいってる店に行かないか? どうせ
今はやることなくて暇だし」
「えー、拙者、働きたくないでゴザルよー」
「仕事でいくんじゃねーよ。俺たちまだ昼飯
食べてないだろ? だから、義堂の店なら
ちょうどいいかなと」
生徒会長から写真を所望されているし、
行くなら今しかないだろうな。……なんで
生徒会長の下で俺たちはこんなにも
こき使われてるんだろうか……。
「あれ? ギドーくんって今、食べ物の店の
手伝いやってるの?」
「生徒会長からいわれてないの?」
「え、いわれてないよ」
あれ、生徒会長忘れてたのかな。
「で、ギドー君はどこの教室で作ったり
食べたりしてるの?」
「何を作ってるかはわからないが、多分2階の
3年の教室でやってると思うが」
執事喫茶、というのは言わないでおこう。
どうせ店の前に来たら察するだろう。それと
店員だから作ったりはするだろうが、それを
食べたりはしないと思うぞ。うん。
「そうだね、おなかも減ったしそこで昼を
済まそうか。それにギドー君に私がちゃんと
巫女として役目を果たしたって言いたいし」
自慢のために仕事場を覗きに行くなよ。
それ、結構腹立つよ、それ。
「ってそうだ! 私の活躍はどうだったの!?
どーせ見てたんでしょ?」
気づいてたのか。そうだな、確かに俺が前回
言ったのは劇の感想であって、巫女役のミコ
単体での評価は言ってなかった。だが、
その前に……。
「その前にひとつ聞きたいことがある」
「?」
「亡霊はずっと殴って祓ってたのかお前?」
「当たり前でしょ。口で効かない奴等は
拳で聞かせろっていうでしょ?」
「先輩に今すぐ謝って来い!!!!」
なんだそのパワーオブロックな格言は。
ハンムラビ法典もびっくりだわ。
「目には目を、歯には歯を」じゃなくて
「目には、目と歯と拳を」だな。怖いなそれ。
で、ミコの感想なのだが本音を言うと
とてもかっこよくきまっていた。セリフも
気迫があり、最後の亡霊を祓うシーンは特に
鬼気迫る名シーンだった。これは俺個人の意見
というわけでもなさそうだな。現に、俺が
受付をしている間に書かれた感想文がそれを
物語っている。
……と、言うのは気が引けた。
だってクールキャラの俺がこんなこと言ったら
恥ずかしいじゃん。
「いやぁ、そんな気迫があった演技だなんて
そんなそんな。フヘヘヘヘヘ」
「お前、今だけは読心するのやめろぉ!!」
こういう内容のことは読み取らない暗黙の
了解だろ!? 何フツーに読んでるんだよ!?
と、そうこう言ってるといつの間にか俺たちは
2階の3年生の出店が出ている階に着いていた。
後はこの数ある出店から義堂が働く執事喫茶を
探し出せばいい。
ちなみに言っておくと、当たり前でもあるが
うちの学校には「執事部」たるものは
存在しない。出店の主催は「料理部」であり、
働き手は「サッカー部」から持ってきている。
さすがは運動部といわんばかりに美男子が
うちの「サッカー部」には多く、それに
「料理部」が目をつけたのをきっかけに
こうやって出店をやっているらしい。
とは言ったものの実は「サッカー部」では
ない人もいるようで、まぁ、なんだ。
かっこよければいいんだとよ。
そして、このシステムを聞いたときに
「それ義堂の手伝いいらないでしょ?」と思ったが
これを提案したのは生徒会長だった。完全に
私情で義堂に仕事させてるだろ、これ。
どんだけ義堂の執事姿見たいんだよ生徒会長。
ピロン
「拝啓 神前様へ。
僕はみんなのアイドルだよ。だから義堂君だけ
見てるだなんて侵害だなぁ。僕はノンケだって
食っちm
「そいやぁ!!」
ガッ……!!
「どうしたの!? 急にとち狂ったように携帯
床に投げつけて!!?」
「いや! なんでもない!! だから聞くな!!」
生徒会長はもうちょっと自重した方がいいと思う。
後、どこから俺の心の声を聞いたんだ、おっかねぇ。
それと二度と「阿部」をこの小説に出すんじゃない!!
それこそ、R15になっちまうよ。
「お、あの店かな?」
店の名前までは聞いてなかったが、多分あそこで
当たっている。めっちゃいい匂いが教室からする
のだから。が、残念ながら悪魔の俺はそれでは
飯テロとはならないのだよ。滴る血がメニューに
あるのなら完全に飯テロなんだがな。
カランカラン
「「「いらっしゃいませ、お嬢様」」」
「(´・ω・`)?」
ミコが「は?」みたいな顔でこちらを見てきた
こっちみんな。
「あれ、ギドー君ここでちゃんとしっかり
働いてるんだよね……?」
「ちゃんと、とまでは知らないけどしっかりは
やってるんじゃないか? ああ見えてけっこう
やることはやるやつだろ」
「ここ、って確か”ホストクラブ”ってヤツだよね?
そんなとこに務まるとは思えないんだけど……」
厳密には”執事喫茶”が正しいが、まぁ大方当たって
いるからよしとして、俺も思ってはいたが、同じ部員
として部員の能力を信じてやらないとな。と思った
矢先、部長がその部員を信じてないんかい!!
ちょっとは部下の能力信じてやれよ!!
「お嬢様、本日のご予定は?」
「ちょっとココ、呼ばれてるよ」
「だれが”お嬢様”だよ」
テンパってるなミコ。何故かは知らないが。
「え、っとー。昼ご飯を食べれそうだったので
来ましたんだがども、ここにギドー君は
おらっしゃいましょうか????」
すごい敬語だ。俺だったら入社試験一発で
落とさせかねない程ひどいな。さっきの
劇での演技が嘘のようだ。
「ああ、手伝いの義堂のお友達ですか? 今は
あちらの部屋で応対しています」
「え、あちらの部屋?」
今度は俺が店員に聞いてしまった。うわぁ、
その部屋でナニをするんだろうねぇ……。
「はい、義堂はそこの個室で別のお嬢様と
対話を楽しんでいます。しかし、お友達と
いうのでしたらすぐにお呼びしましょうか?」
「いや、いいですよ別に」
「左様でございますか。それでは義堂の手が
あき次第こちらの席に来るよう手配しておきます。
それでは、ごゆっくりしていってください。
メニューはそちらの冊子になります」
そういうと”あちらの部屋”にその店員は
入って行った。俺たちがこの店にいると伝えて
くれたんだろうな。それにしても、あの店員の
執事役の板のつき方が半端なかったな。
「それで、私たちはどう対応したらいいんだろ……」
「いや、こういう”雰囲気”の出店ってだけで
やってるのは同じ生徒だろ? 別にそんな
マナーとか気にする必要はないだろ」
「いや、心配してるのはそーゆーことじゃない
ココが”こんなとこ”にいていいのかな?
ってことだよ」
「……」
そういえばここは執事喫茶で、俗に言う
ホストクラブの延長にあるようなタイプの店だ。
男の俺が入ってもいい店でもない。確かに
さっきから俺のことをちらちらと”こっち”の
人間なのでは? とみてくる女性客がいる。
だが、義堂の写真を撮ってこいって言われたんだ。
別にそれくらいなら問題ないと思って生徒会長は
俺に頼んだ……。
ん? まさか、自分が”この店に入りたくない”
から俺を使って義堂のことを撮ってきてほしい
って言ったのか!!? 騙されたぁ!!
「んだよ、さっきからうっせぇんだよ。ここは飯屋
だぜ。ちったぁ静かにできねぇのか?」
「あ、ギドー君だ」
「ったく、”指名”があったっつーんでまた誰か俺を
呼んだんかと思ったらてめぇらかよ」
「お疲れ様ですー」
義堂ももちろん執事の格好をしているのだがどうも
似合っているようには見えない。いや、今までの
暴力沙汰だったりと色々と見てきた関係で俺が
そう見えているだけであって、他人から見たら似合う
と答えるかもしれないな。身長も高く、顔つきも
キリッとしてて本当は似合うはずなのだが……。
似合ったとしても、闇金取引組織の中核にしか
残念ながら見えない。
「わー、似合ってないねギドー君」
御前選手、初球ストレートが入った。
「あ”? んなもん当たり前だろ? 俺にんな
真面目な恰好っつーのは似合わねぇよ。
それよりもとっととなんか頼まねぇとまた
夕霧に呼び出されるかも知んねぇぞ? 特に
今は昼時で人手が足りないとか多そうだしよ」
時間は昼の12:40頃だ。確かに昼ご飯を食べる
ような時間ではあるが、俺たちはもっと早くに
演劇の仕事を終えてこの店に向かったというのに
色々と話していたら、ずいぶんと時間が経ってしまった。
「えーっと、それじゃ」
ぼおおおおおおおおおっ
「ん? あ、生徒会長からメール来た。
昼からの仕事の連絡だって」
食べた後に連絡してほしかった。が、
それよりもミコの着信音が「ほら貝」なことに興味が
行ってしまい、言うことができなかった。
あれ? 俺には来てないぞメール?
「ミコ、俺のところに来てないから内容を
見せてほしいんだが」
「え、ココのところには来てないの? あ、
そーゆーことね。了解」
?
何を言ってるんだ? と思ったがその答えは
すぐに分かった。
「拝啓、敬愛なる御前様へ
朝の部のお仕事お疲れ! この調子で昼の部も
頑張っていこー!! それで、君たちご飯食べて
ないでしょ? だから、ご飯食べてでもいいので
体育館に来てほしいんだけど。
P.S:神前君は先に生徒会室に来てほしいです。
何か僕に渡すものがあるんじゃないの?(ギラリ)」
今度は体育館で働けということか。本当に
人にする頼みごとが多い生徒会長だ。
「っつーか、とっとと喰うもん決めろよてめぇ。
夕霧に呼ばれてんだったら急がねぇとな」
「あ、あぁ、えーっとこのパウンドケーキと……
義堂の姿写真をもらえるかな?」
「神前、お前気持ちわりぃぞ」
「……」
そのセリフは生徒会長に言ってくれ。




