最終章第20話 エンディングはひとつじゃないさ!物語は、数種類で集結する!
あとはこれを試すだけだ。
本当に、これが成功するのか。
みなには成功すると言ったが、完璧に服従させることができるのか。
未来のオレは、世界を破滅に導く組織はカタストロフを狙っていると言っていた。
だが、今ここでカタストロフを破壊してしまえば・・・。
みんなに見守られるなか、オレはカタストロフを地面に突き刺した。
「いでよ、災厄の剣に宿りし魔王よ!」
すでにこの剣は覚醒済みだ。
問題ない。
言われるがままに魔王は姿を現した。
「お前にひとつ問う。生贄にするとしたら、誰を選ぶか?」
「・・・そこの女だな」
「え、私!?」
はやて姉・・・無駄に反応するなよ・・・つかお前じゃねーよ。
「いや、その奥の少女だ」
「わ、私ですか?」
「予想はしていたがな」
対象は千秋であった。
「彼女が生贄でいいのか?」
「いい訳がないだろう。お前には生贄なしでオレたちを元の次元に戻してもらおう。それに・・・」
オレはここで一度言葉を切り、右後ろにいるエスナと顔を合わせる。
「ああ、これは確かなことだ」
「オレたちを連れてきたのは、お前だろう!カタストロフ!」
「未覚醒の状態で、どうやってだ?」
賢者も言う。
「おまえは完全に封印したわけじゃない。それゆえに、ある程度の力くらいは使うことができたはずだ、今までも」
「・・・封じ込めた者には分かるか。そうだ、ここに送りつけた」
やはり。
「なぜだ?」
「決まっておろう、貴様らを殺すためだ」
「それは自由への渇望か?」
「そうだ」
自由か。
「だが、読みが甘かった。貴様らの力の方がこの世界のあらゆる兵器、魔法よりも上であった」
「考えてくれ。取引だ、生贄なしで元の次元に戻してくれるなら、お前を剣から解き放つ」
「バ、バカなことはよせ!」
賢者が制止に入るが、オレはやめない。
「そんなこと、許されると思っているのか?」
「・・・だろうな。なら、オレはお前を殺しにかかる。死ぬ寸前で生かし、永久にオレの使い魔とする!」
魔王は笑う。
「貴様らが束になったところで、魔王には勝てはしない」
「オレはそうは思わない!やってみないと分からないってのはただのバカだ。歴然の力の差を見せられてもそんなことを言っている奴ならなおさら。主人公補正でもかかってねぇとかてねぇよ。脇役が言ったら死亡フラグだ。オレはそんな根拠もない希望なんて期待はしてない。ここまで言うくらいだ、オレには秘策があるってこと・・・気づけ」
オレの秘策。
これは最終手段だ。
できればそれ以外の手でこいつを倒したい。
オレの体がまた人間から離れる前に・・・。
「楽しませてもらおうか。貴様らが敗北した暁には、貴様ら全員の魂を喰らってやる!」
一度彼を制した賢者もいる。
一見するとこちらの方が有利・・・。
だが、有利というのは全く当てにはならない。
形勢逆転という言葉も存在するから。
気を抜いたら、一瞬だ。
三途の川を渡るのに、時間はいらない。
オレが前に進もうとすると、代わりに轟騎が前に一歩出た。
「駿、俺はお前には勝てない。今まで何一つ勝てなかった。力でも、頭でも、顔でも。でも、そんな俺でもお前の力にはなれる。お前ひとりで戦わせることなんてできないさ」
いや、仲間いるんだが。
「あいつを傷つけることはできないだろう、その武器じゃ」
轟騎の武器は最先端の武器だ。
だが、それでも奴には届かないだろう。
魔除けの力がないから。
魔を打ち砕く力がないから。
「悪魔を傷つけられるのが魔力だけだというなら、俺は役には立たない。でも、お前の背は俺に任せてくれないか」
こんな感動的(?)なシーンですら攻撃をよけながらやっているという現実。
「・・・死ぬなよ」
オレはそういうと、腰のルインを抜いた。
「主、奴を討つのは私でお願いします。奴を討てるのは、おそらく私だけですから」
確かに、ルインはカタストロフに匹敵する力を持つ。
「お前だけで戦うわけじゃない」
そう、オレの刀はルインだけじゃない。
ハヤブサやオロチたちだっている。
「俺たちも忘れるなよ!」
骸と亮平も参戦していた。
魔砲を乱射している。
さすがといえばさすがだが、魔砲の威力は少々やりすぎだと思う。
だが、奴はそんなのにもビクともしない。
「骸、亮平!見てなさい!これがホントの魔砲よ!」
はやて姉がチャージを始めた。
「インフィニティ・ニュークリア!」
ちょ!?
ニュークリア!?
そんなんだしちゃっていいの!?
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!」
↑オレの悲鳴
戦場にいた男どもは全員巻き込まれた。
ピンポイントで女だけ避けやがって・・・。
なんつーテクだ。
つーかそのテクオレたちにも使え!!
カタストロフの猛攻・・・ではなく、はやて姉にボロボロにされたオレたちに、為す術はなかった・・・。
「つか・・・カタストロフ、てめぇもくたばってんじゃねぇ・・・」
あっさり片付いたカタストロフであった。
はやて姉は魔王を凌駕する力を持っているようです。
たぶん、管理局の白い悪魔とも同等に戦えると思います、はい。
まさに魔王。
「約束通りあんた(と、他の連中)をぶっ倒したんだから、元の世界に戻しなさい」
力の次元が違った。
うわぁ、なんか最終回っぽい出だしだったのにこれかよ・・・。
実は最終回じゃなかった的な。
まあ、タイトルの時点でそんなことはわかってんだけど。
「・・・この世界を恨んでも恨み切れぬ、貴様ら、元の世界に戻ったらマルチエンディングになっていることに驚くんだな!」
え、これってギャルゲーだったの?
「違う、エロゲだ」
天下の悪魔がそんなこと言っていいのか!?
あと、心読むな。
「残念だったわね、生憎駿くんをエロゲなんてするように育てた覚えはないわ」
いや、はやて姉も言い返さなくていいから。
「え、でも駿くんの部屋にこんなものがあったよ」
つばさあああああああああああああああああああああああ!
てめぇ、なんつーもん持ってやがる!?
お前だけは信じてたのに!?
それは錬磨に押し付けられたエロゲ!!
「駿、あなたは私なんかより二次元の女の方がよかったのですか!?」
誤解するなあああああああああああああああああ!!
錬磨、てめぇ帰ったらぶっ殺おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおす!
「ふ、駿。お前が千秋ちゃんと付き合う前に夜な夜なあんなものを見ていたことを忘れたか!」
見てねええええええええええええええええええええええええ!!
何言ってんだ轟騎!!
そりゃてめーのことだろ!?
「片瀬、吾はお前を見損なった。もっと武士道精神を心に刻みつけた人間だと」
どちらかというと騎士道精神の方が心に刻みついています。
「あなた、場違いな発言ですよ、刹那さん。ここは状況を悪化させることを言わなきゃ」
洸!
てめぇ出番がなかったからって調子のってんじゃねぇ!!
お前が一番場違いだよ!!
「駿様、どんな御方でも私の身体はあなたのものですから」
さっきの言葉に影響されて状況悪化させんな!!
「駿、妾には手を出さないで!私だけを見続けてください!」
千秋もそんな心配するな!!
「ストリートチルドレンを拾っていたのは全て犯すためだったのか。やっとあんたがおれを助けてからストリートチルドレンを保護していた理由がわかった」
勝手な理由作んな!!
それからさんざん誤解されるような言葉を言われ続け、体だけじゃなく、心もボロボロになっていったオレであった。
「暇だったな」
「そーだな、骸」
「あの状況で発言してないのたぶん俺たちだけだぜ」
「でもそのおかげで最後二人だけの会話をする機会を与えられたんだ。喜ぼう」
「そもそもフレアとか洸とか一回しか発言してないしな。今の時点でオレは3回目だぜ」
「一応準レギュラーだからな、俺達」
「地味に委員長の方が登場回数は多いんだよなぁ」
「いや、分からんよ。骸の方が多かったりするかもよ、作者面倒だから数えてないし」
「登場したのは俺の方が後じゃん」
「まあ、確かにそうかもしれないけど・・・」
あっちで騒いでいた連中の中で、外野はこんな話をしていた。
タイトルや文中にもあったように、この話最終回が数パターンあります。
最高の結末や、最悪の結末まで用意しますので、ええ、無駄に。