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片瀬の日々  作者: STORM
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第11章第6話 今明かされる駿が錬磨を嫌う理由

「完成間近だな。にしてもよくこの数週間でここまでできたなぁ」

「財力ですよ。この世はほぼ全て金で何とかできますから。それでも何とかできない場合は黒魔術などなど・・・」

「・・・おい」

「あ、大丈夫ですよ。愛だけは自分自身の力で勝ち取らなければならないと思っていますから」

千秋さんは本当に恐ろしい。

椎名財閥の資産なら何でもやってのけるし、さらに戦略などは千秋さんのその天才的な頭脳で全て立てられる。

完璧な布陣だ。

この国の二大財閥の片割れはこんなにも素晴らしい当主であるにもかかわらず、もう片方の次期当主は腐ってやがる。

毎日毎日家でエロゲやってるような奴だからな。

「だいたいなんだよ、あのフィギュアの数・・・」

二大財閥の片割れ、一条財閥次期当主・一条錬磨はオタクである。

俺はオタクを否定はしない。

文化の発展によって生まれた一種の思想家だからだ。

だが、あいつは有り余る金を活用してとんでもない数のフィギュアを購入、更にコスプレの服・・・俺は詳しくは知らないけど・・・それも半端ない数を持っている。

本人曰く、彼女ができたら着せて楽しむ、だそうだ。

別に俺は止めないけど・・・二次元と三次元・・・間違えるなよ?


「どうしました、さっきからぶつぶつ呟いて」

「いや、二大財閥の次期当主を比べていたら明らかに一条財閥が失脚すると確信を持った」

「・・・あなたは、タイムスリップというものを信じますか?」

「ん?そんなの科学的に不可能だろ」

何言ってんだ?

千秋さんらしくない。

「いえ、可能です。ですが、今は魔術に頼った方がはるかに楽に時空を越えることができます。私は先日、駿と未来に行って二大財閥の行く末を見てきました」

「で、どうなった?」

「一条財閥は、完璧に失脚していました」

だろうな、だいたい予想はできていた。







「出来る限りこの学院には最新技術を組み込みたいと思っています」

「最新技術?たとえば?」

まあ、この人の財力を持ってすれば何でもやってのけそうだけどな。

「セキュリティ面から既に最新です。不審者や不審行動を行っている生徒がカメラに映った瞬間、未来から取り寄せたアンドロイドで襲撃します。一応、生徒は捕獲だけですけど」

「ほ、捕獲って・・・」

な、なんかレベルが・・・。

てか未来から取り寄せたのかよ・・・。

「でもカメラに映らないとそのシステム作動しないんだろ?」

「はい、でも一部屋に8台カメラを設置するので、まず死角はありません」

・・・レベルが違い過ぎる。


「駿はこの学校を喜ぶでしょうか」

「ああ、間違いなく喜ぶよ」

君が作った学校だからな。

仮にこれを錬磨が作ったとしよう。

駿は絶対にこの学校を潰すだろう。

理由?

錬磨だからに決まってるじゃん。

あいつ錬磨が大嫌いなんだよ。

「錬磨が作ったらぶっ壊すだろうけどな」

「どうしてですか?」

「駿が錬磨を酷く嫌っているからだ」

「駿ってなんで錬磨と仲が悪いのでしょうね」

「話せば長くなるが・・・」

丁度いい、前回の仕返しでもしてやろうか。









駿は錬磨が嫌いだ。

何故かと言うと、


第一に、ガキの頃から俺と駿が格ゲーやらレースゲームやらなんやら二人でやってると、錬磨はいきなり電源切ってギャルゲーをやりはじめるから。


第二に、小学校の頃に駿が好きだった女の子からバレンタインデーにチョコレートを貰ったのが錬磨だったから。

もっとも、その後錬磨の本性が知られるが。

駿は相当根に持つタイプである。


第三に、昔駿がやってたゲームのチートなしで最強に仕立て上げたデータを錬磨が消したから。

あの時の駿の怒りようはヤバかった。

木刀だったが、本気で斬りかかってたからな。


第四に、駿がやってたカードゲームの駿の切り札を錬磨がジュースで濡らしたから。

駿は今そのカードを再び手にしたらしいが、オークションで数千円する代物だったらしく、相当根に持ってるらしい。


第五に、駿の木刀を折ったから。

その時は珍しく駿は怒っていなかったが、後ではやてさんが修学旅行のお土産で買ってきたものと知り、はやてさんに酷く怒られたということがあったため、恐らくこれも要因だろう。


第六に、錬磨がくれたパンがカビていたから。

いくらパン好きの駿であってもカビたパンは相当不味かったらしい。


第七に、駿がバレンタインデーにもらったチョコレートが錬磨が送ったものだと知ったから。

あの時、俺もその場にいたが、正直引いた。

いくら錬磨でもそんなことはしないと思っていたからだ。

あの時の駿の顔は本当に真っ青だった。




とまあ、錬磨を嫌う理由のほとんどが錬磨が悪いことばかりである。

その上、駿は相当根に持つタイプだから錬磨を許すわけがない。



「これが駿が錬磨を嫌う理由だ」

はっ、しまった、5分で終わってしまった!?

「そうですか。それにしても駿と私の気は合うものですね。私も錬磨は好きではありませんから」

錬磨、俺もお前は好きじゃねぇよ。

てか、嫌いだ。

お前は俺にはない、金とルックスを持っているからな!!

そう考えれば駿もか・・・まあ、駿は親友だし。

錬磨の性格も影響してるんだと思う。









「そう言えば、あの子はどうしたのですか?」

「あの子?」

「前回校長から送られてきた子」

ああ、あいつか。

「校長に送り返した。今は校長の孫と仲良くやってるらしい」

「そうですか、良かったですね」

「・・・記憶が戻ったら大変なことになるかもしれないけどな」


ぜひともこのまま何事もなく一生を終えてください。

俺はそれを祈るばかりです。

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