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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
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144/458

144.活動報告を済ませよう

 春休み。


 とはいっても一か月もないほどに休みは短く、

できることなんて文字通り、休むことぐらいだ。

それでも俺たち「異能部」以外の部活はしっかり

活動をしているわけであり、俺たちもしっかり

活動をしていれば休むなんて言葉はここからは

出ない。


 一応、春休みに入る前に卒業式という学校では

指折りの大イベントがあるのだが、学年や境遇で

関係が大ありであったり、大なしであったりする。

んで、俺の場合は当然のごとく3年生の知り合い

なんていないし後者である。生徒会長もまだ

2年生であり卒業するわけではない。


 よって俺は正月の長期休みよろしく布団から

出てのんびりと家でテレビを見たり、積んで

あったゲームを消化したり、テキトーに伸びでも

して再び寝床につく生活が続くのか。


 と思いきや、そうではなかった。


「よーし、春休みも部活するよ!」

「「……」」

「返事は!」

「「は、はぃ」」


 まさか休みも学校に駆り出されるとは思いも

しなかった。こちとら部活がある関係で

完全に攻略が終わっていないゲームが数種類

あるんだ。こういうのんびりとできる間だけ

でも進めておきたいのが正直なところだ。


 だが、もっと正直なことを言えば家にずっと

居続けるよりかは生産的な活動ができる点では

嬉しくもある。が、面倒なものは面倒だ。


「なんでそんなにやる気なんだよ。それに

 冬休みだって活動してないだろ」

「それは年末年始だってことで私が忙しかった

 からでしょうに」

「あ、そっか」


 そうだったな確か。ミコの家は神社である

関係で年末年始にかけて神社の仕事を手伝ったり

あいさつ回りをしたりと多忙であるということで

活動をしない方針だった。が、当の本人はかなり

やる気があったらしく、忙しくてもやるぞと

言わんばかりだったが、親からの命令もあって

断念したらしい。


 そして春休みは多忙なほどの予定はないらしく

前の冬休みにできなかっただけあってかなり

本気で、ガチで、やる気ってことか。


「ということで卒業式の次の日から活動する

 から忘れないでね」

「へいへい」

「やる気がない!」


 うちの学校はどうやら珍しく、卒業式のすぐ

そのあとに春休みに入る。一般的にはもう少し

大掃除だったり、冬季体育大会であったりと

色々と楽しい(?)イベントや軽く授業の締めを

するらしい。そんなのは俺のいる地域じゃあまり

聞かないし、それが普通だと思っていた。


 逆に言ってしまえば、そのために卒業式の

前に色々とやらないとならないことが多い。

先生方も俺たちの学年が上がる前にやらねば

と言わんばかりに卒業式前の2週間前に

詰め込んできやがった。この部活が始まる

前は丸ごと昼の二時間を利用して、大々的な

掃除をしたところだ。そのせいで足も腰も

ぐったりさ。特に俺とミコ、そして義堂の

3人に関しては


「え、いつも似たことやってんじゃん」


 と言わんばかりに、普通よりも多めに

仕事を受け渡されたのだ。こちとら部室の

掃除もしたかったというのに何、仕事を

押し付けてくれてるんだよと、ぶっとばし

たくなったが、そこは諦めるしかないだろう。


 だって仕事の依頼主のほとんどが生徒会関連

なんだもん。何を思って俺たちに仕事をよこして

きたのかは不明だ。


 ていうか単純にアメとジュースで釣られた

ミコが全部悪いからね! 俺と義堂は完全に

とばっちり甚だしいわ!!


「これからどうするんだ?」

「とりあえず生徒会に行こうかな? 春休みの

 予定をちゃっちゃと伝えたいし…… あっ、

 ココも来る?」

「いつも俺がやってる仕事だろそれ。なに今だけ

 そんな気合マックス感出してるんだよ」


 最近は「寒いからおねがーい」とか言って

こたつからでてこねぇだろうが。義堂も最近は

ぼーっと寝てるだけになってるよね。野生を

失った猫みたいになってるよね。


「それじゃあいつも通り義堂、留守頼むわ」

「おう」


 義堂は最近は生徒会長からもらったのか

よくわからないが、ルービックキューブで

遊んでいる。と言っても大抵は5分ぐらい

自力でガチャガチャやった後に、軽く舌打ちを

してふて寝するんだがな。こういう手のものは

ネットを見ればやり方なんて五万と書かれて

いるはずだが、それに頼らずに自力でできる

ものなんだろうか……。俺も昔、そういうのを

見ながら気合を入れて頑張った記憶があるが、

それでも1時間とかかかったはずだ。また

やろうとは極限に暇になったときには思うが

流石にあんなのにまた1時間かける気には

正直言うとならない。それに義堂がこんな集中力と

知識がないと難しいものに挑戦したところで

できるとは到底思えないけどな。いつかふて寝

から起きたら6面揃っていたなんてドッキリも

やってはみたいが、それに見合った集中力と

知識が俺にはない。


「ぶえっくしょん!」

「風邪か?」

「こたつから出たてだと外の空気が寒く感じる

 って思わない?」

「いやそれは分かるけど、さすがに口は押えろよ。

 くしゃみが雄々しすぎるわ」


 くしゃみで濁点を入れるヒロインがいるかよ。

もっとさ「へくちっ」とか「くしゅん」とか

可愛らしいくしゃみはできんのか。


「それバブーっていう赤ちゃんとか、ふにゅ?

 っていうヤンデレくらい珍しいよ」

「まさかミコからそんな意見が飛んでくるとは

 思ってもいなかったわ」


 後、2チャンネタで言えばうーんむにゃむにゃ

って寝言だったか? そんなのはどうでもいい。


「そういえばこの部活も長くなったよね」

「長く? あぁ、設立してってことか。そうだな

 部員は相変わらず3人のままだけど、それでも

 ちゃんと学校七不思議を解決したり、他の

 部活の手伝いをしたりってけっこうなこと

 してきたなって思うわ」

「でももっと頑張らないとね」

「……ほんとに今日どうしたんだよ。ある意味

 ミコらしくないじゃんか」

「ある意味って何よ! あるいみって!!」


 こたつ虫と化していた部長を見続けた俺と

しては当然の意見だろ。


「そりゃココもわかってるでしょ?」

「へ?」

「え、そのつもりで言ったんじゃないの?」

「へぇ?」


「部員だって、ぶ・い・ん。このままじゃ私たち

 だけで頑張っているって言ってるけど、私たち

 だけしかいないってことじゃん。だから来年も

 この部活を続けるために、何としても新入部員を

 見つけなきゃいけないでしょ」

「あ、そうか」

「だからこの春休みだけでもきっちり活動して

 こんな部活ですよーってアピールしたいのよ」


 やっぱり部長らしくかなり考えてはいるんだな。

我ながら感心してしまった。特にこの部活の超初期

メンバーであるだけあってミコの成長は見ていて

ほほえましい。


「だからココも休まずに活動してね。ココは

 真面目な副部長なんだし」

「はいはい、はなからそのつもりだし部長が

 そういうならそうするよ」

「ふふーん」


 鼻を膨らませて偉そうにこちらを見てくる。

胸を張るな、胸を。そんなことしたところで

ないものはないぞ。壁をそらせても壁のままだ。


「ん!? なんか失礼なこと言われた気がする!」

「なんにも言ってないよ。なんにも」


 言ってはいない。「言って」はいないよ。


「あのねぇ神前君、君にはデリカシーって言葉は

 ないのかい?」

「あ、生徒会長」

「こんちわー」

「はーい、こんにちはー」


 個人的には人の考えを勝手に読んでくるほうが

デリカシーのかけらもないと思うのだが。


「あれ、今日は部活はしないのかい?」

「いえ、これから部活の事で話をしようかと

 思って生徒会室に向かうところです」

「あ、そうだったんだ。ごめんごめん僕に用事

 だってのに生徒会室から離れてて」

「いえ、実のところそこまで急を要するものじゃ

 なかったので」


 まだ春休みまで1週間とは言わずとも、それと

同等の時間がある。最悪、春休みの前日、つまり

卒業式当日に申し付けてもいいからな。今回は

ミコが異常にやるきだからそれに乗っかっただけで。


 と思ったけれど卒業式に関しては生徒会こそ

かなり忙しいはずだし、やっぱりこういう用事は

早い方がいいか。


「それにしても僕としてもびっくりだよ。まさか

 春休みも活動するなんて」

「そりゃあ部活ですから」

「御前さんも部長らしいこと言えるようになった

 じゃないかーえらいぞー」

「えへへー」


 お父さんかあんたは。


「それに僕としてもそれはありがたいからね」

「ありがたい?」

「ほら、義堂君の家ってアレじゃん? だから

 僕のコネで学校に居させているようにさせてた

 んだよね」

「って義堂ってそうやって寒暖調節してるんすか」

「いやそんなどこかの動物じゃないんだからさ。

 だからちゃんと部活なんだっていえば僕がわざわざ

 関与しなくてもよくなるからね」


 そんなこんなで生徒会室に到着。ってあれ?

単純に生徒会長と会ってしまって、これこれこうと

春休みに活動しますよと言っておけばここに

来る必要がなかったんじゃ?


「はいそれじゃあ他に用件は?」

「ないです」

「はーい、それじゃあ部活頑張ってねー。


  それと何でここに来たの?」


「「ですよねーー」」


 生徒会室には会長一人しかいない。いつもは

逆に副会長だけいると言うパターンが多いだけ

あってこれはこれで珍しい光景だな。


 そういえばこの生徒会室にも須田は来たことが

あったのだろうか。須田との一件は、ここ数か月

以内の話だというのにずいぶんと懐かしく感じて

しまうのはなぜだろうか。それと須田はすでに

ここから旅立ったのかが気になる。最初はどこに

行くのだろうか? 確か北から攻めたいなんて

ことを言っていたから北海道にでも行くのか、

はたまた真逆の沖縄か。


 そんなのは今考える必要はない。須田がこの

学校に帰って来た時にでも聞けばいい話だ。

それに俺たちの部活に入りたいと言いつけられた

んだ。ミコの言う通り部の存続を考えないとな。

とはいうものの俺が学校に居座っている霊を

消し去るために作っただけの部活なのだが、

ここまで誰かを魅了させるものになっているので

あれば、続けなくてはならないよな。


 ……そういえば、須田で思い出したが……


「それじゃあ会長も頑張ってくだs」

「あーっとミコ、ちょっと先に帰ってていいよ」

「え? なんで?」

「ちょっと生徒会長と話したいことがあるから」

「? わかったよー。お菓子もあるからなくなる

 前に帰って来てねー」


 ……俺の分をとっておくという考えはないのか

あいつは。それはそうと……


「どうしたんだい神前君?」


「あの時、俺に言ったセリフの意味を教えて

 くれませんか」

「あの時のセリフ?」


 忘れたなんて言わせないぞ。俺が須田との一件が

あった後に保健室での去り際に言った生徒会長の

意味深な言葉を忘れるわけがなかろう。


「そろそろ気を付けるんだ。もうじき動き出す」


 ただの戯言ですまされるはずがない。こんな

心に引っかかる言葉を残されたままなのは非常に

胃に痛い。


「一体なにが動き出すってことなんですか?

 それもなぜ俺に向かって」

「ありゃりゃ? 僕ってそんなこと言ったかな……

 うーん、思い出せないや」

「……」


 これは本当に忘れてしまっているのか、わざと

忘れたふりをしているのか。この様子だけだと

どういう目的で黙秘権を行使しているかがわからない。


「まぁ、思い出したらまた伝えるよ」

「……わかりました」

「あ、そうだそうだ」

「?」


「ここからは誰にも言わないでほしいけど

 多分”それ”は、春休みには動くと思う。


 ……ってだけ教えておくよ」

「……?」


 それ?


 ていうか忘れてないじゃないかやっぱり。だが

聞けたところで全く、何が分かったわけでもない。

なぜ俺に気を付けろと言ったのかもよくわかって

いない。その時点で俺の身にまずいことが起こる

という前兆だったのかもしれないな。


「それじゃ、気を付けてねー」

「……はい」


 そして俺はそのときから俺がこの「異能部」の

活動が始まってからすっかり忘れてしまっている

ことについて考えるようになった。が、何度と

考えても特に問題になるようなものはない。


 いやいや、忘れると言うのはそういうことだろう。

わからないものをどれだけわかろうとしても情報が

なければ進展がないのは当然だ。多分、生徒会長が

俺に対して言った通りだと、情報は全て整っている

ってことなのか? それに俺が気が付かないだけで

自ら身を滅ぼさんとしているってことか?


 ま、最悪俺の悪魔の力でも使ってなんとか

するしかないか。あまり魔力だったりを使いたくは

ないが、その時はその時だ。


 そして、俺はなぜもっと悩まなかったのかと

それを悔やむこととなったのは言うまでもない。


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