第7章第1話 本部に向かいましょう、どんな手を使ってでも逃げましょう
オレは今、総本山の前に立っている。
ここまで来るのにさほど時間はかからなかったが、それでもかなり長く感じた。
「ここは被害には合っていないか・・・」
無事でよかった・・・。
オレは玄関から進入した。
全く被害には合っていないな。
そして、千秋の部屋に着いた。
「千秋!!」
そこには千秋がかなり忙しそうにいろいろ資料を見回っていた。
「駿!ここにいては危険ですよ!すぐに狙われます!」
「何言ってんだ!オレはおまえを連れに来たんだ!」
「私は対抗する兵器はどれがいいか、見漁っていただけですよ」
・・・戦う気かよ・・・。
「とにかく、お前も逃げるんだ。この戦争は、オレが食い止めるっ!」
千秋の手を握ってオレは走り出した。
次は梨瀬の元に!
「梨瀬っ!」
梨瀬の部屋には、梨瀬がすやすやと眠っていた。
こんな顔してられるのが羨ましいな。
そしてこの子は将来ファザコンになるのか・・・って、オレがそうさせるか!!
未来のオレはどんな育て方したか知らんが、オレは普通の娘に育てるんだ!(予定)
そんなことより早く逃げないと。
オレは梨瀬を抱きかかえた。
「千秋、これを食い止めるのは日本だけじゃないさ。こんな惨劇を止めるのは世界だ」
「駿は世界の中心に立っている人間だと思います。ここで一番惨劇を最小限にとどめることが可能な人は、駿たちなのですから」
確かに現状では日本は戦争を仕掛けることはできない。
仮にアメリカが戦ったらそれこそ惨劇が拡大してしまう。
となると、やはり内部破壊で食い止めるしかない。
「一度本部に戻るか。予定時刻まではまだあるが、行ってみるか」
オレは車を動かして学校に向かう。
「駿、あなた免許持っていないでしょう!?」
「大丈夫だ!よく轟騎と頭文字Dやってたからな!」
やってたというよりやらさせられていた。
オレはレースゲームは苦手なのに!
珍しく錬磨はやらなかったんだよな。
それより、後ろから戦闘機が迫ってきてる。
よくここを見つけたな。
総本山は空からは発見しにくい。
それに椎名一族に連なるものしか知らないはずだ。
まあいい。
ここも突っ切ってやるさ!!
オレの魔法で錯乱も始める。
魔力が足りないが、そこは千秋に供給してもらっている。
ここを抜ければ作戦本拠地、山中高校だ!
オレはいろいろな思いをアクセル込め、それを強く踏んだ。
予定時刻になった。
亮平、よく全員集められたな。
中には湊みたいな他の県から来た奴もいるってのに。
まあ、そんなことは後ででいい。
作戦を決行する!
「行くぞ、みんな!オレが描いた魔方陣に入ってくれ!!」
グラウンド全体に描かれた魔法陣。
そこからロンドンに飛ぶ。
魔力不足で足りないとも思えるが、そこは何とかなる。
オレが沢山の天使を召喚した上に、彼らも天界から仲間を呼んできてくれた。
彼らの魔力があれば、この作戦は成功する。
そう、絶対に。
「主、もういいか?」
「ああ、何時でもいい」
リアが瞬間移動魔法を詠唱し始めた。
他の天使もそれに続いて詠唱を始める。
そしてオレも(オレ自身は瞬間移動魔法を使うことはできない)。
「いざ、本部へ!!」
魔法陣は太陽のようにまばゆく輝き、そしてその光が消えたときにはそこにいた人々はみな、光と共に消え去っていた。