最終章第11話 魔砲の可能性は(破壊することに関しては)無限大!
「駿くん!?どうしたの!?」
「ははは・・・街消えたわ」
「そんなことどうでもいいよ!!」
かなり動揺しているようだ。
オレ一人じゃ歩けないからな。
「槍を持ってきてくれ。ゲイボルグを、リアを」
他の連中はすぐさまリアを持ってきた。
「主、随分久々に姿を見るが?」
「・・・文句は受け付けない。早速だが、治療してくれ」
「・・・仕方無い」
多少強引ではあったが、一応リアは治療を施してくれた。
オレは歩くことができるほどに回復した。
「それで、何でこうなったの?」
「謎の女にやられた」
「ま、まさか・・・駿くんが!?」
「駿が一方的にやられるだと!?」
「いや、一方的にではない。一応相手にも深手は負わせた」
「それに駿はウチを守りながら戦っていたんや。本気は出せへんよ」
「街ははじめから破壊されてたけどな」
「そう、分かったわ。それじゃあ明日の朝、ここを発ちましょう。街もなくなってしまったなら、他の場所に移動するのがいいだろうし、それに他の仲間も探さないといけないしね」
はやて姉はそれ以上オレを咎めることはなかった。
「千秋、動けるか?」
オレは千秋に出発すると言う事を話しに来た。
「ええ、駿こそ大丈夫なのですか?聞きましたよ」
「そうか。はやて姉が明日出発するっていいだした。お前は大丈夫か?」
「なんとか。歩くのは流石にきついですけど」
勿論、千秋には召喚獣に乗ってもらうつもりだ。
「もしよければ、またオレと一緒に空の旅をしないか?」
オレは千秋を誘ってみる。
「具合がよくなっていればいきます!」
「分かった。それじゃあ、準備しておくよ」
そう言ってオレは召喚獣の準備に取り掛かった。
翌日
はやて姉がどこからか馬車を手配していた。
徒歩じゃないんかい。
まあいいや。
他の連中は馬車に乗せて、オレは空の旅でも・・・。
「駿くん、今すぐ千秋ちゃんと空に飛んで!」
「え?」
「はやく!」
・・・何が起きたんだ?
とりあえず、オレと千秋ははやて姉に言われるがまま空に飛び立った。
「よし、駿くんは空に行った。骸、亮平!軍を倒すよ!」
「予想より早かったな。間違いなく俺達を犯人扱いするだろうからな」
「弁論も面倒だ。・・・殺す」
二人の銃士は銃を構え、軍隊へ走って行った。
「指揮は私に任せなさい!」
はやては自信を持ってそう叫んだ。
はやての技能ならば素晴らしい戦果をあげるだろう。
尤も、二人が忠実に指示を遂行できればの話だが。
「ここ数日叩き込まれた奥義、見せてやる!」
骸は高らかにそう叫んだ。
相当自身があるのだろう。
真直ぐに標的を見ず、彼の目線は多少それた位置を突き刺していた。
「バーン・リフレクター!」
骸の魔砲ははやてのそれとは違っていた。
両手に持った銃で、若干ずれた位置へ特殊な弾丸を放ち、それを魔砲で狙って反射させる。
彼は彼なりに魔砲を改良し、前方からの砲撃だけでなく、左右からの砲撃を編み出したのであった。
やはり威力ははやてには劣るが、ひとつの小隊を壊滅させるには十分な威力であった。
それを見た亮平もまた、彼の銃―――バーニング・エアレイドを掲げた。
彼も数日間、はやての魔砲教育を受けたものである。
彼は骸と違い、無言で標的を定め、銃を放つ。
だが、その魔砲はやはり二人とは違った。
元々バーニング・エアレイドは連射型の銃である。
それ故に彼の能力も連射に長けている。
そこから編み出した新たな魔砲。
「インフィニティ・ソーン!」
彼の魔砲は他の二人のような派手さはないが、元々あった精密射撃性能を生かしている。
連射型である。
力の消費も他の二人に比べて少ない。
一発の一発のチャージタイムも1nsほどであり、凄まじい速度での連射が可能である。
他の二人が「力」の魔砲とすれば、彼の魔砲は「技」だろう。
そう思わせる力であった。
二人の活躍により、軍隊はあっさりと片付いた。
まるでやっていることは悪人としか思えないが。
「はやてさん、法律とか守らなくていいんすか?」
「私たちは違う世界の住人だからいいの」
「郷に入っては郷に従えとも言うだろう?」
「気にしない気にしない。もうやっちゃったんだから」
・・・なんて奴だ。
彼らはそう思った瞬間、死を体験した。