最終章第6話 バルスは桃源郷に飛ばすという特殊効果を持っているようです
「ここに集まってもらったのは他でもない、片瀬夫妻失踪事件についてだ」
俺こと轟騎が駿関係の奴らを集めてこうして話をしている。
「片瀬夫妻って・・・結婚したのか?」
亮平が俺に聞く。
「駿はまだ16だ!結婚はできない!」
「ああ、そうか・・・。それで、俺達は何すればいいわけ?」
「丁度いいことに未来からわざわざ来てもらった洸くんもいるからな。彼は時空を越えることが可能だ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!ボクは女です!」
「んなこと気にすんな」
「気にしますよ!!」
「それで、彼女に時空を越えて彼らが失踪する時まで戻ってもらう」
「数章越えての登場でこの扱いですか、はいはい」
どうやらお疲れ気味の様です。
「それで、どうする。メンバーは」
「ここに来たメンバーで今まで登場した奴らでよくない?滅茶苦茶空気な奴らも多いけど」
「比較的登場回数多い連中から優先で」
「海底に一緒に行ったメンバーは必須だな」
「つーことは俺と亮平と刹那さんと骸とフレアか」
「錬磨は?」
「誰それ」
「ああ、そう」
「おい!入れろよ!」
「んじゃ、後は誰?」
錬磨の声は当然の如く聞き入れられなかった。
「専属メイドのはるかと」
「そう言えばそんな奴いたなぁ」
「すいません、空気で」
「双子の妹、暁と」
「なんで実の妹のウチより義理の妹の刹那ちゃんの方が多いんや、納得いかん」
「文句は受け付けません、それから戦力にはならないが、心の休みどころのつばさちゃん」
「え、はい・・・久し振りだね、登場。これから出番増えるかなぁ」
「残念ながら今回で最終章です」
「はぁ、だいたいそんな扱いだよね・・・非戦闘キャラって」
単に入れるスペースがなかったってだけである。
「これで決定。違う時代お方と中国人と電波と魔術師双子と野性児と・・・他に誰かいたっけ。まあいいや。君たちお休みで」
「最後の最後まで出番がなくて残念ですねぇ」
というわけで、俺達は駿の失踪した時代に飛ぶことにしました。
失踪当日夜
「お、寝室に入っていったぞ」
「恐らくこれから失踪するんだろう。もう夜だから眠いし、交替で見はろう」
「ならば最初は私がやろう」
率先して手を挙げたのが刹那さん。
彼女なら、駿が力を封じられたりしてもそうそうやられないだろう。
普通の敵なら撃退できる。
「それじゃ、お願いしようかな」
「あのメンバーの一人だし、比較的信用もできるしな」
どうやら亮平は信用しているようです。
「いざとなったら俺を起こせよ。委員長と俺なら銃だから遠距離にも攻撃が届く」
正直銃は中距離で使うのが一番です。
狙撃銃でもないその銃の場合は。
2時間後
「な、な、な・・・何しているんだ、片瀬は!!」
ふっと目を覚ますと、小声ながら怒鳴っている刹那さんがいた。
他の連中は眠っている。
「なんだ、どうしたんだ?」
刹那さんがこちらを向く。
凄く動揺しているようだ。
どうしたんだ、一体・・・って、うおおおおおおおおお!!
「駿、お前も男だ。やはり女性と眠るとなるとやはり手は出せずにいれないか」
俺はひとりで納得した。
「ご、轟騎!何故止めに行かない!?」
「何言ってんだ、彼らはあんなにも愛し合っているじゃないか」
「あ、愛し合ってる!?あああああああんなことしていてか?」
「うむ、君も好きな人ができれば分かるさ、きっと。好きな人とはあんなことをしたいものだ」
愛の伝道師・小野崎轟騎は語る。
「ん・・・何の話してるの?」
眠そうな目をしたつばさちゃんがふっと起き上がってこちらを見た。
「単刀直入に言う。駿と千秋さんがやってる」
「へぇ・・・そうなんだ」
特に異論はないようで。
「な、何であんなこと・・・」
「あれ、もしかして刹那ちゃんって処女?」
「つかつばさちゃんは処女じゃないんだ」
意外だ。
こんな感じの子が・・・。
「うん、だいぶ前に駿くんに抱いてもらったよ」
・・・え?
ん〜、あ!
理解した。
「うん、駿は浮気したってことだな」
「だね」
本当に眠そうで微笑みにも眠気が混じっている。
起きているのもつらそうなので、もう寝ていいよと言ってみる。
すると、すぐ寝た。
「終わったみたいだ」
「フィニッシュしたようだな・・・にしても駿の奴、なんてしぶとい・・・」
どうやら駿はかなり強力なようだ。
と、んなことはどうでもいい。
行きすぎないようにしないと。
「・・・寝るの早いな、奴ら」
二人はそのまますぐに寝てしまった。
30分後
「どうなってる?」
今度は骸が目を覚まして、中を覗いた。
その瞬間だった。
中から妙にまばゆい閃光が走り、俺達を包んだ。
そしてそれを直視した骸の反応。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、目があああああああああああああ、めぐわああああああああああああああああああああああ!!」
まあ、悲鳴をあげた。
骸の断末魔を聞きながら、俺が瞼を開くと・・・。
「うわぁ、なにこれぇ」
そこは、まさに桃源郷でした。