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宝箱と 恋の再出発
夕暮れ迫る 街道を、二人の旅人が ゆっくり 移動している。
二人とも 馬での移動であるが、ひとりは華奢で ひとりはごっつい 後ろ姿である。
深くかぶったマントから 表情を 伺い知ることは出来ないが、
漏れてくるのは ため息ばかりだ。
「はあああっー、ふうううう...」
「巫女姫殿、これで 今日は 352回目の ため息ですぞ」
大柄な方は お供のものらしく、主のため息を 数えるほどの 几帳面さである。
「ね。今からでもいいから 引き返しましょう!」
主の口から もう 何百回と 繰り返されたセリフが また 飛び出す。
「却下です。」
一刀両断な返答も もう 何百回となく 繰り返されている。
「それに もう 目的地は 目の前です!」
下を向いた顔をあげると、遠くに なつかしい 風景が 見える。
そう、流行り熱の 治療薬を見つけた 思いでの場所がー