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片瀬の日々  作者: STORM
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第11章第5話 10分で千秋さんの昔話兼厭味は聞き飽きました

あの女は校長に預けた。

人生経験が恐らく全世界で一番多い校長なら打開策とかも知っているだろう。

ま、あいつに頼むのは気に食わないけど・・・まあ、何とかしてくれるだろう。


「・・・基盤はできてきたな」

「ええ、これも轟騎のおかげです。とりあえず一番先に高校を作ります。あなた方の為に・・・ね」

ニコッと千秋さんが微笑む。

この笑顔の裏で何考えてるか分からないからこの人は怖い。


「駿たちが帰ってきたらみんなで私の高校に通ってくださいね。世界トップクラスの高校教師を連れてきますから」

「オレ達の複学も・・・そう遠くはないか」

この人はこのプロジェクトに相当力を入れるようだ。

日本でもトップクラスの教師は1時間かけて教えることをたったの10分で教えるそうだ。

とんでもないスキルだと俺は思う。

尊敬するわ、純粋に。


「轟騎、校長から電話ですわよ」

「え、あ、はい」

『轟騎、この間の女だが・・・』

「あ、・・・ああ」

『この間の戦闘で完璧に記憶を無くしてる』

ああ、そう。

「って、だからどうした?」

『お前が連れてきたんだから、お前が・・・責任取れよ!』

ひょ?

電話が切れた。

「エ、何ヲ言ッテイルノカナ、アノクソ校長」

滅茶苦茶棒読み。


「あら、轟騎。宅配便よ。あなた宛てに」

・・・ちょ、まさか・・・。


中には俺の予想通りあの女が寝ていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「う・・・ううん・・・ああ、パパだ!」

え?

ちょ、どゆこと?

パパって・・・おい。

「轟騎、校長から電話よ」

「死ねやクソ校長!何送りつけてんだよ!」

『彼女は助けられたときの記憶を辿ったのか、お前を父として認識している。じゃ、頑張れよ、パパ』

う、うぜぇ・・・。

普通に電話切るし・・・。


「・・・轟騎、柚季さんに連絡しましょうか?」

「いえ、結構です。つーかしないでください」

絶対に消されるから。

絶対に。

てか柚季に双子の姉妹いたよな・・・まあ、たぶんあいつはもう出てこないし。

柚季曰く、故郷に帰ったそうだ。

まあ、柚季はとんでもない炎魔法を使う割に、あっちはさほど大きな魔法を使うこともできないらしいし。

生まれる時に宿る魔力が柚季に偏ったんだろうな。


「それで、彼女の名前は何て言うんですか?」

「それが・・・こいつ、生まれた時から実験動物にされてたらしくてさ、名前らしい名前がないんだよ。しかも記憶を失ってるし」

下でゴロンとしている女を見て言う。

よく見ると大分色気がある。

ぺったんこの柚季とは大違いだ。

と、まあこれを聞かれたら火葬されてしまうのでここまでにしておこう。

「轟騎、無知なこの子に変な事を教えてはいけませんよ・・・ふふふ」

わ、笑ってねぇ!

顔が笑ってねぇ!

「なんかさ・・・千秋さんって駿といる時は滅茶苦茶デレデレしてるけどさ、他の奴らといるときって・・・」

「駿を愛しているからですよ。話せば長くなりますが、駿と出会ったのは今から10年以上前の話でして・・・」

な、なんか話し始めたよ・・・。












四時間後


「私はそれでも駿と一緒にいたかった。その時、私は自分の頭脳を呪いました。何でこんなに頭がいいんだろう・・・と」

「それ今までの話聞いてない奴らが聞いたらただの厭味にしか聞こえないぞ?」

今までの話をざっとすると、たまたま出会った駿と一緒にいるうちに離れたくなくなったらしい。

それを全て話すのに四時間かけているのだ。

しかも明らかにどうでもいい話も混ざっている。

「私は駿に初めてを受け取ってもらいました・・・初めて感じた唇は、とても柔らかかったです」

「それキスの意味で言ってるだろうけど最後の一文聞いてなかったらたぶんあっちの意味で解釈されると思うぞ?」

確か番外編でこんな話をしていたな・・・。

骸が・・・つばさに・・・。

「私は早く帰れるように一生懸命勉強しました。まあ、私の頭脳を持ってすれば何でもありませんでしたけれど」

い、厭味だ・・・。

余裕で厭味だ・・・。

「私は帰りました。ですが駿は一向に私のことに気付いてくれず・・・毎日苦しい日々を過ごしました。あのときは大学にいた時よりも苦しかったですね」

「・・・だからもういいって」

「私は幼女の時代よりも、ずっと綺麗な女なっていたので駿も気づかなかったのでしょう」

もう・・・いい加減にしてくれ・・・。

厭味は聞きたくない・・・。














暫くして話は終わった。

「というわけなのです」

明らかに俺が知っているようなことまで話し始めて、結果的に話し終わるまでに6時間を費やした。

俺は、人生で一番無駄な時間を過ごしたと感じた。

「では・・・何の話でしたか?」

「俺も忘れたよ」

そりゃ忘れるわな、6時間も話してればな。

「・・・轟騎、この荷物?」

「・・・ああ、そうだ。こいつの名前を付けるんだ」

「ポチでよろしいのでは?」

「犬じゃねぇから、そもそもオスじゃねぇから」

「荷物の中は・・・女の人じゃないですか!?轟騎、どうしたんですか!?」

「校長から送られてきた。記憶喪失らしいから「お前が飼え!」だとよ」

どうせ覚えてないだろうから反論もせずに話した。

「俺も好きでこんなことしてるわけじゃねぇよ」

「ですよね、轟騎が女の子を監禁して犯罪者まがいのことする訳ないですからね」

あの顔絶対に疑ってるだろ!?

ったく、駿以外にはそれほど優しくないんだからよ・・・。


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