第2章第7話 疲れたので寝よう・・・そしてその先夢地獄
マンティコアとワイトキングは向き合い、攻撃のタイミングを見計らっている。
その間オレは仮眠をとっていたが。
「駿様、駿様。起きてください」
目が覚めるとワイトキングはどこかに消え、マンティコアも消滅していた。
「あ、はるか、おはよう」
オレは体を起こしてどうなったかはるかに聞いた。
「駿様の召喚獣がマンティコアを討伐したあと、たちまちきえていきました」
勝ったか。
「いやあ、オレのマンティコアが負けるとは」
・・・どっかで聞いたことのある声。
「轟騎か」
「待たせたな」
「待ってないから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
それから約20分沈黙していた。
それから漸くして口を開いた轟騎が話し始めた。
「ある日オレは家の倉庫を漁ってた。錬磨とバドミントンをやろうとしてな。んで、変な書物を見つけた。何やら錬金術っぽいことができるようになる本で、試しにマンティコアを作ってみた。ああ、素材は錬磨の財力で何とかした。ちなみに錬磨も錬金術を使えてさ、なんか生物系の錬金術は俺が使えて、金属系は錬磨が使える。まあ、そんなとこだ」
錬金術か・・・。
オレの召喚した召喚獣を合成できるかもな。
似たような魔法属性に融合があったけどたぶんそれはまた違うんだろう。
5月2日午前9時
「錬磨、轟騎・・・貴様らと同じクラスとはな・・・まあ、クラス一つしかないから仕方ないんだけどよ・・・」
「何だよ、離れたくないとか言ってたくせに」
黙れ!
やっぱこいつらいらないわ。
オレは授業中寝た。
それはいつものことだ。
だが、見た夢が・・・少し不思議な夢だった。
「駿・・・」
オレは誰かに呼ばれた。
どうやら寝ていたようだ・・・。
だが、そこはオレの知る世界ではなく、果てしなく荒廃した世界が広がっていた。
どこだ、ここ。
呼ばれたのに誰もいない。
だけどあの声は聞き覚えがある。
なんか、声の主にもう一度会いたい。
また、会いたい。
そんな声だった。
「駿様?」
オレの眼には光はなく、はるかが心配そうに顔を覗く。
それはそうだ。
このときオレは、ここにはいなかったから。
荒廃した世界にただひとり、魂だけが取り残されていた。
その世界では、二人しか存在しなかった。
愛しきあの人、千秋とオレ。
何故?
あいつは今、この島にはいない。
それにこんな世界を作り出す力もない。
ってことは、唯一つ。
夢魔か。
一度踏み入れられたら出れない。
だがよ、オレを誰だと思っている。
次期当主、片瀬駿様だぜ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・認めちまった・・・。
夢魔を滅ぼすのは至って簡単。
夢から覚めればいい。
体内にパスが通っているリアに通信する。
「オレを起こしてくれ!!」
約2分後、オレは目覚めた。
リアの魔法で。
てか結構リアって便利だな。