最終章第5話 魔女狩りが行われた理由がよくわかりました
オレが目を覚ましたのはあれから数日後らしい。
千秋が宿を手配してそこでつきっきりで看病してくれたそうだ。
「・・・おはよう」
「お、おはよう!?よくそんなことが言えますね!駿はもう数日間目を覚まさなかったというのに!!」
「あ・・・ああ、たぶんただの疲労だから」
「疲労でこんな・・・どんな奥義を使ったのですか?」
「あの兵器を全て氷漬けにするくらい強烈な奥義」
なお、先日千秋が奴を殺した場所は違う基地でした。
「ふう、よくもまあそんなことができますね」
「当たり前だろ?オレの奥義を舐めないでほしいな!」
「そう言う意味ではありません!こんなになることくらい予想できなかったのですか?」
そっちの意味ね・・・ははは・・・。
千秋の目が怖い・・・。
「良いですか、駿は悪魔と契約しているとはいえ、元は人間なのですから彼らよりも力が劣るのは当然です」
コキュートスはオレの気の範囲を超えていたから妖刀からの気の補充が間に合わなかったようだ。
「・・・ごめんなさい」
「分かればよろしい」
千秋がいつも以上に強気なのはなぜだろうか。
「お二人さん、早くお逃げなさい!」
宿屋の主人がいきなり部屋に入ってきてそう言い放った。
今は別に何もしていなかったからいいけど、やってたら気まずい雰囲気だったろうな。
「何が起きた?」
「魔女が現れたんだよ!!」
魔女?
「凶悪ではなければ魔女くらい簡単に退治できるが」
「それが凶悪なんだよ!店を杖から発せられる光線で焼き払い、商品を盗んでいくという」
極々普通だな。
普通の盗賊と何ら変わらないだろ。
「んじゃ、見てくるわ」
「兄ちゃん、逃げた方が身のためだよ!!」
「駿なら大丈夫ですよ、私が保証します」
駿に続いて千秋も部屋を飛び出して行った。
「ん〜、どこにあるんだろうね、時空を超える球は」
魔女と思わしき人物発見!
スゲー砲撃。
普通に店だけが跡形もなく・・・。
しかも都合よく商品だけ残ってるし・・・。
・・・これじゃあ魔法使いじゃなくて魔砲使いじゃねぇか。
ん・・・魔砲使い?
・・・。
「あら、お久しぶり」
ここ数カ月姿を見ていないとすっかり忘れるもんだ。
周りの奴らはこんな人がいたなぁって思うだけだろうが、オレはこいつだけは忘れない。
オレがどれだけ強くなっても決して勝てない究極の魔法使い、もとい魔砲使い。
「片瀬はやて・・・19歳!」
「年齢まで言わなくてもいいのよ、ね」
「ギリギリ20代になってませんね」
「つか19歳だっけ?(※作者も忘れました)」
えっと、確かこの話が始まったのが中二の12月。
沖縄に修学旅行に言った話から始まったんだよな。
そん時にオレが14歳。
はやて姉が18歳。
あれから二年経ってるから・・・。
「ごめん、20歳だった」
次の瞬間、オレは死を体験しました。
「んで、はやて姉は何時からここにいるの?」
「二月ほど前からかな」
「大分いるんだな。オレもここんとこ本部にも学院にも姿を見せていなかったからはやて姉がどうしているのかさっぱりだった」
「・・・駿、おかしいですよ」
え?
何が?
「つい最近、1週間前にはやてさんからメールが来ていますから」
え?
「どうやらあちらの世界とは時間軸が違うみたいね。内容は忘れたけど最後にメールしたのがここに来る前の二カ月前だもの」
そうか・・・よくわからんが、それで納得しておこう。
「そう言えばはやて姉はこの重力平気なのか?」
オレと千秋はエスナの力で重力の影響を軽くしている。
ざっと地球で暮らしていた頃の重力と同じくらいの重力で。
「私にはそんなものは通用しないわ!私を誰だと思っているの!!」
まさに悪魔を超えた悪魔。
恐らくエスナと戦っても互角に戦えるだろう。
下手すりゃ勝つよ、この人。
「あ、駿くんは知ってる?異次元に飛ぶことのできる伝説の秘宝があるということを」
「そんなものがあるのか?」
「私の仕入れた情報が正しければ」
「私たちは異次元に飛ぶことのできる洞窟という情報を仕入れましたが」
「異次元に飛ぶ方法は沢山あるのか、それともどれかが誤りなのか」
「ひとつひとつ潰していく必要がありそうですね」
全く、面倒なことに巻き込まれたものだ。
「それじゃあ、先に洞窟を目指しましょう。私の情報は、どこにあるかすら分かっていないのだから」
「確かここより少し戻ったところにあるそうですよね」
「ジーサンはそう言っていたな」
行くあては決まった。
今はそこしか手がかりがない。
少しでも早く元の世界に戻るには、小さな手がかりでも調べてみるしかない。
「決定だ。明日、洞窟に向かおう!」
そう言ってオレは体力を温存するために、寝た。
「寝るの早いですね」
「ふふ、昔から何かのイベントの前日にはこうだったからね」