表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
SOMA
107/446

107.調べよ……う?

「よーーーし!! 「異能部」諸君!!

 このようにこの家には誰もいない!

 なので今から本格的に物色


 アベバぁ!!」

「強盗か俺たちゃ? んなこと

 言ってねぇでやるぞ」

「アタァ…… そんな殴らなくても……」


 この部活のメンバーにミコをか弱い女性

として扱う人はいないのか。


 本田の家族は全員、ミコの説得で今日だけは

本田がいつも過ごしているアパートに移って

もらった。そして俺たちは今夜中に物色……

じゃなかった、霊障の確認を済ませる。

奇遇にも明日は土曜日で学校が休みだ。


 これは少しばかりリスキーな判断でもある。

今夜中に見れなかったら意味がないし、同じ

ようにまた調べるってのも骨が折れる。本来は

圭佑君から”何か”霊の出現についての

手がかりを聞いておくべきなのだが、あれ以上

絞っても出てはこないだろう。


「それで、今日だけは俺も義堂も何も手出し

 できないからミコ、お前が頼りだぞ」

「まかせんしゃい!」

「何弁だよそれ」


 と言っても探すものは全て探しきっている

わけだし、やることといえば霊が出てくるのを

待つぐらいしかない。


 それでもできることが全くないなんてことも

ないし、正直言えば暇で暇でしょうがない。


「だからなにかやっておきたいんだが


 とりあえずそのオヤツ諸々しまえ」

「断じて断る!」


 この近くに丁度よくコンビニがあり、

本田を見送った後に少しばかし寄った

ときに買ったものだ。


「夜は長いんだから、これくらいの備蓄

 あってもいいでしょ。あ、ギドー君

 そのピッツァポティト1枚頂戴」

「ならその雪見ダイフク1個よこせよ」

「遠足か」


 のんびりしてんなぁこいつら……

それと義堂のその要求はダメだろ!

一パックの半分じゃねぇか!!


「ココも食べる?」

「……じゃあひとつだけもらうわ……」

「はい、ベビースター」

「一個がちいせぇ!」


 しかもドテカイやつじゃないじゃん。

よく4つパックで売られてるタイプの

細々としたやつじゃんかよ。


「あのさ、もっと素直にうまい! って

 言えるものはないの?」

「機械で割った卵」


「びゃあ゛ぁ゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛」


 そーじゃねー!! なんで

ここで語録に走るんだよ!!


「というかここはあくまでも他人の

 家なんだからさぁ、そんな盛大に

 テーブルにお菓子を並べるなよ」

「いつもの部活どおりじゃん」

「いや、まぁそうだけど……

 そうだけどさ!」


 と言ってる間に着々とお菓子が

無くなっていっている。さっき

こいつら肉じゃが食ってたよな……?

それと結局俺へのお菓子はねーのかよ。


「ちゃんと片付けろよ。話はそのあとだ」

「「はーい」」

「はーいじゃねぇ」


 聞き分けだけはいいよな。調子がいいと

言えば聞こえはよくないが。ってあれ!?

夜は長いからどうこうってミコ言って

なかったか? 何もう食い終わらせようと

してるんだよ!


「それで何すんだよ。俺たちゃ今はなんも

 できねぇっつっただろ」

「それはさっきまでの話で条件が変わった

 今なら変わるかもしれないだろ」

「条件?」

「そう、例えば今はこの居間以外は

 電気がついてないわけだし、もしかして

 もしかすると霊が出てくるなんてことも

 あるかもしれないだろ」


 「暗いと何か変わんのかよ」と義堂は

質問する。俺は的確にそれに返答する。


「だって明るいところに出てくる霊なんて

 聞いたことがないだろ。それに前に俺と

 義堂で見つけた銅像も暗いところに

 あったからこそ動いていたとも考え

 られるし、そうじゃなくとも調べておくに

 越したことはない」

「ちっ、メンドクセェ」

「それに誰もが寝静まったときに現れる

 なら、俺たちもその通りにやればいい

 だけの話だろ」

「あ? どーいうこったよそれ」


「夜にどこも電気をつけずにこの家を

 調べてみるってことだよ」

「んなことで変わんのかよ」


 義堂の言い分ももっともだ。実のところ

霊感MAXの俺が霊を確認できていないの

だから、義堂はおろか本田以上にこの

幽霊騒動がデマのなんじゃね? と疑い

かかっているのだから。


「ということでそれ食ったらそれを

 実践してみるから。まぁ、そんなんで

 変わるなんて俺も思ってないし、それで

 何とかなるんだったら警察はいらない

 ってもんよ」

「あ”ぁ?」


 本当に暗いと出てくる陰キャラな霊や

悪魔もいる。それも一度義堂と対面している

”あいつ”、そう今も異能に取り憑いている

”ロズ”がそれにあたる。が、俺がそうやって

悪魔に精通していることを隠すためごまかした

わけではない。ただ単に霊がいない方に

賭けただけさ。


「ほら喰い終わったら、ここの電気も消すぞ」

「いや、まだ5時間ぐらい食べる」

「フランス人かお前は」


 これはよくある比喩の一つなのだが、ここで

一つ豆知識として言っておくと、フランス人は

食べるのが様式美を重んじているせいか、超絶に

遅いらしい。普通に晩御飯を食べても確か

3時間かかるっていう噂だ。


 ミコはさらにそれの上を行っている。


「というかもうそのとんがりコーンで

 終わりだろ?」

「ううん、まだ柿の種とアルフォートが

 残ってるから、しょっぱいの食べた後は

 やっぱり辛いものか甘いもの食べたいじゃん」

「お前はここに何しに来たんだよ」


 遠足じゃないなこれ、ただの食いしん坊だ。

300円で収まってないよ、その量絶対。

「バナナはおやつに含まれるか否か」どころの

話にも達してないよ。


 ポッポー


 ……ん? どこかで鳩が鳴いた気がする。

 ……気のせいだろうか?


 __一時間後__


「よーし食べました」

「おーしそれじゃ」


「追加注文してきまーす。ギドー君!

 コンビニエンスストアまでlet it g」


 ガッシリ


 ミコの肩をつかむ。乗せるではない。

握るかの如く掴みかかった。


「おい、何ありのままの姿見せて

 自由になろうとしてるんだよ……」

「え、えー急にどうしたのさココーwww

 そんなポルナレフの物まねなんてして」

「ありのままだけしか合ってねぇだろ」


 さすがにここまで食いしん坊だとは俺の

予想はしていなかった。


 ……わけではない。


「おいミコ、いや巫女さんよぉ? こんな

 時間引き延ばしてどういうつもりだい?」

「いやいや私は健全かつラノベヒロインらしく

 ”楽しい楽しい部員たちとのおとまり会

 (夜のおかしパーティ編)”をしたいわけd」


「そんな小説の進行状況を理解しきっている

 ラノベヒロインなんていてたまるか!


  ……お前、


  ここの探索怖いんだろ?」

「……」

「……なぁ」

「……ピ、ピーヒョロロー」

「口笛吹けてな……いや、吹けてるけど

 なんでトンビなんだよ!」


 うまいなそれ、後で教えてもらおー。

そうじゃなくて、ミコはこう見えて暗い

所が苦手だ。ああ、霊媒をするのにそれは

痛手すぎるだろと思っているそこのあなた。

俺はそう思い続けて早4か月になろうと

しているんだ。この部活が発足して最初に

夜の学校に忍び込んだときも同じように

ミコは暗がりを怖がっていて、俺が無理やり

外に連れ出したのだ。


 しかしそのあとも夜の学校探索はもちろん

やっているし、そこにはミコもちゃんといる。

だがやはり慣れなのか、回を重ねるにつれて

慣れたようで徐々に探索の効率も上がって

いたのだ。


 だがそれでもミコは暗がりを恐れるのは

治っていないし、ましては慣れ親しんだ場所

だからこそ怖がらなくなっただけだ。


「だーーーーーーってーーーーー!!!!

 ここって日本家屋だよ!!? そこの

 テレビ付けたら貞子出てきてもおかしく

 ないぐらい雰囲気バッチシの日本家屋

 なんだよ!!?」

「わかってる」


 だが今の貞子はデジタル液晶薄型テレビ

からは出てくるとは思えないんだが……

高画質で呪いのビデオを見るメリットも

ない。それ以前に呪いのビデオ自体に

なんのメリットもねーわ。


「いやまぁ言いたいことは分かるけどさ、

 あんな一丁前にお願いしますって言って

 しまった暁にはそれなりのことをしないと

 いかないだろ」

「え? そんなのテキトーに

 ”祓ったンゴwww”とか言っておけば」

「お前巫女失格だろ!!」

「冗談だよ、さすがにそれはダメ」


 腹立つわーそれ。


「じゃあどうするつもりなだよ。さっきも

 言ったけどこの手の知識がない俺と義堂は

 今回に関しては自主的に動けないんだ。

 だからミコが指示してくれれば俺たちは

 その通り動いてやるよ」

「……」


 これくらい言ったらやる気も出てくれる

だろうか……?


「うー、わかった」

「よし、んじゃ初めに何すりゃいい?」


「コンビニですっぱいもの……あ!

 ピュレグミ買ってきて。なかったら

 酢昆布でも可」


 ドゴォ!!!!!!!!!!


「よし義堂、ミコ連れてとっとと霊探すぞ」

「うーす」


 俺は付けていた居間の電気を消す。

本当に真っ暗だが逆に目が冴えてきた。


 そして俺は右手に懐中電灯を持った。

これはさっき行ったコンビニで入手した

ものであり、やはり安っぽいものではあるが

十分だろう。


 そして左手には”ミコの死骸”を

引きずっていく。あのままほったらかしても

良かったのだがな。まぁ、それよりも俺が

驚いたのは義堂の”コレ”に対する反応が

ないことだった。


 本当にミコの扱いが変わって来たんだな。

そう思える一瞬だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ