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片瀬の日々  作者: STORM
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番外編:誕生日だと言う事をすっかり忘れていたという

駿の誕生日なので・・・。

4月7日午前1時




オレと千秋が一緒に寝ている時、急に千秋がこんなことを言い出し始めた。


「せっかくなので、誕生日パーティでもしましょうか」


「え?」


千秋の誕生日はまだまだのはずだけどな・・・。

「お前の誕生日はまだだろ?」

「何言っているんですか、今日はあなたの誕生日じゃないですか」

ん・・・そうだったような。

誕生日なんてたかが生まれた日だ。

何故祝うのかさっぱりわからん。

歳を取ることを祝うとはな。

死に近づいただけじゃねぇか。

「何でそんなことすんの?」

「年に一回ですから、このくらいお祝いしないと」

「いや、別にいいよ」

ガキの頃はよく誕生日で騒いでたなぁ、みんなが。

オレは誕生日に祝う理由もさっぱりなかったから別に喜びもしなかったけど。

おめでとうと言われてもさっぱり理由が分からん。

「・・・何?」

「プレゼントは何が欲しいですか?だいたいのものは用意できますが」

プレゼントねぇ・・・。

そう言えばもらったこと無いな。

しいて言えば梨瀬・・・か。

「梨瀬も1歳なんですよね」

「早いなぁ」

「それで、プレゼントは何がいいですか?」

そう言われてもなぁ・・・。

「・・・分かりました。こちらで用意しますから、楽しみにしていてくださいね」

まあ、千秋のくれるものなら何でもいいか。



そうして千秋はパーティの準備をし始めた。

勿論、千秋は電話で命令しただけで、後は寝た。

かわいい寝息と共に。












10時間後



オレは梨瀬と遊んでいた。

千秋が朝起きた時から全く見かけなかったので、適当に朝食をとって、梨瀬にも適当になんか食わせて、普通に遊んでいた。

梨瀬はオレにかなり懐いている。

・・・このままじゃファザコンになりかねねぇ!

まずい、あの未来が現実になっちまう!

未来は変えて見せるさ!


そんなとき、オレのケータイにメールが来た。

そう言えば1年くらいケータイを変えてないな・・・と思いつつ、オレはメールを見る。

つばさからだ。

随分久々に出てきたなぁ。


駿くん、今暇?

それなら今からみんなで遊ばない?


だそうです。

みんなが誰かはだいたい分かっているので聞かない。

そしてオレはメールを返す。


娘と遊んでいるからまた今度にしてくれ


・・・と。

普通なら娘と言われたらかなり驚くだろう。

この年齢で娘と言われてもな。

まあ、奴らなら理解してくれるだろう。

だが、奴らはこう返信してきた。

何故かつばさじゃなくて骸からメールが来た。


それじゃ、お前の家に行くわ。


「つばさじゃねぇのかよ」

と、ひとりで突っ込みながら、本を読んでいる梨瀬をちらりと見た。

どんな絵本を読んでいるのかな・・・と。

梨瀬も梨瀬でオレの予想を裏切ってきた。

「ろ、六法全書だと!?」

「うん、これとっても面白いよ」

り、梨瀬・・・君は本当に1歳か!?

「ど、どこがどう面白いの?」

オレは恐る恐る聞く。

「この国がどんな事をしちゃいけないのか、どんなことはしてもいいのか分かるもん」

・・・。

我が娘は既にオレを超えていた・・・。

「覚えたの?」

「まだ全然覚えてないよ」

ははは・・・それでも法律なんてオレにはさっぱりだ。

戦争放棄とか銃刀法違反とか基本的人権の尊重くらいしか分からん。

そのうちオレは2つも違反している。

戦争は普通に行っているし、刀も普通に持っている。




オレが焦りを見せている最中、奴らはやってきた。


「駿ー、勝手にはいるぞー」

「お、おじゃまします」

骸とつばさがやってきた。

「あれ、二人だけか?」

「うん、そうだよ」

轟騎が来ると思っていたが。

「その子、駿くんの子供?」

「ん?まあ・・・そうだけど」

「何読んで・・・なにぃ!?俺には一生かかっても理解できないような本じゃねぇか!!」

オレもさっきそれを実感しました。

「こんなに小さいのにもうそんなの読んでるんだ!私なんてそれ読み始めたの小学校5年生からだよ」

「充分はえーよ」

どうしてこうも頭のいいお方たちが集まるのでしょう。

馬鹿組と普通組が途轍もなく情けなくなってくる。










そんな感じで時が過ぎ、夜。





オレにメールが来た。

千秋からの様です。


梨瀬とそこにいる二名を連れて椎名家に来てください。


だそうです。

流石椎名家の情報網。

彼らが来ていることはお見通しですね。

「で、お前ら行く?」

「俺は別にいいよ」

「私も帰ってもひとりだし、それよりだったらみんなで一緒に」

「分かった。目を閉じてろ」

面倒だから瞬間移動を使う。

便利ですね、天使様。

だが、いくら天使最強の熾天使であっても、神には勝てない。


「行くぞ!」


そしてエスナのセリフはない。















椎名家に着きました。

普通に着きました。

そこで見たものは。

「駿、今日ここで国際的トップが集まるパーティでもやるのか?」

「え、じゃあ来ちゃいけないんじゃないの?」

「千秋は来いと言っていたんだ。それに、オレは裏の世界では名は知れているからな・・・と、そんなことはどうでもいい。行こう」

オレが扉を開けると、やはり国際的トップが沢山いました。

そして、彼らは急に拍手を始めた。

「え?」

「駿、お誕生日おめでとうございます」

あ?

あ、あ、あ、あ・・・そうか、誕生日か。

何が嬉しいんだかさっぱり理解できなかったが、今はなんか嬉しく感じる。

「あ、そうか。今日は駿の誕生日だったっけ。忘れてた」

「オレもだ」

「ほ、本人が忘れてるよ・・・」

「今日の朝言ったじゃないですか」

「ん・・・覚えてないや」

多分寝ぼけてたんだ。

「ふふ、それでもいいですけどね。これは誕生日プレゼントです」

千秋がひとつの小さな箱を差し出した。

「ありがとう」

なんだろうか。

「開けてみてもいい?」

「どうぞ、あなたのですから」


箱を開けると、そこには指輪があった。

「指輪?」

「はい、婚約指輪です。まだ渡していなませんでしたから」

「こ、婚約指輪って・・・普通オレがあげるものじゃないのか?」

「関係ないですよ。でも、私の誕生日にも指輪をくださいね」

千秋がニコニコと微笑んだ。

「分かった。楽しみにしていてな」

千秋のためだ。

世界一の指輪職人でも探して作らせるかな。


「さあ、今宵はパーティを楽しんでくださいね。それでは!」


千秋のその声で、その場にいた全員は乾杯した。


「「「「「乾杯!」」」」」





ある程度歳を取ってくると誕生日は全く嬉しくないものになります。

ええ、そうです。

ガキの頃はあんなに喜んでいたんですが・・・。

今考えたら何を喜んでいたのかさっぱり理解できません。

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