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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
前の祭り
31/445

31.活躍を見届けよう

 ピロン


 急に俺の携帯が鳴った。劇の最中なので

本当はマナーモードにしておくべきなのだが、

うっかり忘れていた。メールのようだが一体

誰が俺に送って来たんだ? いや、予想は

ついてしまうが。 ……ん?


「拝啓、神前様へ。


  今回の話は劇”心霊恋愛”でほぼ埋まる

 ので、正直なところ本編とは関係ありません。

 ですので、ミコカゴ:番外編のような感覚で

 読んでください。ちなみに学校祭編はまだまだ

 続く予定ですので、なにとぞよろしく。


 P.S 誰でもいいので「異能部」メンバーの

 イラストとか描いてくれませんかねぇ……?」


「作者かよ!!!!」


 予想外だわ、こんなの! それともっと

計画的に小説を書けよ、いい加減!!


男1「大丈夫なのか?」

男2「大丈夫だろ。幼馴染なんだろ?

   ちょっとは信じてやれよ」


 そうだ、俺がこう作者にいちゃもん付けている

間にも劇は進んでいるのだ。これ以上は、あまり

話さない方がいいだろう。


 ガラガラガラッ


巫女「そこのお二方、どちらか一人。私に

   ついてきてただきたい」

男2「は?」

巫女「そうですね。特にあの子と仲のよろしい方が

   いいかと……」

男2「その前に、大丈夫だったのかよ。ちゃんと

   祓ったんだよな?」

巫女「……ええ、ですが、一つ話がありますので

   どなたかこちらへ」

男1「……ああ、なら俺が行くよ」


 男1は男2と別れ、巫女と二人っきりになった。

実は台本の内容は詳しくは覚えていなく、ここからの

展開はイマイチよく分からない。


男1「大丈夫なのか?」

巫女「ふぅ、実のところ祓えていません」

男1「え!!?」

巫女「あのような霊というのは祓えない。

   できるとしたら宿主を変えるぐらいしか

   ありません」

男1「……だったら俺が……!!」

巫女「ええ、そのことを伝えようと思い貴殿(きでん)

   呼んだのです。私、小恋(ここ)の手が及ばなかった

   ことは悔しく思います。そして、貴殿(きでん)のその

   判断は覚悟をもったものだと受け取りますが

   本当によろしいのですか?」

男1「……もちろんだ!!」

巫女「ええ、ではこの部屋にお入り下さい」


 おお、そこは本名を用いるんだな。それに

ちゃんとこういうセリフもきっちり言えるのか。

いや違う、あれは俗に言う

”仕事モード”なだけだろう。実際に巫女として

神社で働いているのだったら普段はこうなの

だろうな。前に俺にミキ救出の協力をあおった

時もこんな感じだった。かっこいいじゃないか。


巫女「では、始めます

   __臨兵闘者皆陣烈……__」


 そういえば、この”おまじない”なのだが、

後にこの言葉を調べてみると、どうやら

ちゃんと正式なもので、「九字護身法(くじごしんほう)」という

名前だった。これは自分一人でできるもの

ではあるが、実際にやるとなると逆に霊を呼ぶ

可能性があり見よう見まねでやってはならない

代物(しろもの)のようだ。


 あ、だから3話で見よう見まねでやってた

「悪魔召喚」に過剰な反応を見せたのか。

これは巫女としての常識の一つなのだろう。


巫女「……!! ……

   ……ふっ、これで霊は”祓えました”。

   安心してください」

男2「ふー、よかったな! あー、一時(いちじ)

   いったいどうなるかと」

男1「……あぁ、調子はどうだ?」

女1「うん、なんかスッキリした! ありがと」


 短く内容の薄い劇にするはずが、作者の妥協が

効かなかったがために長くなっているので、

今の状況を整理しておこう。最初、女1に霊が

憑いていたが、巫女の力で男1に霊が移るまでが

前半のあらすじだ。そう、まだ前半なのだ。

いかにこの作者が無計画に話を作ったかが

わかるだろう。


 ここまで内容の濃いものに

なるとは思ってなかったです。はい。(作者)


 そして後半は学校から始まり女2と男1が

一緒に話すシーンから始まる。


女2「……あんた、大丈夫? 顔色悪いけど」

男1「ああ、大丈夫だ。なんでもない」

女2「……あんた、何か隠してない?」

男1「……」

女2「ボケても無駄だよ。いっつも元気に

   飛び回ってるあんたがこんななのって

   どーせ、あの日祓ったって言ってた霊が

   関係してるんでしょ?」

男1「……霊は、祓えていない」

女2「え?」

男1「今、霊は俺に憑いている。それで彼女が

   助かるなら俺は命だって賭けれるよ」

女2「は? 意味わかんないんだけど!?

   なんでこんなになるまで助けたいの!?」


男1「俺はあいつが好きなんだ。だから俺が

   守ってやりたいんだ」

女2「……そう、なんだ……」

男1「だから、こうでもして助け……た…‥い……

   ………………」

女2「ちょっ、あんた、どうしたの!?」


 男1がそのまま倒れてしまい、場面は

保健室へと変わる。ここで男1と女1が

互いに片思いをしていることを知る。いや

俗に言う「両片思い」ってやつか。


男2「おいおいおい、何があったんだよ!?」

女1「え、そんな……」

女2「……」

男2「おい、何黙ってんだよ? 何か知ってる

   のか? 答えてくれよ!!」

女2「……霊は祓ってないんだって。それで今

   霊が体を(むしば)んでいるの……」

女1「……な、なんで私のために……?」

女2「そんなの、あんたのことが好きだからに

   決まってるでしょ!? そういってあいつは

   霊を自分に取り憑かせたのよ」

女1「私のため……? そんな、いやよ私……

   まだ伝えてないことが……」


 プルルルルルルルルルルルルルルル


 ん? また俺の携帯でもなっているのか?

……違うな、こういう演出で鳴っているのは男1の

電話だ。男2が電話に出る。相手は巫女だった。


巫女「おや、あの少年はどうされた?」

男2「今、倒れて寝ている!! なんで祓わず

   別のヤツに憑かせたんだよ!!?」

巫女「……それは、あれがあの時にできる最大の

   判断だったからであり、最良の選択だった

   からです。ですが、こちらも一つ方法を

   思いついた次第で、こちらから連絡を

   しました」

女1「……助かるの?」

巫女「わかりませんが可能性はあります。ですので

   こちらの神宮に連れてきていただきたい」


 やっぱミコの敬語は聞き慣れないなぁ……。

さっきまでジャンケン一つで本気(がち)になってた

ヒロインだぞ、アイツ。


男2「はぁはぁ、連れてきたぞ」

巫女「左様ですか。こちらへ」


 男2が男1をおぶって神社にやって来た。

って”連れてくる”じゃないよな、それ?

”持ってきた”が正しいよな、それ?


巫女「さて、これから何をするのかを

   説明しましょう。まず、この霊について

   ですが前は”祓えない”と言いますたが、

   厳密には”引き剥がす”ことは可能です」


 あ、今噛んだなミコ。


巫女「どうするのかといいますと、霊に宿主が

   死んだと思い込ませ、宿主から出て行かせる

   というものだったのですが、こうも状態が

   悪いのでしたらそれは無理難題でしょう。

   なので、貴殿らに外部から其の方に影響を

   与えさせればよいのです。それには特殊な

   紋術(もんじゅつ)が必要なのですが、これは私がしましょう

   貴殿(きでん)らは私のもと其の方の意識に入り込み

   其の方を何かしらの手段で助けていただきたい」

男2「なんで、こんなにもしてくれるんだ?」

巫女「……これは私の「エゴ」ともいいますかね。

   私が祓えなかった霊というのはここ近年

   何一つとしていなかったものですから。私の

   誇りに傷をつけたというのが正しいでしょう。

   なので、これは私自身の戦いでもあります。

   こう見えても私は”最強の巫女”だと自負

   していますからね」


 最後のセリフは台本にはなかったな。ミコが

言いたいと懇願したんだろうなぁ……。それに

しても、噛まずによく言えるなこのセリフ。

さっき「いいますた」ってどこぞのネット用語

みたいなこと言ってた割に。


女1「私にもできますか?」

巫女「ええ、無論。それに貴方が一番適任かと」

女1「私、坂木君を助けたいんだ!!」


 あ、男1の名前「坂木」って言うんだ!

今知ったよ。それと、シリアスなシーンでの

水を差す発言は非常に申し訳ない。


巫女「……よろしいですか? では始めますので

   ほかの方々はお引取り願いたい」

女2「ええ、わかった」


巫女「受想行識亦復如是……」


 これは確か般若心経(はんにゃしんぎょう)の一説だな、さすがに

人の意識に乗り移る呪術というのは俺でも

聞いたことがない。創作っていみでも

ここは既存の”まじない”を活用したようだ。

それに、ここまで完璧に般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱えられる

人材も学生では珍しいな、オイ。


女1「坂木君を返して!!」

亡霊「ほう、この者「坂木」というのか」


 ここで初登場”亡霊”。前半では声だけの

出演だったため、本物を見るのはこれが初だ。


亡霊「そう簡単に我が返すと思うたかぁ!!」


 ブシャーーーーーーッツ!!

??「ワ”ッ」


 大きな音とともに、亡霊が(とどろ)(うごめ)く。

その大きな音にびっくりして舞台裏でミコが

少し声が出たのは聞かなかったことにしよう。


女1「坂木君! 私、あなたのことが好きなの!

   私のために死ぬなんて私いやだ! だから

   もとに返して!!」

亡霊「小癪(こしゃく)な人間の生娘(きむすめ)が……身の程をしれ!」


 ガッ……!!


 亡霊が殴りにかかるが何者かによって阻まれる。

いや、このテンプレな流れだと、有識な読者なら

もうそれが誰だかわかるだろう。


亡霊「なっ……!! 貴様、なぜ私を(はば)む!」

男1「マキ、ごめんな……。俺死のうとしてた。

   君のためなら死ねるって思ってた。でも

   そういわれたら俺は……」


 マキっていうのか女1は。あの例の可愛い

演劇部員2年生だが、どうぜ本名じゃないよな。

男1こと坂木はそのまま亡霊を突き放す。


亡霊「き、貴様ああああああっっ!!」


 そのまま場面が変わり、神社に戻る。


女1「……はっ!」

女2「あ、起きたわ。どうだった?」

女1「わからないけど大丈夫だと信じて」

女2「そうか、わかったわ」


巫女「!!?」


 グアアアアアアアア!!!!!!


 倒れている坂木から亡霊が出てきた。

坂木が自分の意思で霊を自身から出した

ということだろう。それと、「坂木から

亡霊が出てくる」って演出すごいな!?

あれ、どうやってやってるんだ!?


巫女「はあああああああああっっ!!!!」


 そして巫女は出てきた霊に札をパシッと

貼り付け、そのまま流れるように亡霊に

華麗なハッケイを決めた。


 ごめん、2年生! 同じ部活でもないのに

うちの巫女がガチで殴って申し訳ない!!


巫女「我が名によって呪縛から開放されよ!

   

   そして我が名を刻め!


   業火(ごうか)をくべさらし、


   仙水(せんすい)によって清め、


   煌々たる圓光(えんこう)にその身をささげよ!!


   成仏!!!!!」


亡霊「グガアアアアアアアアア!!!!!」

神前「……」


 ……


巫女「これでもう心配はありません。ご安心を。

   そして貴殿らに永久(とわ)の恩恵を」


女1「……」

男1「……」

男女「あ、あのさ……!!」

男1「あ、いやなんでもない……」

女1「ううん、言いたいことは分かるよ

   だって、そんな顔してるもん」

男1「じゃあ、言わなくてもいいってわけ

   でもないよな……」

女1「……」

男1「……マキ……


   俺と付き合ってくれないか……」


 ”終幕”


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ


神前「……」


 この後、ミコに演技について聞かれたが

俺から言えることは一つしかなかった。


「どうよ! 私の演技力は!?」


「「色々長い!!!!!!!!!!」」


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