最終章第9話 そこのお姉さん、街の行方を知りませんか?
今日も骸と亮平の悲鳴で目が覚めた。
これで4日目か。
あいつらも災難だな、よりによってはやて姉に目をつけられるとは。
轟騎は自分が選ばれなかった瞬間、すげー嬉しそうな顔してたからな。
そんくらい酷いもんだ。
「あ、駿くん起きた?身支度ができたら買い物に行ってきて」
ん?
オレ以外にも行く奴はいるだろう?
「それがね、千秋ちゃんは熱で寝込んじゃってるのよ」
千秋が?
「千秋のところに行ってくる」
「あら、言わなくても心読めるから大丈夫よ」
心読むな!!
千秋はぐったりとしていた。
「あ、駿。おはようございます・・・今朝ごはんの支度しますね・・・」
ホント具合悪そう。
声聞いただけで分かるくらいに。
「無理するな。オレも料理ならできる」
うん、普段やらないだけだ。
「千秋はゆっくり休め」
「分かりました」
んで、買い物だっけか。
「駿くん、暁と一緒に街まで買い物に行ってきて」
「ああ、分かった」
暁か。
随分長い間話していないな。
まあ、この際だからいろいろ話すか。
「暁、買い物行くぞ」
「ん・・・駿?」
暁は寝ていた。
「はやて姉が配慮してくれたんだろう。出番が少ないから」
「出番が少ないって言うなー!」
暁は怒っている。
だが、オレには関係ないさ!
オレはほとんどの話に出ているからな!
主人公だし!
そして主人公補正として無駄に強いしな!
っと、んなことはどうでもいい。
街に行くか。
街についた。
「着いたはずだよな」
「昨日まではここにあった」
・・・。
「何故街が消えている」
「まさかはやてが破壊したんやないか?」
んなまさか。
だったら買い物に行かせないはずだ。
・・・。
「駿、あそこに誰かいるよ」
誰だ?
剣を持っているな。
おかしい。
この国の主力っつーか標準装備が銃なのに。
「・・・まだ残っていたの?」
剣を持った誰かがちらっと振り向いた。
「お前が街を消滅させたのか?」
「想像に任せるわ」
「ウチら買い物できへんと困るんやけど」
「そう、それは残念ね」
声から想像するに恐らく女だ。
ローブを着ていて顔はよく見えない。
「お前はどこのディマクだ?」
「誰それ。私はナナリーという名があるわ」
いや、ローブについたフードのせいで顔が見えないからディマクって言ったんだが。
まあ、女だからミスティの方がよかったか。
「まあ、姿を見られたなら仕方ないわ。あなたたちをここで始末する」
何この普通な展開。
「駿、危ない!」
うおおおおおおおおおおお!?
な、なんだあれ!?
暁が助けてくれなかったら刺さってたぞ!?
っと、何が起きたかというと、ナイフ投げられました。
しかも反応遅れた。
余計なこと考えてたし。
「大丈夫?」
「ん、ああ」
珍しく守られたオレであった。
「ウチが相手になってやる」
暁が指をポキポキと鳴らしながらナナリーに近づいていく。
そして、目つきが戦闘モードになっている。
対して無言のナナリー。
「ウチからいくで!リミット・バスター!!」
まあ、原理は分からんが拳からビームを出した。
それをナナリーはあっさりと避ける。
「攻撃のつもりかしら?」
「まさか」
さっきの一瞬の回避で分かったが、ナナリー・・・彼女は強い。
動きが違った。
「暁、下がれ。オレが行く」
「いやや、ウチがやる!」
「黙れ!死にてぇのか!?」
オレの叫びにビックリした暁は、恐る恐る引いた。
暁じゃ勝てない。
絶対に。
「オレが相手をする」
「・・・あなた、なかなか強いね」
当然だ。
主人公だからな。
オレは刀を抜く。
オレが使う刀はシロガネ。
正確には、クラウ・ソラス。
「シロガネ、力を解放しろ」
シロガネのセリフは省略。
もう面倒(作者が)
光の中、聖剣が姿を現した。
「オレに牙をむいたこと、後悔させてやる」
いかにも悪人っぽいセリフを吐きながらオレは剣を構える。
それに対して、ナナリーは若干笑っただけであった。
そしてオレとの戦いは始まる。
暫く剣を打ちつけ、様子を見る。
剣を交えて分かったことは二つ。
ひとつは、彼女の剣術は全然見ない剣術だということ。
そしてもうひとつは、その剣術は非常に強力だということ。
突然、斬るように突いたり突くように斬ったり、余計な行動のせいで行動が読みづらい。
やはり強敵だ。
奥義で決めるか。
「真・一刀奥義・ダイアモンド・ダッシャー!!」
オレは大地を一閃。
「くっ!!」
ナナリーはその一撃を剣で受け流す。
やはり強敵だ。
普通ならば真っ二つに切断されていた。
だが、剣はその力に耐えきれなかったようで、粉々に砕け散っていた。
「・・・私の剣を壊すとはね・・・いいわ。本気で行ってあげる」
本気・・・じゃなかったのか?
「上には上がいるのよ!」
そう言い放ち、彼女は空をつかんだ。
その瞬間、まるでメーネのような双剣が突如姿を現し、彼女の手に収まった。
その剣は形こそメーネではあるが、実体をもたないようで光の集まりのようだった。
なんていえばいいか・・・まあ、ライトセーバー?
まあ、いいや。
とりあえずサイバーな感じの剣であった。
「かかってきなさい、遊んであげるわ」
その剣を構えた時のナナリーの威圧は、まるで別物であった。