23.部活動を考えよう
「え? 部屋にあったに決まってる
でしょ? ここのものはフリーに
使ってもいいんでしょ?」
「なんでここにそれがある!?
と俺は聞きたい!!」
ふつうはテーブルとかが置かれる
であろう場所に、なぜか人と同サイズの
仏像がドドーンとある、いや居ると
表現したほうがいいのか……?
「で、これをどうするつもりなんだ?」
「もちろんこのまま」
「却下だ。邪魔すぎる」
最後のセリフは義堂で、さすがの義堂も
これにはなにか言わないとならないと
思ったのだろう。ただ、なんでこんな
使われていない体育倉庫からこんな
仏像が出てきたんだ。ちなみに、これは
樹を削り、はめ込むように作られた
「寄木造」という作り方で作られたもの
であるが、石でできていようが金で
出来ていようが、仏像は仏像だ。ここに
あるようなものじゃない。それに
1分の1のサイズは、でかすぎる。
「これを捨てるのは……」
「だめよ! どんなにほこりまみれだった
としてもこれは神聖なものよ。捨てる
というのは一人の巫女として許すこと
はできないわ! なんて言ったって
私は最強の巫k(ry」
確かに、悪魔の俺がいうのも変だが
あまり捨てていいものじゃないというのは
日本人ならわかる。だとしても、部屋の
ど真ん中に直立させるのはやめてくれ。
ここは”捨てる”という選択肢はなさそうだ。
せめて、部屋の隅にどかしておくか。
それと、仏像に目がいってしまいほかの
部分を見ていなかった。変わったところは
床がむき出しの部分に畳が敷かれていて
土足で入れなくなっていたことだ。
掃除のときに見えていたが、柔道とかの
使っていたであろうセパレートタイプの
畳が立てかけてあり、それをそのまま
敷いたのだろう。
「まさか、畳があるとはねぇ……
日本の文化に、校内一触れている
私としてはあるなら敷くしかない!
と思いまして」
「はぁ……」
それはそれでいいのだがそれよりも
気になっていたところはある。
「おい、ミコ。このカーテンは
いったいなんだ?」
義堂が聞いた。
「そこはもちろん乙女の着替え場所よ」
「あ? んな着替えなんていらねぇだろ
この部活に」
「そりゃ私しか着替えないもん」
「?」
というとミコはカバンからおもむろに
なにか大きいものを出した。白と赤に
彩られた服……あれ? 前見たなその服。
「除霊するんだから”制服”が必要でしょ?
それにここの部室にロッカーがあった
から今度からコレ置いておくつもりよ」
「服なんていらねぇだろ!」
義堂、それ俺も前に言ったぞ。
「いやいや、会社の面接にギドーは私服で
行くの?これは私の「正装」であって霊を
祓うってなれば、やっぱりこの格好で
なくちゃね」
そのセリフも前に聞いたなぁ。
ちょうど、12話ほど前に。
ということで、ミコの劇的ビフォー
アフターはこれにてアピール終了となり、
結果として、俺と義堂は何も言わずに
「これでいいんじゃね?」
と納得した。
畳が敷かれたことで明確になったが、
この部室はロッカーや仏像、着替えの
スペースを抜くと5畳分しかない。
その真ん中にちいさなテーブルを置いて
あるし体感はもう少し狭くなる。
……いや、いいんじゃないか?
いいんじゃない、コレ!?
こんな部室、結構憧れるよ!?
閑話休題
「さてと、片付けも終わったことだし
軽くこれからの動きについて話すか」
「神前、もう今日は疲れたから帰らねぇ?
明日にでもやればいいだろ?」
「いや、今は学校祭シーズンだろ?
早め早めに計画を立てておかないと
次に、いつ集まれるかわからんから
今のうちにやっちまおう」
言い忘れていたが、1か月前から
うちの学校は学校祭期間といい、学校祭に
向けていろいろと忙しくなる時期なのだ。
そのため、生徒会長はさまざまな部活から
さまざまな要望が飛んできていて、
てんてこまいな状態だ。そんな大事な時間を
こんな”ポッと出”の部活にとられていたと
思ったら本当に申し訳なく思う。
そら副会長も怒るわけだ。
ちなみに異能部としての学校祭への
参加予定は一切ございません。そんなこと
できる時間なんてあるわけがございません。
「で、この部活について俺ぁ全然知らねぇ
から聞いておきてぇんだが」
部室にあるテーブルに囲むように座って
会談をしている。マジで狭いなここ。
というか、義堂お前本当に何も知らないで
俺に付いてきたんだな。その判断は、
俺としてはめちゃくちゃありがたいが。
「あー、俺たちの部活はまぁ……学校で
話題になっている都市伝説や心霊現象を
調べることだ。あとは、心霊に限らず
悩み相談とかをする……ってイメージで
いいんじゃないか?」
「オカルト研究部じゃねぇのかそれ?」
「ちがーーう!!」
ミコが横やりを入れてきた。すごーい!
ミコは”横やり”が好きなフレンズなんだね!
「オカルト研究部はあ・く・ま・で研究!
対して、私たちはそれを巫女である私の
力を使って解決するまでやるのが
異能部なの!」
「あー、……よくわからねぇがまぁいい。
で、その霊とかっつーのは学校にいるのか?」
「チッチッチッ、それがいるんですよぉ」
なんだそのキャラ。
ただのうぜぇ人だぞ、それ。
「うちの学校にはね、よくあるやつだけど
”学校七不思議”というものがあるのよ」
学校七不思議ねぇ……どの学校にもやはり
一つはあるものなのだろうか。いや、一つじゃ
”七不思議”じゃないな。
「ん? 俺が去年いたときは、んな話は
聞いたことねぇぞ。確かに俺が学校にいねぇ
ことが多かったにしても、それは初耳だぜ。
んなもんがあっただなんてな」
「それがねぇ、聞いただけだから定かじゃない
けれど、最初は1つとか2つとかしかなくて
そこまで話題にならなかったのよ。それが
今年になって5,6と急に増えて今は
”学校七不思議”って呼ばれだしたの」
前にも言ったが、この学校で霊は有り余る
ほど俺は見てきている。だが、その大半は
害のないタイプの霊ばかりだった気がする。
害のある幽霊というのは珍しく、前にミキが
憑かれた”チェイス”のように”憑く”ことで
害をなすパターンが多く、”七不思議”になる
ような霊がこの学校にうろついているとは
思えない。
「ふーん……それで、7つもあるんだろ?
その7つ全部解決するつもりかよ」
「とうぜん!!!!!!!」
「…………ふっ、くはっはっは。やっぱ
ミコ、お前面白れぇぞ! 神前もなかなか
面白れぇが、てめぇは別格だな。
そりゃ、あの夕霧が執心するわけだ!」
”夕霧”とは生徒会長のことで、義堂は
生徒会長をよく”夕霧”と名字で呼ぶ。かつて
同級生で、共に学校間の抗争について
語り合った仲だということで、今でも
学年を越えて交友がある。
「で、その”学校七不思議”を解決する
っつーのが当分の目標でいいんだな?」
俺とミコはコクリと一度うなずく。
「なら、ここからは俺の出る幕じゃねぇ。
後は部長のミコ、てめぇが仕切れ。それに
その”学校七不思議”っつーのがイマイチ
よくわからねぇ。だから、とっとと話せ」
「ええ、了解! んじゃ私も、うろ覚えな
ところはあるけど噂の内容は……」
ミコはそういいながらカバンから一つの
ノートを取り出した。メモのようだな。
それをテーブルの上に広げて見せてきた。
「”謎の5階”
うちの学校は4階しかないはずなのに
学校内から外を見たらなぜか、無いはずの
5階が見える。
”秘密の部屋”
3階の一番奥に部屋のドアがあるが本当は
そこに部屋はなく、あの部屋には一体
何が潜んでいるのか?
”トイレの花子”
定番のアレ。
”消える音楽室の肖像”
音楽室に飾ってある肖像画の中に映った人
たちが夜になるといなくなっている。
”見つめる女”
隅でじっとこちらを覗き込む長髪の女の霊が
夜になると現れる。それも何か、生きた人間を
探すように。
”動く銅像”
外にある銅像が、夜に動き出し
いつのまにか別の場所に移っている。
”校庭の秘密の地下”
校庭に地下施設がありそこでは秘密の
取引が行われている。」
「これが今、噂になっている七不思議の
大まかな内容だけれど、詳しいことはまた
今度話すとして……」
…………
「まず、”動く銅像”を調べよう」
俺が唐突にそういった。
「動く銅像なら俺の予想だが、簡単に解決
できると思うんだ。だから、明日、いや
明後日にでも、この噂を調べに行こう」
「……神前、何を根拠にそう言ってやがる?」
義堂が聞いてきた。いつもの低い声で。
「……勘?」
「……ふん、どーせ全部解決するんだろ?なら
どれからやっても変わらねぇだろ。それに
なんか考えがあるらしいし、その銅像を
調べるかぁ。ま、最悪、俺がバカンと異能で
その銅像をぶち壊せばいいし、そいつが
一番楽に解決できるだろうなぁ」
義堂、その必要はない。俺はこの問題を
すぐになんとかできるだけの力を持っているし、
何より俺が”やらねば”ならない問題だ。
その理由は明確。
この七不思議の大半は間違いなく、
俺のせいだからだ。




