表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
武器のような何かはブキである
20/446

20.事を語ろう

 …………あ? なんだこれ? なんだよ

こりゃあよぉてめぇ!? おい神前ィ!

聞こえてんだよなぁ!? あ”ぁ!?

なんで俺のセリフしかでねぇんだよ!

…………あ”今回は義堂の語りパートだぁ?

だから俺のセリフしか、ここに出てねぇ

わけなのか。つーか、んなことする小説

なんてきいたことねぇぞ!! お”い!


 ま、それは別にいい。んなの別にここで

言ってもしゃーねぇことだ。んじゃ、

とっととあの廃工場で起こったことの

全貌を話すぜ。


 俺は最初、工場に入ったとき、銅栄の

野郎は全部で5人いたんだ。お前も

それくらいなら、声を聞いて気が付いてる

だろうがな。1VS5で、あいつらは工場に

あったんだろう、鉄パイプをかまえる。俺は

指定通り、なんも持ってねぇから殴り合う

のは分が悪すぎた。だが、俺は義堂だ。

”義堂 力也”は、んなことで引くような

やつじゃねぇよ。そりゃてめぇもなんとなく

わかるだろうが、俺は馬鹿なんだ。殴る

以外になんにもできねぇ。


 俺も最初は、武器になんてビビらず、ぶん

殴りにかかったさ。だがな、拳をかまえても

勝てねぇっつーのは、はなっからわかってた。

ここんとこは俺もばかじゃねぇ。でなきゃ、

んな、1年も俺は戦ってもねぇし、もう

ポックリいってるだろうな。だが、てめぇが

考えたこの作戦での俺ぁ「おとり」だ。俺が

死ぬ気でねばって、時間をかせぎゃ、俺たちの

勝ちだったんだ。だったら、話は早ぇ。銅栄の

野郎どもにさんざん、ぶたれるのは俺も

黙ってねぇが、それはまた別の日にしてやる。


 だから、まずは生徒を守る。それが

 俺にできることだ、とおもったんだ。


 だがな、銅栄の野郎どもは俺が満身創痍

だって思って手を抜いてきやがった。こいつ

には俺もチャンスだと思ったよ。だが、それが

逆にこう(・・)なっちまったっつーのは俺の

落ち度でもある。そいつはすまねぇ。


 おっと、結局、何が起こったのか話して

なかったな。結論から言うと、てめぇが

襲われたのは、俺と殴り合っていたヤツの

一人が離脱しやがったからだ。


 俺のことを甘く見て、鉄パイプ片手に

テキトーにツッコんできた馬鹿な銅栄の

野郎がいたんだ。武器の持ち方、足の運び、

そして覇気。どれも、まだまだガキ以下の

喧嘩慣れしてねぇヤツさ。俺はそいつの

スキをついて足首をがっちりつかみ、そんまま

投げ飛ばしたんだ。そいつは、壁にビタンと

体を打ち付け、そのまま伸びた。


 だがな、問題はここだった。多分もう一人、

喧嘩慣れしてねぇヤツがいたんだろうな。気が

ついたら一人消えてたんだよ。それも逃げる

ように。銅栄の野郎どもの一人が「待て!」

っつってたのも聞こえたし、腰抜けが一人

俺がひとりぶっ飛ばすのを見て、逃げ出し

やがったんだ。これで1VS5から1VS3だ。

これぐらいなら、俺にとっちゃあ対等って

もんよ。


 その逃げた一人が、神前、てめぇの

頭をカチ割って帰ってきたんだがな。


 俺が、3人から殴られているときに

腰抜け野郎が帰ってきてこういったんだ。


「誰か、女の部屋に入っていた」

「そいつは俺が殴って気絶させてる」

「だから、おとがめなしにしてくれ」


 ……見てぇなことをよ。それで俺は

やべぇ! と思ったさ。今でさえ、耐える

だけでかなりこっちは体にキている

っつーのに、人質が一人増えたと

来たもんだ。それに、俺はこれからは

耐えるだけじゃ勝てなくなったんだぜ。

あの武器を持ったクソ野郎どもに、

素手で挑まんくちゃならねぇ。でねぇと

お前とミコ、どっちも俺のせいで抗争に

巻き込んだ挙句、「傷物」にされかねねぇ。


「てめぇら、俺は逃げねぇぞ。俺は義堂だ。

 ”義堂 力也”だ。ここで、こいつらを

 見捨てるようじゃあ、夕霧に顔向けが

 できねぇじゃねぇかあああああああ!!」


 俺はんなことを叫んだよ。叫びっつーのは

(たましい)動かすのにすげぇ力になるって

思わねぇか? 俺は思うぜ。だから俺は

こう叫んで、戦ったんだ。それも、1VS4に

逆戻りして、腕も悲鳴をあげてるっつーのに。


 だがな、話はここで俺が頑張って銅栄の

連中から気合よろしく逃げ切って、なんとか

なった、だなんて終わりなんかじゃねぇ。


 先に言っておくが、俺たちが逃げたん

じゃねぇ。あいつらが逃げたんだ。それが

神前、てめぇがやったことだ。

何を隠しているかは知らねぇし、知る気もねぇ

から何も思わねぇが、それが今、こうやって

わざわざ生徒会室で二人で話さねぇといけねぇ

理由(わけ)なんだろう?


 んじゃ、俺の戦いに話を戻すぜ。っつっても

俺はもう「戦い」なんてできるだけの力は

残ってなかったさ。気合と根性であいつらと

殴り合っていたっつーところだな。

でだ、俺はてめぇが帰ってこないっつーので

てっきりてめぇが化けて出てきたと思ったぜ。

それか、よっぽど俺の頭ん中がぶっ飛んでた

かのどちらかだ。工場の奥から、てめぇが

手ぶらで来たんだ。それも頭からダラーっと

血ぃ流しながらな。んで、気絶してる奴が

平然と立っているんだ。そりゃ、銅栄の野郎も

驚くわけで、俺だって、んな血ぃ流したら

立ってられねぇさ。頑丈馬鹿な俺がそういう

くらいてめぇは”そういう”状況だったんだ。


「おい、あの女、御前はどうした!?

 お”い!! 神前ィ! 無視すんな!!」


 俺はてめぇに叫んだよ。それもとっくに

つぶれ切っちまってる喉でな。だが、てめぇは

返事をしなかったよ。「どこか抜けてる」っつー

印象だったな。そんときはそれで納得してたぜ、

もちろん。んな血を流してるんだ、正気な方が

頭がぶっ飛んでるっつーもんよ。


「ギドウ」


 てめぇが俺を見て、そういったんだ。それも

虫が鳴くみてぇにちっせぇ声でな。俺ぁ耳が

いいんで、聞こえたが銅栄の野郎どもには

聞こえてねぇだろうな。


「てめぇ、気が確かか!? 俺のこと

 知らねぇってのか、あ”ぁ!?」


 俺ぁ初めにそういったんだが、すぐに

こいつは………あー、なんだっけ……脳が

なんかブンブン震えたら起こる病気……

……あ”なんだよ神前。今は俺のセリフしか

……お、それだそれ、そう「脳震盪(のうしんとう)」だ。

その、農振党が……あ”またどうした神前!

そんなどっかの「農業組合がつくった政党」

みたいななまえじゃねぇって? 漢字が違う

だけだろ!! そんなことどーでもいいだろ!

それに、コイツは”会話”なんだから漢字なんて

わかるわけねぇだろ!!


 で、脳震盪でてめぇの頭が変になっちまって

俺に、んなこと言ったんだと思ったよ。


「ダレ」


 次にてめぇが言ったセリフだ。俺のことを

言ってねぇとして、今ここにいるのは銅栄の

ガキどもだけだ。だから俺は「俺たちが

ぶったたく相手だ」っつったんだ。ここからが

てめぇが聞きたいところだろ? いいぜ、

俺が見たことを俺が「見たように」話して、

俺が感じたことを俺が「感じたように」

話してやるよ。


 っつったって、俺は満身創痍だったんだ。

この会話をしてる間も、もちろんガンガン

殴られていたさ。


 だがな、気が付いた時には俺の前に

てめぇが現れたんだ。実際おかしな話だぜ。

さっきまで、工場の奥から俺と話してたやつが

いつのまにか目の前にいるんだ。それも

俺よりもドクドクと頭から血を流しながらな。

それに、俺が言うのも変な話だが、そんとき

俺は前に何かがきたのは分かった。が、それが

てめぇだっただなんて思わなかったぜ。

なんで? って、んなの雰囲気でわかる。

夕霧からは「夕霧の雰囲気」を感じるし、

ミコからは「ミコの雰囲気」を感じる。

そりゃ、てめぇからももちろん感じる。

だがな、そこにいたてめぇはてめぇじゃねぇ。

てめぇの皮をかぶった「何か」だと感じたぜ。


 ん?俺があの女のことをミコっつーのが

そんなに変か?あの女がてめぇよりも先に

起きたのは知ってるよな?そんときに俺と

話して、こう呼んでほしいっつってきたんだ。

あの女は、どうも話を聞く限り何があったか

知らねぇ上に自分に非があるって思って

無かったみてぇだったぞ。だから、俺が

げんこつかまして説教垂れておいたよ。


「あぶねぇとこには一人でいくな。

 そんくらい、今どきのバカなガキでも

 理解できる。」って具合にな。


 本人はかなり応えたみてぇだったぞ。

もう、んなことはやらねぇだろうな。

……やらないといいんだがな……。


 話を戻すぜ。といったってここからは

もう何も話すことがない位あっけなく

物事が進むぞ。まぁ、言ってしまえば

そのままてめぇが狂ったように

銅栄の野郎どもをぶちのめしたんだ。

どうせ、てめぇはそんなこと、身に

覚えがねぇんだろうな。ぶちのめしていく

てめぇはまさに「悪魔」だったぜ。


 ……あ”神前てめぇ。急にビクッとして

なにかあったんか? なんだトイレか?


 トイレは後にしてくれ、もう話は終わる。

そんで、4人が3人、3人が2人と銅栄の

野郎が減っていくたびに、てめぇは狂った

ように笑ってやがった。頭から血を流しながら

敵を花を摘むように笑いながらしばいていく。

俺は思ったよ。神前、てめぇは何モンだって。

あそこまで頭のねじが丸ごと抜け落ちている

戦い方はみたことがねぇ、人間を捨てているぜ。


 そして、残った2人はてめぇにビビッて

逃げ出して話は”しまい”だ。んで、てめぇは

ついてたもんが抜けるみてぇにそのまま

ぶっ倒れて、俺がてめぇとミコをもって

学校に戻ってきて、俺も保健室でぶっ倒れて

今に至るってわけよ。


 最終的に俺が言いてぇのは、てめぇの

おかげで俺もミコも助かり、俺はてめぇの

事が気になった。だから神前、今、部員を

探してんだよな? 俺もその一員に入れろ。

反対するっつったらこのことをミコと

生徒会長に話すぜ。どうだ、めちゃくちゃ

面白ぇ取引だろ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ