第1章第5話 奇跡の生還。そして、死ぬな!轟騎!
オレは訴えたさ。
無駄だとわかっててもな。
女の部屋の前に男がひとりで立っていた上に墓穴掘ったんだからな。
信じないのも無理はない。
轟騎・・・お前だけは助かってくれ・・・。
「こうなったら自棄だ、オレはここで朽ちる男ではない!」
オレは椎名の手を握った。
「ひゃっ!」
なんか悲鳴聞こえたけどもう無駄だ。
今のオレは誰にも止められないぜ!!
そのままオレは人気のないところまで椎名を連れていった。
「見られたなら仕方ない、こんなことはするつもりはなかったが・・・」
「何言っているの?わたくしはあなたが夜這いをかけるような人じゃないことは分かっています。でも・・・駿がそんな気分なら、わたくしは・・・」
は?
あ、ラッキー。
教師にばれずに済む。
あなたは女神です、椎名さん。
「マジでオレの言うこと信じてくれんの?なら教師に黙っててくんない?」
「あ・・・はい。分かりました。このことは秘密にします」
助かった。マジ助かった。
後で礼でもしないとな。
でもお嬢様には礼なんてしても余計かな?
ま、いっか。
その後椎名と喋って過ごした。
なぜ部屋の外にいたのかは謎だったが、気にしないでおこう。
喋りはじめてから30分程度経った頃にメールが来た。
轟騎からだ。
<担任に捕まった。服を脱がせるとこまで成功したんだが悲鳴あげられてな。
お前はちゃんと逃げれたか?>
・・・バカだ、こいつ。
まあ、担任もバカだからすぐ釈放されるだろうが。
「・・・はあ。まあいいや。椎名、明日は何だっけ?」
「明日はまだ決まっていませんわ」
「そうか・・・また国際通り往復で終わりそうだな」
これはマジだ。かれこれ沖縄にきてから国際通りしか行ってないし。
「国際通り飽きたな・・・。部屋に戻るか。椎名、また明日な」
「はい、おやすみなさい。それと駿」
オレは椎名に呼び止められた。
「わたくしのことは千秋でいいですわよ」
オレはそれを聞くと頷いて部屋に向かった。
うん、最後の身を翻して去るとこは決まったな。
部屋に戻ると宣告通り轟騎はいなかった。
「飯までもう少しあるな・・・だけど腹減った・・・とりあえずなんか飲むか」
オレは冷蔵庫を開けてコーラを取り出す。
まて。
仕返しとばかりに轟騎が振ってる可能性がある。
オレは警戒しながら風呂場で開けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
何も起こらない。
「考えすぎか・・・」
オレはコーラを飲みほしてベットに横たわった。
暇だ。
非常に暇だ。
轟騎がいるのといないのとでは大分違う。
なんかないか・・・あ、カラオケ。
オレは機械を起動した。
「誰か呼ぼうか」
ふふふふふふ、カラオケといったら凄い奴がいるじゃねぇか。
オレはニコニコしながら電話をかける。
「・・・完了」
数分後、顔がいい奴が来た。
「早かったな、錬磨」
こいつは 一条錬磨。
学年でトップクラスのカッコよさを誇る男。
だから奴を好くのも無理はない。
しかしオレは奴の仮面をとった姿を知っている。
こいつはどこで行き間違えたか、結構ハードなオタクだ。
オレはこいつとは長い付き合いだがいつこうなったのかはわからない。
「さあ、君の歌声を聞かせてもらおうか!」
こいつは一般人にしては歌は上手い。
ただ、歌う曲がアニソンやら某有名動画サイトで流される曲とかしか歌わない。
しかも、ほとんど叫んでる。なのにいつも90点前後。
真面目に歌うオレとたいして差がない。
「行くぜ、まず一曲目。送信。ハレ晴「いきなりそれかよ!?」
待て。
せめて最初はアニソンは止めような。
オレは普通の歌が聞きたい。
「オレが先に行く」
選曲は間違ってない。
これはオリコン一位をとった曲だからな。
さあ、歌おうか。
だが流れてきたのは・・・
患部で止まってすぐ溶ける〜狂気の優曇華院
「・・・・・・・・・・・・・・・こ、こいつ・・・」
知ってるけど歌えねぇ・・・。