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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
worker in the dark
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24.詳しく話そう

 さて、話は実に1話にまでさかのぼる。

このときにプロローグだから詳しく

話す必要はないと、ぼかして

説明したことを覚えているだろうか。

それは”儀式”についてのことだ。


 俺はたしかあの時、体育館で儀式を

行い、ミコに見つかったがために今

こうやって部活をやっているのだが、

その儀式の目的について話していない。


 結論からいうと、目的は「ない」

 ようは「暇つぶし」にやったことだ。


 昔、と言っても夏休みになる前で人に

よっては最近だと言われるかもしれないが

そのころの俺はとてつもなく暇だった。

自分でもいやになるぐらい暇だった。

学校に行っても俺から距離をとっていた

ため友達はいなく、話す相手はいないわ、

学校の授業は俺にとってはレベルが低くて

つまらないわ……まぁ、ようは俺はやることが

なく一日中ボーーーーーーーーーーっと

するしかなかった。そこで、俺は何か

やることを探そうと考え、俺ができることを

やろうと考えたのが始まりだ。


 そう、「悪魔召喚」である。


 それで、俺は”リハビリ”の意味も込めて

放課後になれば、定期的に家で悪魔を召喚して

暇をもてあそんでいたときがあった。

が、その暇のつぶし方が悪かった。というのは

家で召喚してわいわいその悪魔たちと遊ぶだけ

ならよかったし、当初はそうだった。だが、

ある日を境にその悪魔とともに外に出て

イタズラにも似たことをし始めたのが悪かった。

例えば、存在感が高い霊に人通りの

多い場所を飛んでもらい、翌日の「ムー」に

「衝撃! 空に浮かぶ白い影!」とドデカク

掲載されたり、単純に道行く赤の他人を

驚かしたりと、「悪魔・霊」とともに夜の街に

繰り出すことが増えた。ちなみに、召喚した

「悪魔・霊」はきちんと俺のミコンに

戻してある。問題はない。


 ただし、これはある一箇所に召喚した

 「悪魔・霊」を除いての話だ。

 それが、学校なのだ。


 家で召喚した「悪魔・霊」を学校に

送り込んで、何か騒ぎを起こしてやろうと

何体か学校内に放ったことがある。が、

うちの学校は夜に「人」は入れない

仕組みになっているせいで、俺が

”夜”に現地に赴き、ミコンに俺が召喚した

「悪魔・霊」を戻すという作業ができなく

なっていた。そこで、俺は何をしたかというと


 それ自体を、忘れた。

 悪魔・霊なんていなかったと。

 そういうことにした。


 それに学校で騒ぎを起こすとなると、

結構な時間「悪魔・霊」を放置しなくては

ならない。なんて都合のいい解釈を

つけて、俺のこの判断を正当化させたのだ。

「悪魔」である俺には正当なんて言葉は

一番似合わないし、俺が勝手にそうして

自己満足に浸っただけだといえば、

全くもってそのとおりだ。


 そして、俺はその過ちと向き合うことと

 なるとはな。しかも、こんな形で。


 ……とまぁかっこいいことを言ってる風

ではあるが、わりかしよく言うとこれは

「俺の若さゆえの過ちを隠蔽すること」だ。

これが一番正しいし、なによりこんな

シリアスに話すものでもないからな。


 しかも、俺が放った「悪魔・霊」の

種類すら俺は覚えていないときたものだ。

だが、話を聞く限り俺が知っている霊の

仕業なのは間違いがないし、俺じゃないと

何とかできるものでもない。


「じゃあ、やることはこれで終わったし

 帰ろうか。明後日にでもまたここに

 放課後集まるってことで、ギドーも

 ココもいい? 私はこの後、家で

 ちょっと大事な用事があるから早めに

 帰るね」

「おう、それじゃあまたな」


 こうして、部室をもらいやっと部活

らしい動きができるようになったわけだ。

その最初の仕事が、俺の尻拭いになるとは

思ってもいなかったが。だが、

俺が最も知りたいのはあの長髪の

女の霊についてだ。”学校七不思議”の

一つにあった”見つめる女”が多分、

あの霊で間違いないだろうし、いつか

調べなくてはならない”最重要事項”の

一つなのだ。


「……おい、神前」

「? どうした義堂?」

「ミコには悪ぃが俺らだけでその動く

 銅像っつーの見ておかねぇか?」

「いや、時間が早すぎるしその銅像が動く

 とは思えないが……」

「でも先に見ておいても損はねぇだろ?

 動かねぇとしてもさ」


 まぁ、見ておく分には問題はないか。


「ミコがいる時でもいいんじゃないか?」

「物事は早いほうがいいっつーだろ?

 だから、ミコの野郎、今日は忙しいっつった

 ことだし、俺たちが事前準備をしておく

 ってのもいいだろ別に」


 確か、この時期は「秋祭り」と呼ばれる

神社の年中行事があるようだ。「秋祭り」

とは「豊作に対する感謝のお祭り」のことで

逆に、「豊作に対する祈願のお祭り」を

春に行われることから「春祭り」と呼ばれる。

ミコは曲がりなりにも巫女だ。それの

手伝いにでも行ってるのだろう。


「それで、”動く銅像”ってのは一体どこに

 あんだよ? 俺ら、内容までは聞いてるが

 場所までは聞いてねぇぞ」

「……


  ……探そうか」


「お前も知らねぇのかよ!?」


 そうだった、詳しいことは後々話すと

いってお先早く一番噂に詳しい人物は

帰ってしまった。あのときに俺は


「”動く銅像”を調べよう」


 とキメ顔でいったから、義堂はてっきり

俺がこのうわさに詳しいんだなと思って

いたのだろうな。不甲斐無い。


「いや、校庭に確かそんな感じの銅像が

 あったのは知ってんだ、俺ぁ。まぁ、

 んな大量に銅像を造る学校じゃねぇし

 そこで間違いないだろうがな」


 あ、義堂さん知ってましたの?

 俺が軽く赤っ恥かいただけじゃん。


「そんな銅像があったのか。とりあえず、そこに

 向かうか。……そういえば、何の銅像なんだ?」

「そりゃ”動く”ってなれば決まってるだろ。

 あの、……二宮……和也だったか?」

「それ銅像やない! ジャニーズやそれ。

 ”二宮金次郎”だろ」


 予想はしていたが、二宮金次郎は必ずいって

いいほど動くらしい。いや、だからといって

校長の首だけの銅像が動いてもらっても困るが。


「いや、っつっても草木がぼうぼうに生えた

 とこにあったのを偶然見つけただけだけだ。

 ニノなのかも定かじゃねぇよ」

「ニノって呼ぶな」


 草木が生い茂っている場所にあったのか。

俺は基本的にそんな場所にいかなく、どおりで

そんなことに気づかなかったわけだ。今は

6時を超える時間だ。秋の始まりだとは言え

暗くなるのも早い。その二宮金次郎像が本当に

草木の中にあったのなら暗くなりすぎると

見つけにくくなる。俺は夜目が利くが、

義堂がそうなると不都合だろう。ならば、

さっさとそこに向かったほうがいい。


 そして俺たちは義堂の見たという記憶を

もとに銅像を探しに向かった。ミコに聞く

ほうが早かったかもしれないが、暇だし

別にそれは気にしない。


「あ”これか?」


 義堂が銅像を見つけたようだ。俺も

すかさず義堂の元へ向かう。


「見つけたのか?」

「いや、銅像は見つけてねぇよ。

 銅像はな」


 義堂が指を指す先を見たが確かに

銅像はなかった。そこにあったのは


 台座だった。それも”二宮金次郎”

 と書かれた台座だけ

 ポツンとあるだけだった。


「二宮金次郎が……いない?」


 動いたのか?

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