117.日本語で遊ぼう
「****************」
「”具現召喚・ゲイジー”
”具現召喚・ヴィーハ”
”具現召喚・リア”
”具現召喚・プレシア”」
俺は家で悪魔を呼んだ。理由はまた
後で話すとして、久しぶりの日常回を
ここではしたいと思う。
「よし、これd」
カッ!
「なんだかんだと聞かれたら!」
「答えてあげるが悪魔の情け!」
「人類の破滅を望むため!」
「世界の平和を拒むため!」
「愛と虚遇の悪を貫く」
「ラブリーチャーミーな悪魔役」
「ヴィーハ!」
「リア!」
「ゲイジーだジー」
「未来をかけるビックリ団の3人には」
「ブラックホール眠れぬ夜が待ってるぜ!」
「なーんてにゃ」
……
「……
5点!!(100点満点中)」
「「低ぅ!」」
登場の仕方がおかしいだろオイ!
ていうかビックリ団って何!? いや
確かに驚かすことに長けた悪魔では
あるけどさぁ!?
ネーミングがダサすぎるだろ!
「ちょっとー、マスター! もっと
反応してよー!! これでもいろいろ
考えてきたんだからー!!」
「もっと考えるところがあるだろ! それと
”ゲイジー”。さっきのゲイジーだジーて
何だよ」
「……やれって……言われた」
まぁたしかに? 本家だと名前の一部から
持ってきてるから用途と活用の仕方は合ってる
けどさぁ…… あれはモトがネコなだけで
あって「ニャ」って付けてるんだから、そんな
無理にでも「ジー」って付けなくてもいいわ。
「そんな登場で力入れなくていいから。まだ
本編すら始まってもいないよ」
「うーん、ダメか…… やっぱ”ゲイジー”の
最後のセリフが「にゃー」だったのが
ダメだったのかなー?」
「うん先に言っておく。そうじゃない!」
なんでそこだけキャラ付け甘いんだよ。
「だから今回の反省点は”ゲイジー”だねー」
「うん、お前らがそれでいいならそれでいい」
「ネコならいいなら次回は”ゲイジー”に猫の
作り物の耳を付ければいいかな」
またやるつもりかよ。後、別件として
”ゲイジー”の猫耳は見てみたいなぁ。
閑話休題。
というかなんとなく読者もわかっている
かもしれないが本日は「日本語で遊ぼ」
よろしく日本語のお勉強会だ。
「お前らを呼んだのはちょっと前に一度、
別の悪魔が問題を起こしたから、今度
からちょっと教育の内容を変えようと
思う」
「えー、マスター、お勉強はイヤですー」
「静かに。”ヴィーハ”お前は廊下に
立ってなさーい」
「……なんか、乗り気になってる……」
だって一回ぐらい言ってみたいじゃん。
はぁと息を吐いて、机の上にあった一冊の
薄めの本を手に取る。”薄い本”ではない。
「じゃあ……”ヴィーハ”、これ何て読むか
わかるか?」
「え? えええ???」
「ハイィ!! ブブゥーーーwww
ざーんねーん!!wwwwww
ゴゥ・トゥ・RO・U・KA☆」
「ウっザー!!」
なんか楽しくなってきた。いやいや
本題を忘れてはならない。
「ほら、”プレシア”お前なら読めるだろ?」
「あ、プレシィもいたんだ」
「あぁ、お前らがずっとうるさかったから
黙りこくっていたけどな」
今更ながら”ヴィーハ”はどうやら他の
悪魔に何かしらのあだ名を付けるのが好き
なんだな。「プレシア」は「プレシィ」。
「リア」は「リア姉」。だとしても俺的に
「ゲイジー」を「ゲイ」と名付けるのは
納得がいかない!
「あの私は口を開いてよろしいのですか」
「いや、別にいつでもしゃべってよかった
んだけどね。まぁ、タイミングが皆無
だったのは分かる」
「リア様、ゲイジー様は曲がりなりにも
私の先輩に当たる悪魔なので礼儀を
重んじなければなりませんので」
”プレシア”はやっぱり”プレシア”だな。
相変わらず堅実な対応が目立つ。
なんか”ヴィーハ”が「え私は!?」と
後ろで言っているが、もうこれ以上こいつに
ツッコめば話が全く進まないのでスルー。
「それで”プレシア”、これは何て読む?」
「これは……
「ヨクワカル タノシイ ニホンゴ」
……ですか」
「うんうん合ってる合ってる。これから
これを使って「日本語」の勉強しようと
思う」
「マスター……なぜ急にそんな日本語の
勉強なんて?」
「”プレシア”が一度前に人間に見られて
コミュニケーションが取れなくて
大変な目にあったんだよ。だから
教育改革がてらやってみようかなと」
「はぁ?」
”リア”の言う通り、30年近くこんな
ことをしなくても問題なんてなかったし、
言い分もわかる。だが、意外な時に意外な
ヤツから見られる可能性があると
あの正月三が日に実感した。だから一応、
意味がないとしても一回やってみても
いいだろう。
「……何で……プーちゃんが?」
「プーちゃん? あぁ”プレシア”か。
”プレシア”は少しだが日本語ができる。
だから俺の手伝いになるんじゃないか
って思ってな」
「……うん」
あだ名のセンスは正直”ゲイジー”の方が
個人的には好みだなぁ。なんか気さくな
JKっぽいくていいよな。よくない?
「というかお前ら一応、先輩なんだから
ちょっとくらい日本語って知らないのか?」
「えー、そうだねー……時々、マスターが
使ってる”よくわからない呪文”みたいなの?」
「よくわからんが多分それだ」
さっきの登場の仕方も俺が前に一度、やって
見せたからできたものだ。これくらいの日本語
なら日常生活で耳にはしているのか……
なるほどね。だから”ヴィーハ”は聞く
ことはできるが読むことができなかった
ということか。
「お約束っちゃお約束なんだけど、
お前らが気に入ってる日本語って何?」
「えー? 意味分からないけど響きが
好きなのはあるかな?」
「へー、そんな印象の言葉があるのか」
日本語を日常的に使っている俺からは
得られない、日本語のすばらしさって
いうのが”ヴィーハ”には感じられるの
かもな。
「えーっと……
”モウ キガクルウホド キモチエエンジャ”
かなぁー。この、エエンジャの最後の
発音g」
「”ヴィーハ”俺が悪かったからその言葉は忘れろ」
ごめん、俺の日本語が汚かった。これからは
もっと素敵な日本語を使うから頼むから、
それだけは忘れてくれ。
なんで? と思う読者もいるかと思うが
これだけは聞くんじゃない。聞いてはならぬ。
「……ちなみに”リア”、”ゲイシー”は……」
「”オイキムラ オマエサッキ オレガ
キガエテルトキ チラチラミテタダロ”
なんて言うでしょう……上から目線で
言葉を話す日本語らしい表現が感じられる
かと私は思います。ただキムラというのが
いったい何を意味しているのかが……」
「”モチロン オレハ テイコウスルデ
コブシデ”
……内気な感じがする…… なんか
私に…… 似てる…… ……から?」
「よーしこれからはしっかりとした
”正しい日本語”を学ぶぞー!」
俺の日常の言葉遣いが垣間見えるから
もうやめてくれ。それとなんで綺麗なまでに
「ネト語録」からセレクトするんだよ!!
もっとあるだろ、探せよ!!
「マスターったら何が不満なのさ?」
「不満というか……要約すると、この小説が
アニメ化するのは無理だってことだ」
あんなセリフをプロの声優さんに言わせる
わけにはいかない。なんとしてもだ!
「まぁとりあえず発音とかは別に目立って
おかしなところはないから大丈夫か。
なら意味の説明でもするか」
「「「はーい」」」
「それとさっきのお前らの日本語は
これからは使うな」




