30.演劇を見よう
ミコカゴも、もうかれこれ30話と長く
なったものだ。実に深夜に何気なーく
「小説家になろう」に会員登録して、その
流れで一本、こんな話を書きたいなぁと
思っていたのが、まさかこんなにも
長らく書くことになるとは。暇なんだな
私(作者)って人は。
余談はさておき、俺こと神前 滉樹は
なりゆきで今、演劇部の手伝いをしている。
といっても観客の受付しかやってなく、
もっとも手伝いどころか仕事をしているのは
今、教室内で公演を行っているミコの
ほうだ。
「アランドロン不在でしたー」
経堂駅前のコンビニの店員みたいな
挨拶になってしまったが客は気づいて
いないようで助かった。というか、
本当にこの挨拶をしても違和感ないんだな。
アップダウン”阿部〇貴”のネタのすごさが
よくわかる一瞬だった。
いやまぁ、気づいたからといって
「なんで急に”細かすぎて伝わらない
モノマネ選手権”やってるの?」
ともツッコまないな、うん。
閑話休題
それよりも、俺がやっている受付の
仕事の詳しい内容を言っておくと、まずは
待機客の整理と観客名簿の作成、そして
劇を見た感想を書いてもらうといった
具合だ。そして、2年生がおいていった
台本をチラッと覗き見して、今どんな
劇が教室の中で行われているのかわかった。
きっと、この台本は部外秘のものなの
だろうが俺は今、手伝いとして「部」の
一部となって仕事をしているのだ。ここは
忘れたヤツに非があったということで
俺も”ネタバレ”を見ることにした。
どんなものかというと、比較的には
ホラー寄りの作品で、二人のカップルが
肝試しがてら墓地に立ち寄ったら、怖い
お化けに襲われる話だ。そして、最終的に
二人の愛の力か何かで解決するという
エンドとなる。
「…………けっ……!!」
悪魔からしてみればこれほど霊を馬鹿に
した話はないが、これは作り話なのだ。
俺がどうこう言ってもどうにもならない。
愛の力ねぇ……ふっ、反吐が出るわ(笑)。
霊障なめんなよ、俺が実際に霊障を起こす
なら、初手で二人の仲を引き裂くぞ俺は。
さて、この話の中でミコがどういう活躍を
魅せるのかというと、別に目立つような
ことはしない。霊に憑かれているという
事実を伝え、祓う役だ。確かに、ここは”聖職者”
でなくてはならないし、ミコが唯一できそうな
役柄ではあるな……。
で、だ。問題はここからだ。観客からの
感想を見る限り、どうやら劇は滞りなく進んで
いるようで、とても安心した。が、その数ある
感想文のほとんどに「巫女がやばい」という記述が、
見受けられるのだが、これは一体どういうこと
なのだ。チョイ役が感想文に書かれず、演劇部
でもないぽっと出の新人がヤバイとは一体?
いや、この劇を見た人全員が俺がさっき感じた
ような”愛の力”をウゼェと思って、メイン
キャラに感想を書いていないという考えもある。
それは、いかにどうあがいてもありえないが。
「おつかれー」
「あ、お疲れ様です」
教室から2年生が出てきた。俺の役目は
ひとまずこれで一段落のようだ。休憩しても
いいとのこと。
「……」
……劇、観るか……
ちょうど今は講演が終わり、観客が出入り
している状態だ。ならば次の公演に顔を
覗かせるのも悪くはないな。俺は2年生の
一人と受付を代わり、教室に入っていく
観客にまぎれるようにそのまま俺は教室に
入り込んだ。
中はずいぶんと暗くしてあるが、この話が
元々、ホラー寄りなのだから最初から
この明るさにしてあるのだろう。俺はミコに
気づかれないよう後ろのほうでこそっと
見ることにした。俺以外の人たちは
用意してあった椅子に座っていたが俺だけ
座らず立ち上がったままで、これはこれで
目立っていたかもしれないな。
劇自体はあまり長いものじゃないし俺の
休憩時間内に終わるだろう。
「おまたせしました。これより演劇部による
劇を始めさせていただきたいと思います。
皆様、ご清聴よろしくお願いします」
お、始まるようだな。ミコは一体どんな
活躍を魅せるのだろうか。それでは、
”英嶺高校:演劇部2年”による劇
”心霊恋愛”
お楽しみに。(ここからはダイジェストで
お送りいたします。時々、俺の感想が
はいりますが気にしないでご視聴ください)
男1「おいおい、ここの近くにさぁ。墓地が
あるだろ? 最近そこの墓地でなんか
霊がでるって噂なんだよね」
女1「えー、やだー怖いんだけど……」
男2「じゃあさ、今日そこいかねぇ?
もしかしたら、もしかするかもしれ
ねぇぞぉ……」
女1「ちょっ、やめてよ。それと私行きたく
ないんだけど」
男2「いいじゃん。どーせ噂だろ? ま、
青春作りだと思っていこうぜ」
女1「……でも」
女2「え、何々? なんか面白そうな話
してるけどどうしたの?」
男1「おぉ、あそこの墓地になんか霊が出る
って噂だろ。だから、今日その墓地に
みんなで行こうぜって話してたんだ」
女2「へー、面白そうじゃん。ほら、一緒に
いこうぜ! そんな怖がらなくても大丈夫
だって」
女1「うーん……」
女2「それに大好きなアノ人に”きゃー”って
寄りかかれるかもしれないじゃない?」
女1「ちょっと! からかわないでよ!」
舞台は墓地なのか……。ちなみに、悪魔の
俺からワンポイントアドヴァイスなのだが、
墓地に実際に霊はいる。ただし、それが具現化
して人に影響するかは別の話だ。そして、墓地に
いるような霊というのはほとんど”正しく”死んだ
人たちがなったものであり、墓地というのは
意外と霊障とはかけ離れた場所なのだ。
”正しく”死んだというのは寿命とか交通事故で
死んだかどうかではなく、その時に肉体と離れた
霊が”正しい手続き”のもと浄化されたかどうかで
決まる。手続きというのは、それこそ葬式とか
この世に未練がないとかの条件がそれに当たる。
急な横槍申し訳ない。では、続きをどうぞ。
男1「ここが噂の墓地かぁ…」
女1「えー、いかにもって感じ……」
男2「うわ、暗いな。こんなんだったら
懐中電灯でももっていくりゃよかったな」
女2「携帯の電気でいいでしょ?」
登場人物は主に、この4人でそこにサブとして
霊と巫女が入ってく予定だ。
女1「え、冗談でしょ? こんなときに携帯の
充電が切れるなんて……。みんな、そこに
いるんだよね? ……ねぇってばぁ!」
ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ
女1「え、誰?」
亡霊「オマエハ ナノカゴ、シヌ……」
女1「えっ……」
男2「……ってば、……い! 大丈夫かよ? どうした
んだよ急に黙って。てっきり、怖すぎて
失神したかと思ったぞ」
男1「どうしたんだ? 平気か?」
女1「え、あ、うん、大丈夫だよ、大丈夫」
男1「……」
男2「いやー、結局なんもでなかったな。明日も
学校だしもう帰るか」
女2「そうだね、それじゃ私は家こっちだから
また明日ね」
男1「……ああ、また明日ね」
男2「俺もだから、それじゃまたな。お前はどう
するんだよ?」
男1「夜も遅いし、家に送っていくよ」
女1「……ねぇ……」
男1「どうしたんだ? さっきから怖がっている
ように見えてたけど。俺にできることが
あれば何とかしたいけど」
女1「……私、あの時、霊と話したの。それで私、
一週間後に死ぬって……。どうしよう私」
男1「……………わかった、明日あいつらとそのこと
話してみるよ」
さっき言ったが、これはあくまでダイジェストで
あって、ここまでパサパサとした会話なんかでは
なく、実際はもっと感情的で表現豊かだ。それと
女1がすっげぇ可愛い。……というのは、俺の
趣味思考がバレるため言わないことにしよう。
男1「……なんだ、どうすればいい」
男2「うーん、とりあえず祓ってもらうか? それで
解決できるならそれに越したことはないけど」
男1「確か近所にすごい有名な神社があったよな。
今日の放課後、連れてってみるよ」
お、そろそろミコの出番かな? ……俺は
”子どもの学芸会を見に来た親御さん”かっ!!
舞台はかわり、男1.2と女1で神社にいる。
男2「ここが神社? すげぇボロボロだけど」
男1「けど、ここが一番近くで効果がある神社だ
って話だぞ? もう安心しろよ」
女1「……うん」
ガラガラガラッ
男2「すいませーん、誰かいませんかー?」
巫女「ほう、貴殿は何用でこの神宮に
立ち寄られたのですか……(キリッ)」
神前「ブーーーーッッ!!∵∴(゜ε ゜)」
今までのイメージを考えると、さすがに
噴出さずにはいられなかった。俺の声は
役者には聞こえていないようだ。あぶねー。
男1「俺の友達が霊に憑かれたかもしれない
から、祓ってほしいんだ」
巫女「左様ですか。それには布施が必要では
ありますが、この状況を見る限り用意は
していないようですね。ですが、私も
巫女である以前に「人」の子です。それに
貴殿らは学生でありましょう。無償で
とは言いませんが、私のあるだけの力を
貸しましょう」
神前「……!!(笑いをこらえる)」
巫女「其の方をここへ、他の者はここから離れて
いただきたいのです。これは神聖なもので、
人の目にはよいものではございません」
男1「あ、ああ、わかった」
あ、まずい話が長くなりすぎたな。ここで
一旦切るとして、また次回この劇の続きを
見ることにするか。急に切ってすまないが、
責めるなら計画的に話を書かなかった作者を
責めてくれ。
ということで、次回
”活躍を見届けよう”! お楽しみに!!




