第8章第3話 ヨーロッパへの長い長い道のり、そしてそこで聞いた闘技場のお話
先日、報酬を手にしたオレたちは剣を探しに旅を始めた。
あいつとの決着のためだ。
強力な剣を手にしなければな。
恐らくヨーロッパの方に行けば良い剣が見つかるだろう。
「即急に元の時代に帰りたいし、急ごうか。剣を手に入れなきゃ始まらない」
「なら早くディソードを見つけることだ」
「何でディソード知ってんの!?」
お前いつの時代の人間だよ!?
オレの時代か!?
それにオレギガロマニアックスじゃねぇし!?
「まあ、気にするな」
「いや滅茶苦茶気にするよ?オレだってその単語知ったのこの間だし!?」
やはりこれは半ば錬磨の押し付けである。
錬磨はいきなりゲームを送りつけてきたりするので困ったものだ。
まあ、メタルギアとかモンハンとかグラセフとかを知ったのも錬磨のおかげだからその点では感謝しないとな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・一瞬でも錬磨に感謝したオレがバカだった・・・。
何もきっかけがないのにそう思った。
感謝の気持ちを思い浮かべた瞬間そう思った。
「で、これがこの世界の地図なのか?」
「簡略して書いたが、だいたいこんな感じだ」
オレは世界地図を描いて見せた。
この時代の人々は世界がどのような形をしているのか知るはずもないしな。
「この国には大刀程度しか強力な武器はないだろう?青龍刀は剣は剣でも薄くて苦手だし」
ポールウェポンはでは剣術の奥義を使うことはできない。
長すぎて鉛刀一割や真一文字くらいしか無理だ。
「で、この辺りに行くと」
進路をインドではなく、ヨーロッパへ変えることにした。
西遊記より長い距離だぞ?
しかも、今どこにいるのかすら分からないしな!
シルクロードを使っていくか。
それとも別の道を選ぶか。
あー、こんなんだったらシルクロードオンラインやっとくんだった!!
いっつもいっつもモンハンばっかやってたからこんなときに裏目に出た!!
・・・もうどうでもいいや。
とりあえず西に向かおう・・・。
数週間、西に向かっていると、やがて近くの雰囲気が変わってきた。
「大分西の方にいたんだな、オレたち」
「私たちとは違う顔立ちをした人が多いな」
「そりゃそうさ、ここはヨーロッパだからな」
来てるぜ!!
ここらで良い鍛冶屋でも探さないと。
と言うわけで近くの人に聞いてみた。
「ここらで物凄い鍛冶屋はいないか?」
「・・・・・・・・・?」
あ、言葉が通じてないか・・・。
「出でよ、リア!!」
困った時の天使様。
いやあ、便利だね。
本当に便利だ。
通訳してくれるからな!
「・・・・・・・・・・・ここにはいないと?」
「マジかよ!?」
い、いないのかよ・・・。
「えっと何々?そんな鍛冶屋がいたらとっくにこの村は平和になっている?」
「・・・なるほどね」
なまくらな武器しかないから盗賊とかにもやられると。
「別にオレはなまくらでもその辺の盗賊とかは全て倒す自信はあるさ」
「確かに、ここまで来る間出会った山賊はみな武器を使わず易々と倒していたな」
ああ、そうだったな。
以前に比べてオレは数々の戦いを繰り広げてきたからな。
まだ16歳とは思えないほどの。
ゲームや漫画では16で世界を動かすようなことを成し遂げている奴もいるが、そんな奴らよりは小さなことだがかなり経験を積んだと思う。
おかげで以前は弱かった武器を使わない喧嘩も、素手でも大体の人間は倒せるようにはなっていた。
「なら王国の闘技場に行ってみたらどうだと、行っているぞ?」
「通訳してたのかよ!?」
「何やら非常に強い剣闘士が一人いるらしくてな、そいつにかかればどんな猛者や猛獣も易々と殺られてしまうらしい」
・・・え?
何それ?
・・・オレは挑戦するべきか・・・。
「丁度、現在そいつを倒したものに一生遊んで暮らせるだけの金貨が与えられるらしい。何やらそれを見せものに王族は楽しんでいるらしいな。優秀な兵士もあっさりと・・・」
もう聞きたくねぇ・・・。
止めてくれ・・・。
「主なら何とかなる。どうだ?一度出てみてはどうだ?」
「おい、一年ほど前に闘技場でオレがドラゴンに殺されかけたことあっただろ!?」
「昔の主とは違うだろう?わらわの力を借りるほどでもないわ」
・・・仕方ねぇ・・・そこまで言うなら。
「剣を手に入れたらやってみるよ・・・」
オレは折れました。