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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
始まり始まり
1/444

1.プロローグを言おう

 学校のチャイムが昼の終わりを告げる。

昨日も同じ時間に同じように、おとといも

同じ時間に同じように…………いつか

イレギュラーなことはないのだろうか。


 そんな夢にも満たないことばかりを考える。


 呆れた日の繰り返しだった。


 これから教室にはどんな時でもけだるく

「うーい」と返事をする教師である佐々木が

来る。次の授業は確か保健体育だったはず。

たしか、授業内容は予定だと「男と女の

アレとコレ」という思う人にとっては

メインディッシュにも思える「理想の

保健体育」だったはずだ。


 だが、男子生徒待望のラッキーな授業だと

考えるが普通だが、実のとこ俺にとっては

まったくそんなことない。理由はとくに

その佐々木が柔道部の顧問をやっていて

無駄に厳しいとか、主観的なものでもない。

男だけでなく学校イチの超絶美人が同じ

クラスにいて男だけで「ウホホーイ!!」と

猿のオタケビを上げることに気が引ける

という客観的なものでもない。


 俺がいるこの場所「私立英嶺高校」は

確かに男女共学であるが、もっと個人的な

事情でこの授業内容に興味がないのだ。


 はっきり言うと、俺は「人」であって

「人ではない」のだ。「半人半魔」と呼ばれる

『人』と『魔』のハーフなのだ。


 何があったかを話し出すとずいぶんと

字数(・・)を食うためここは省かせてもらうが……

ん? なにかメタっぽいことを言ったか?


 とりあえず、この授業が興味の範疇の外に

あるわけなのだが、シンプルに悪魔である俺は

(いや、厳密には半分は人ではあるが……)

人との関わり、恋愛、そして今回の保健体育の

内容である「男と女のアレとコレ」に興味が

ない以前に、初めからニンゲン自体と

関わらないようにしているのだ。


 『美女と野獣』は現実には存在しない。


 おっと、自己紹介を忘れていた。

俺の名は"神前こうさき 滉樹こうき"という。

"こう・こう"と同じ発音が繰り返される不思議な

名前ではあるが我慢してくれ。見てくれだけは

普通に高校1年ではあるが年齢が普通ではない。


 もう自分が何年ほど生きてるかを覚えてすら

いないが、かれこれ30年は生きていると思う。

そこらの話もまた長くなるから省くとして、

学校生活は自分の体質の関係でニンゲンと

関わらずに送っているのだ。


 ……つまりぼっちである。


 そこはどうでもいい。


 はぁ……今は外でもぼんやりと眺めながら俺は

"ニンゲン"の男女関係について勉強している。

今日はなぜか知らんが早めに学校が終わるらしいし

この授業を切り抜ければあとは自由の身ってもの。


 さてと、放課後の予定としては…………

あまり言いたくないが、帰ったらとある儀式を行う。

何の儀式なのかもここではあえて省かせてもらう。

だって、プロローグにがっちり書く必要ない。

実際に儀式のときに説明したらよいのだよ。


 まぁまぁ、メタ発言はさてとおき授業が

もうそろそろ終わる。空を見ていたら

あっという間だな。とっとと帰って放課後の

予定を終わらせたい。その一心で、終了の

鐘の音とともに立ち上がった。


 ……が、そううまくいかなかった。


 帰る直前、いきなり先生に呼び出されたのだ。


 なにか品行方正(ひんこうほうせい)に反する不祥事でもしたのか

とも思ったが、人との関わり自体がまっったくない

俺にとってはそれはあり得なかった。悲しくも。


 ……いや、悲しくはないな……うん。


 呼びだしの内容は単純で「日直当番」であった。


 はい、俺のミスです。忘れてましたとも、ええ。


 しかも、今日に限って尋常じゃない量の仕事を

任された。明日のプリントの用意、流し台の掃除、

先生との二者面談(アンド)クラスの様子トーク。

これらがすべて終わるころには正直、帰ってから

儀式を行う元気などとっくになかった。


 ならどうするか……


 学校でやろうじゃないか。


 別に、自宅でなくてはならないわけではないし

自宅を選ぶ理由もただ単に「ばれないから」だ。


 さて、先生も帰った。


 学校には俺ただ一人。


 時刻は20:48。


 静かだ。


 そして、体育館はさらに静かだ。


 もしかしたら、自宅よりもこれは隠密性が

あるかもしれないと思える素晴らしい静寂だ。


 体育館の床に教室から盗んできたチョークで

丁寧に大きく魔法陣を描いていく。


「ーーーーーふぅ…………よし。」


 そうつぶやき、カバンから本を取り出す。

この本は決して教科書のようなものではなく、

俗に言うと「ミコン(悪魔の手帳)」だ。

それを左手に、右手はそっとミコンの上に、

足は体育館の巨大な陣の上に。


 あとは、呪文を唱えるだけだ。


 また軽くため息をして口をひらく。


「**********************」


 人の言葉ではなく発音もできない言葉が

静かだった体育館中に響き渡る。魔法陣は

じょじょに青く淡い光を放ち始める。


 そして……


「そこまでだーーーーーーっ!!


 この、悪魔めえぇーーっ!!」


 その言葉は俺のまじないよりも(とどろ)き、

俺を魔法陣の放つ光よりも青ざめさせた。


 この時点で分かることは学校は別に

隠密性に優れていないということと、

このセリフを発した女を俺は偶然にも

知っていることだった。


 しかしこれは俺の30年を超える

長い日常の終わりと、これからの長い

イレギュラーな日々の始まりに

過ぎなかった。


__さぁ、俺の悪魔のような、


 悪魔の青春を始めようか__


はじめまして、作者の琴吹風遠と申します。話数のとおり長丁場な話なので気軽に読んでください。それでもメンドクセーって方はスクロールを回して「Made in Utopia」から読んでもだいたい話は理解できると思います。できれば全部読んでほしいですがね。で・き・れ・ば読んでほしいですけどねー!

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