第11章第3話 校長再び!そして今明らかになる校長の謎
「さてと、今日は何の用?」
俺は千秋さんに呼び出されていた。
「駿が戻ってくる頃には学校の基盤はできているでしょうね」
「は?」
「そうでした、本日の依頼は駿の高校の校長に届けてほしいものがありまして」
「校長・・・なんか嫌な予感が・・・」
俺の予感は的中した。
「お、轟騎じゃん。元気だったか?」
「こ、校長・・・やっぱりお前だったか・・・」
そう、我が出身中学校の校長!
本名不詳!
「だいたいのことは聞いている。さっさと例の物を出せ」
「ほらよ」
俺は千秋さんから受け取った箱を渡した。
そして校長は箱を開ける。
「な、何それ」
「あ?椎名が作ろうとしてる学園都市のミニチュア」
い、いつの間にか学園都市になってる・・・。
随分凄い出来だな。
「ちなみにこの学校の校長やることになってるから」
「はいはい、そうですか」
「そう言えばお前の名前ってなんだよ」
「校長だ!校が苗字で長が名前だ」
え、まさかの「校長」ですか。
「お前・・・もはや校長になることを運命づけられた存在だな」
「そうだ!明治時代の頃から校長やってるさ!」
「てめぇ、一体何歳なんだよ!?」
「もう数えるのも面倒だ・・・軽く300歳は超えてるかな。魔術で体を再編成してるから老化しないのさ」
すげぇ高度な技術じゃねぇのか、それ。
「禁術・不死鳥。その名の通り不死鳥の如く体の一部が死んでもすぐに再構築される。心臓が死んでも約1秒で元に戻るからもはや死にはしない」
「・・・禁術か・・・知ってる限りでははやてさんの魔砲と、千秋さんの洗脳だけだったけどな」
「氷室椿姫という奴も禁術・千手の使い手だ。戦場に赴いて人殺してるらしいからそろそろ完全体の1000本に到達するんじゃねぇか?」
「いや、俺そいつしらねぇから」
俺はそう呟いた。
「じゃ、校長として依頼を出そうかな、轟騎に」
「あ?」
「本格的な仕事だ。千秋が学園都市を創り、そこの理事長をすることに納得のいかない奴らが多いのは知っているよな?」
「ん、まあ・・・既に数人殺してるし」
「・・・最近はある一人の訴えによって賛成派が増えてきているが、まだ反対派の奴らが多い。だが、今のままではこの国の教育は変わらない。人間は進化する、文明と共に。この300年、ずっとそれを見てきた」
あ・・・こいつ300歳だっけ。
「自分としてはどうしてもこのプロジェクトを成功させたい。だが、最近どうも変な噂が流れていてな」
変な噂?
なんだ?
「椎名千秋の暗殺」
「マジかよ!?」
「冗談だ。敵対組織の介入。テロリスト・・・ってとこか。そいつらが反対派に手を貸したという噂が広まっている」
・・・教育者がテロリストと手を組んでいいのかよ・・・。
「そいつらを、殲滅しろと?」
「ああ、生憎今は駿もいないからな。お前ひとりでやってもらうことになる」
「問題ないさ。何とかなる」
厄介な仕事が入っちまったな・・・。
と、まあ現在。
依頼を受けて一部の反対派の会議のガードマンとして乗り込んでいるわけだが。
「・・・今のところ、影響はないか」
部屋の中でどんな話が進められているかはわからない。
だが、盗聴器を仕掛けてある。
そこから校長側に直接転送し、録音してもらっている。
俺は盗聴器の回収まで待つ。
それまでにテロリストが来たら、抹殺。
それが今回の任務だ。
「・・・来たか」
明らかにテロリスト。
人の目を欺けているようではあるが、あれは明らかに銃を隠し持っている。
「警察でもない、スーツ姿の外人・・・か」
今は見逃しておこう。
あいつと反対派の会話も気になる。
それに、侵攻を始めるときは校長から指示が下る。
自らの判断で動いてもいいが、今はその時ではない。
暫くして、校長から連絡が来た。
『反対派が多数怪我をしたようだ。銃声が聞こえる』
中は完全防音だから外からじゃ聞こえないんだよな。
・・・行こう。
テロリストの殲滅に。
「大丈夫か、お前ら?」
中は、地獄としか表現方法がなかった。
死傷者は反対派の半数にも上り、テロリスト数名が銃を構えていた。
「貴様ら、人の命をなんだと思ってるんだ!」
このセリフはいてから思った。
お前が言うな。
・・・と。