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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
始まり始まり
2/444

2.プロフィールを言おう

 話はまぁ、もうかれこれ20年ほど前…………

自分がピッチピチの小学生だったころに戻る。

俺は最初から悪魔の一介であったわけではない。

誰しも冗談で「悪魔召喚」について考えた、

あるいはやってみたという思い出があるだろう。

その中でも俺は当たり(・・・)を引き当ててしまった

というわけだ。


 本物(・・)を呼びだすための手順を知り、子供ながら

一週間かけて材料から魔法陣までの準備を行い

少年の一種の夢である「悪魔召喚」を

見事成し遂げたのである。


 結果として「老い」を感じさせない

体を手に入れ、身長が長らく伸びず、

ずっと小学生のチビ助のままだった。


 このころの夢は背の順で並んだときに

腕を前に出すことだった。腰に当てるのではなく。

今になると、ずいぶん可愛らしい夢だなと思う。


 しかし、それでも緩やかではあるが

身長は伸びていた。いや、本当に数mm(ミリ)単位だが……

だが見た目から察するに中学卒業の時期には

まだまだ可愛げのある小学生程度にしか

見えなかった。


 さすがに疑われる。杞憂かもしれないが

高校には万全を期していきたくはない。

でも高校には行きたいとあれやこれやと

悩んでいる間に、ずいぶん長らく時間が

過ぎてしまった。


 ……ざっと20年ほど。


 いっそこうなるならば誰か儀式に呼んで

俺と同じ目にでも会わせてやりたかったが、

悪魔召喚の手順に一人ですべて用意すると

あったため、俺一人でやるしかなかった。


 悪魔は1対1の契約がしたいらしい。


 もっともらしい理由だ。


 しかし20年ともなるとやっと自分が

「高校生です」とキメ顔でいえるだけの

背格好にはなっていた。ので、こうして

アラサー男子の高校生活がやっとの

思いで始まったのだ。


 どうやら俺の体質は悪魔になってから

一般的なニンゲンの成長速度と比べて

5分の1ほど遅くなっているらしい。


 わかりやすく言うと、悪魔と契約する

以前の約10年の人としての人生にプラスして

20年÷(わる)5で約4年。


 合計14~16歳が今の見た目上の年だ。


 見た目は子供(高校生)で頭脳と精神は

大人アラサーなのである。


 悪魔との契約についてさらに詳しく話すと、

実はあまり言えない。20年前の話なのだ。

忘れても仕方がない。が、これによって

得た固有スキルはさっき言った不老不死の

ほかにもしっかりとある。


 「悪魔の召喚」「対霊能力の識別」だ。


 悪魔の召喚は現に少年時代にもできたが、

悪魔のはしくれ(・・・・)となった今ではあの頃の

ような償還のための準備に丸一週間と

かからなくなった。今ではミコンを開いて

呪文を唱えればパパッと悪魔召喚が

できるようになっている。さながら

ネクロマンシーといった感じである。


 対霊能力の判断というのはスパッと言うと

『霊感診断』のことだ。具体的には人を

見るだけでその人の霊感が数値化されるのだ。

数値化というがフリーザのスカウターのように

1とか100と出るわけではない。ただ俯瞰的に

わかってしまうため、勝手に自分で数値化

させてしまうだけの代物だ。この能力は

ニンゲンと関わらない生活を送っていた

俺からしたら基本的にはあまり使わない。

だが、最近だととってもお世話になっている。


 学校でやることがなくてひまなんだよ。


 やることって言ったら人間観察なんだよ。


 とりあえず、ひまに乗じて俺のクラスで

診断してみた。霊を完全に理解できる数値を

100(つまりは俺のような人のこと)として、

うちのクラスの最大評価は俺を抜いて54か。


 ちなみに50で「ん? いる?」程度で

霊の存在に気がつくが、目を凝らさないと

見えないって具合だ。対して、最低評価は

実に驚いたことに0だった。0は霊の存在に

まっっっっっったく気がつかないどころか

心霊現象なんてものと無縁すぎりある意味(・・・・)

レアな存在だ。


 虫にだって5くらいあるというのに……


 ……まぁ、言ってしまえば「鈍感」だ。


 ドを超えて「ドドド鈍感」だ。


 珍しさが相まって、授業中も暇なら

そいつを0だなぁと眺めていることも多く、

話すことはなかったがよく知ってはいた。

そいつの声も何者なのかも知らないが、

顔だけはぼんやりと知っていた。


 そして今現在。夜の体育館。


 そいつと運命的に(?)出会ったのだ。


 この霊感0のレアキャラ女に。


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