エンディング3 破壊のセレナーデ
注意・エンディングはほかにもあります。
力尽きた神が横たわっている。
切り捨てられた神は動こうとしない。
「さあ、みんな。帰ろう!」
オレがそう言った瞬間だった。
「駿!」
千秋の声が聞こえた。
「うわっ」
そして、オレの身体が弾き飛ばされた。
千秋の手によって。
「う・・・」
「ち、千秋!!」
後ろから伸びた長い棘のようなものが千秋の心臓を貫いていた。
それは、神の人差指であった。
「外したか・・・」
「き、貴様ああああああああああああああああああああああ!!」
オレは剣を抜く。
「最終奥義!神威裂罅!!」
怒りのあまり、オレは放つはずのなかった奥義を放った。
オレは、我を忘れていた。
「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
オレが剣を縦に振っただけで、大地は粉々に砕け散って行った。
それはまるで大きな波紋のように、大地を伝って山や海をも破壊していった。
無論、神など跡形もなく消滅していた。
魂や意思、あの神が存在していたこと自体抹消されてしまった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「駿くん!」
はやて姉・・・。
「何故生きている・・・神威裂罅は・・・ありとあらゆるものを消滅させる・・・究極の奥義。1から15代までの全ての奥義を修得した者だけが使用することができるといわれる、神の剣技なのに」
「私の魔砲で相殺したわ」
「ふ、そうか・・・それで世界は滅びなかったのか」
「それでもこれだけの被害が出たのよ」
「そんなことはどうでもいい・・・千秋は・・・千秋は無事か!?」
はやて姉は俯いた。
そして彼女から発せられた衝撃的な言葉が耳に突き刺さった。
「千秋ちゃん・・・死んじゃった」
オレの瞳孔が開いた。
かつてないほどに。
「千秋・・・千秋・・・千秋を返せ」
みんなも俯いている。
千秋は心臓から大量の血液をまき散らしながら倒れていた。
「エスナアアアアアアアアアアアア!千秋を・・・千秋を生き返らせろ!!」
オレは吼えた。
心には怒りや絶望しかない。
「それは・・・無理な話だ」
「ふざけるな!貴様はその程度しかできねぇのか!」
「言葉を慎め!いくら主でも我に対する愚弄は許さぬ!」
「ああ、てめぇもオレを裏切るのか・・・お前は以前不可能なことはないと言ったはずなのによぉ・・・いいさ、別に・・・superbia、invidia、ira、acedia、avartia、gula、luxuria...」
全てを・・・オレは全てを超越する・・・死さえも!!
「七つの大罪を司る悪魔よ・・・今我の身に宿りたまえ!」
「ば、馬鹿なことは止しなさい!」
もう・・・オレには・・・。
「・・・エスナ」
オレの矛先はエスナに向く。
「奥義・堕天輪廻」
オレはエスナの首を絞める。
そしてエスナの心臓を刀で貫く。
貫かれた刀の先からじわじわと闇が広がっていく。
「貴様は・・・これで堕天使だ」
もとから灰色だったエスナの翼は漆黒に染まり、堕天使の風格が出された。
「そして・・・オレの力の糧となれ」
エスナはオレに取り込まれた。
「千秋のいない世界など無意味、オレは全ての次元を滅ぼす」
「ちっ、もうダメみたいね・・・ブラックホール・エクスプロージョン!」
はやて姉が魔砲を撃ってくる。
だが、今更無駄。
今のオレには・・・神すら勝つことはできない。
「消え去れ」
オレが手を振りかざしただけで、はやて姉の魔砲は消滅した。
「ま、魔砲が!!」
「この世界にもう、用はない・・・」
それから数時間後、神威戦争という、神々の戦争が行われた。
だが、神々ですら悪魔や神を取り込み続けたその邪神に叶うものはなく、世界は終焉を迎えた。
彼も、その後自らの命を絶った。
彼が集めた武器と、彼の愛した者の写真を一枚だけ残して。
愛する者を失ったあまり、とある邪神は世界は滅ぼした。
そんな伝承があったことは、永遠に語り継がれることはないだろう。
まあ、いわずとも分かる、超バッドエンドってやつ?
一応自分ではデッドエンドと称しています。