第10章第6話 魔王の間にたどり着くのはどうやら無理なようです。
人造人間を撃破したオレ達は先に進む。
なんか錬磨が余裕で生きていたらしく、今じゃ呑気に歌を歌ってる。
もちろん、アニソンだ。
オレはアニソンを全否定するわけではないが、錬磨が歌う奴は否定する。
明らかに女が歌わないとキモい歌を何故男が歌う!?
確かにカッコいい歌とかあるよ?
でも・・・おい・・・。
錬磨はまだ歌が上手いから聞こえはいいのかも知れないけどな・・・。
「どうした、駿。俺の華麗な歌声に感動しているのか?」
さ、シカトだな。
「っと、次の扉だな」
「なあ、駿。開かねぇぞ?」
「おい、どーすんだ?おれじゃこの扉ぶち壊せねぇぞ?」
「銃でもビクともしないし」
「やはり刀の錆に?」
さあ、困った。
どこかの変態にお力を見せていただきましょうか。
太陽クラスの核なら瞬時に吹き飛ばせるだろうな。
だが・・・オレのプライドが許さない。
「オレがやる。一刀奥義・真一文字!!」
扉に縦に一本線が入った。
文字通り縦に線が入った。
え、何かって?
このまま線が入ったら一気に真っ二つを思い浮かぶだろうが、これは文字通り縦に線が入っただけだ。
つまり、掠り傷を少しつけただけ、以上!
「・・・・・・こりゃ無理だわ」
「居合ならなんとかできるかもしれない」
刹那がそんなことを呟いた。
確かに、前話で話した通りオレの奥義より刹那の奥義の方が一撃の重みはある。
だが、
「・・・・・・・・・・・・・・・なぜ斬れない!?」
「さて、どうするかね。見た感じ鍵も存在しないようだし」
<目の色・・・この王家の紅い瞳を認識させなければ開かない。ここは王族直系の者しか立ち入ることはできない。・・・だが、先に私は力を使ってしまったために当分は表に姿を出すことはできない。力の使いどころを誤ったな>
しっかりしろよ。
どうやって開けようか。
この王家の者はリリィしか存在しないし。
おそらく未来のリリィはこの先に存在するものを欲して、オレに委ねたのだろう。
この先には何があるんだ?
<王家に伝わる究極の剣・カタストロフ。彼は意志を持ち、そして次元の扉を開き、その次元の狭間で万物を破滅に導くと伝わっている。王家の者は二十歳の誕生日にここに立ち入ることができる。だが、私が二十歳になる前にこの島は水没してしまった・・・見ること無くして命を絶ったから>
「意志を持つ剣・・・か」
「ん?妖刀のことか?」
刹那が急に呟いたオレの言葉に反応する。
「・・・妖刀・・・そうか、妖刀か。この先には妖刀があるんだ」
<この先には行ってはならない。先の姫君の話を聞いただろう。あの剣は我が作った。唯一西洋剣に宿した妖刀。奴は今はカタストロフと名乗っているようだが、我が全身全霊を尽くして封じ込めた魔王・べリアルなのだから。現在、ソロモン72柱の悪魔・べリアルはその写し身。真の魔王は復活の時を待っているのだろう。妖刀を、封印のために作ったのは奴が最初で最後。その他の妖刀は全て、永遠の命を欲し、更に極限状態だった者だけだ。お前が天使を封じ込めたときと一緒だ>
大賢者様の恐れ戦いた声がオレの心に響く。
「そう・・・なのか」
<無論、奴を封じ込めるには幾千の命が散って行った。そして、奴こそ最後の剣。我が異国の・・・さらに時代も違うところで命を落とした原因でもある>
大賢者様にそんな過去が・・・。
「私を共に連れて行ってくれなかったのは・・・そんな理由があったからなのですね」
ルインが姿を現し、悲しそうな目で呟く。
その視線は地に刺さっているが、オレに向けられた感覚があった。
「そんな剣があるなら、なおさら入らなきゃいけないだろう・・・その剣が後に災いをもたらすなら、今のうちに破壊すべきだ」
<それは違う。災いをもたらすのは・・・カタストロフではない。カタストロフの力を開放する者が、全ての妖刀を揃えてここに訪れるはずだ。カタストロフの封印は我が作った全ての妖刀を生贄に捧げなければならない。・・・生贄と言う表現は少しおかしいかもしれないがな。その者が未来の貴様を破滅に導いたのだろう。だが、数年間何事もなかった。それは明らかにおかしい。そしてそこから導き出される答えはひとつ>
・・・何だ。
「その答えは?」
<既に世界は滅ぼされた。そして、再度構築された。人は記憶は完全に引き継いだまま、魔力が完全にない世界に。事実未来のお前から完全に我らが消滅し、お前は平凡な一般市民に戻っていただろう?ただ、魔力では無く生命力を要する貴様の姉の禁術は残っていたようだがな>
世界を再構築・・・そんなことができるのか?
・・・ありえない。
常識的にありえないだろう?
「マジそんなの常識的にありえないって」
「駿、既にお前は常識の通用しない世界に踏み込んでいるだろう?」
今まで黙っていた骸が口を開いた。
「常識が通用しないなら、それを常識にしてしまえばいい」
いや、無理だって。
流石に世界の再構築は無理でしょう。
<恐らくカタストロフを発動させた者は・・・魔法を相当恨んでいたのだろうな。魔術師の家に生まれながら魔力の一片もなかった・・・そんな人間しかやらないだろうな>
「カタストロフを、先に確保すればいいんだな?」
<そうだ。そして、お前が力を発動しろ・・・発動したら必ず何かを破滅に導かなくてはならない。カタストロフを破滅に導き、そして再度再構築するのだ・・・無害な妖刀にな>
「・・・それには、扉を開けないとな」
数時間が経った。
皆が力を結束し、全ての力をぶつけてもこの扉は壊れない。
多分オリハルコン製だわ、これ。
「せめてあの龍の力が使えれば望みがあったかもしれないけどな・・・」
「龍ってお前を三国時代にぶっ飛ばした龍?」
「ああ、そうだよ」
「その力に頼ってちゃダメだろう。他を探そう」
「まあ、確かにな。他の部屋を回ろうか」
諦めて他の部屋を回ることにした。
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