最終章第4話 奥義と洗脳。最終的にミサイル犯を討ったのはどちらでしょう
「軍はここか」
案外現代的な場所なんだな。
あの村を見る限り未だに騎士とかそんなんだと思えるんだが。
まあ、ミサイルとか戦闘機とか使うくらいだし。
それにしてもあんな平凡な村にミサイル飛ばす奴はどんな奴だろうか。
相当ジーサンに恨みを持っているのだろうな。
それじゃ、喧嘩売りますか。
「うおおおおおおおおおおおおおおおい、ミサイル撃ってきた奴だせや!!」
ちょっと怒鳴ってみました。
「ミサイル?ああ、大佐のことですね?」
大佐・・・それなりに地位のある奴か。
「んで、そいつは?」
「そこにいますよ」
・・・。
なんだあの小僧。
「おまえ、スゲー目つき悪いな」
「生まれつきだ!つか何の用だよ」
「ミサイル撃ったのお前か?」
「ああ、そうだよ!あのクソジジイのことを思い出していらだったからぶっ殺そうかと思ったんだよ!」
恨みを買うようなジーサンじゃないと思うんだけどな。
まあいい。
オレはオレの仕事をするまで。
「ジーサンの依頼で貴様を抹殺する」
「んなことできるかよ!この軍勢、兵器を前にして俺を殺すってか?無理にも程がある!」
その言葉を聞いてオレは少し顔に笑みを浮かべ、刀を抜く。
「駿、その笑いは少し不気味ですよ」
千秋曰く、不気味だそうだ。
「私も私で少々お手伝いさせてもらいます」
「ん?何を?」
「私も一応洗脳することはできるのですよ。もうずっとその模写がなかったためにすっかり忘れ去られていると思いますが」
んー、確かにそんなことで来ていたな。
あの時は錬磨を潰すのに頭がいっぱいだったから、そのことは頭の片隅に置き去りにされていた。
「はっ、俺の軍を舐めるな!そんな近接戦闘武器で俺の軍を蹴散らせると思っているのか!?」
「余裕だ、行くぞ、ハヤブサ!」
「了解」
オレは刀に気を集中させる。
そして刀の妖気が形を作り、隼の姿を形成した。
これが真の妖刀の力だ。
刹那に教えてもらった甲斐があった。
「オレの奥義を舐めるな!」
「なんだかしらねぇけど最後に勝つのは技術の上の方だ!」
技は、オレの方がある!
幾千ものKFやらMSやらASやらマキナっぽいものやらなんやらを相手にオレは余裕の表情で刀を振る。
みせてやろうじゃねぇか、オレの奥義の最終形態を!
あのミサイルで死んだジーサンのためにも!!(※村長は死んでいません)
「神・十五代一刀奥義・ラグナロク!!」
刀を兵器に次々と刺し、大破させていく。
この技の前ではフェイズシフトもラムダドライバも関係ない!
あらゆる力を無力化した上に攻撃が加わったものを全て大破させる。
正直この技はオレの全ての気を呑みこむほどの力を持っている。
一撃一撃にオレの全ての力を使うほどの気力が必要である。
それをオレの妖刀やエスナが肩代わりしてくれている。
妖刀の気はオレよりもはるかに多く、その上エスナの力も働いているから消費量も減る。
ここにいる兵器を全て大破させた後、でも100回ほどは使えるだろう。
「ば、化け物かお前は!?」
「ふふふ・・・もはやオレは悪魔と同類だ」
「更に天使の加護も付いている・・・最上級の熾天使の加護となればこの世のあらゆるものを凌ぐ力を持っていると言ってもいいだろう」
オレはもう人間とは呼べない力を持っている。
もう、戻れないんだ。
「止めにしようか」
オレは刀を構えなおす。
「神・十代目一刀奥義・コキュートス!!」
オレが力を解き放った瞬間、基地全体が氷漬けになった。
絶対零度やアブソリュートゼロの比ではないほどに。
そして同時にオレは倒れた。
「・・・ここまで力を使うものだったとは・・・」
何事にも予測不能なことはあるものです。
良い教訓になりました。
なお、コキュートスは刀を地面に刺して発動するので、刀は必要である。
そして神・奥義と真・奥義の違いについて。
真・奥義は聖剣および魔剣の状態で発動するものである。
神・奥義は妖刀の状態のままで聖剣および魔剣の力を開放するという無駄に難易度の高い技術を使用した上で発動できるというこれまた無駄な奥義である。
なお、妖刀の状態で聖剣および魔剣の力を発動した例は海底で刹那がキリュウから龍を具現させていたときである。
その無駄に高い技術とは、魔力を妖刀と同調させることである。
気や魔力が同じ周波数にならなければ妖刀の状態で聖魔剣の力を引き出すことはできない。
「く・・・なんだあの剣士!?俺の兵器を全てぶっ潰しただと!?こうなったら援軍を呼ぶしかない!おい、お前!早く援軍を呼べ!」
「それはできない相談です、大佐」
「え?」
「残念ね、私の包囲網からは逃げられませんわ」
逃げおおせてきた小僧は気付けば軍人たちに囲まれていた。
もちろん、銃を構えて。
そしてその中心には千秋が魔性の笑みを浮かべながら立っていた。
「な、何故だ・・・お前ら、俺を裏切る気か!?」
「決して彼らは裏切ったわけではありません」
「じゃあ何なんだよ!!」
千秋はここで軽く微笑んだ。
「私の、洗脳魔術です」
「洗脳だと!?」
「私は目を合わせた者を意のままに操ることができます。もっとも、魔力抵抗が強い人には私の力が及びませんが。まだまだ私も未熟です」
「ありえない・・・魔術など・・・この世に存在するのか!?」
「残念ですが、存在します。私は何人もの魔術師を知っています」
「そ、そんな・・・ありえん・・・そんな非科学的なことなど・・・!!」
「知っていますか?中世では化学は悪魔の技術として恐れられていたことを。世界は悪魔によって作り出されたものと言っても過言ではないのですよ」
そうらしいです。
なんかの文献に書いてあったような気がします。
「俺は・・・俺は・・・」
「どうしますか?場合によっては私は見逃しますよ」
「こんなところで死んでたまるか!!条件はなんだ!!」
「そうですね・・・それじゃあ、地べたを這いずり回って「私は犬です」とでも言ってもらいましょうか」
「ふ、ふざけんな!そんなことできる訳ねぇだろ!!」
そう言うと小僧は隠し持っていた銃を突き出した。
「死ね、お前ら!!」
「そうですか、残念です」
千秋がそう言った瞬間、銃声が響き、大佐が大地に身体を沈めた。
「うう・・・」
「私は駿以外の前ならいつでも残虐になれます。そこまでして生きていられる人は駿以外にはいませんよ」
それを聞いた大佐は、冷たい地面に横たわる身体を重そうに動かし、少し笑って息絶えたのであった。