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アーサーには敵わない  作者: 空木鉄也
1.英雄だからこそ
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プロローグ

小説を書き始めました。

何卒、よろしくお願い致します。


「……とりあえず、目標は達成か」


 そうつぶやく16歳の少年の目の前には画面。

 

 その中にさっきまで激しい戦闘を繰り広げていた騎士が立っていた。

 騎士の名前は「アーサー」。

 彼の背丈は丁度六頭身ぐらいで、竜の模様が刻まれた甲冑を着ており、背中には、これもまた竜の模様が刻まれた大剣を担いでいる。

 首元には青いスカーフが巻かれ、風にさらされてなびく。

 圧倒的なまでに、その風貌からは強者のオーラが滲み出ていた。

 

「さすがです、アーサーさん。完敗です。まさか、本当に100連続勝利を収めるなんて」


 そう言って、アーサーに手を差し出してきたのは青を基調にした甲冑を着る、これもまた同じ騎士。

 彼は先ほど、アーサーと戦い、敗れた者だった。


「いやいや、全然大したことないですよ。こちらこそ良い闘いをさせていただきました。ありがとうございます」


 アーサーはその差し出された手を握り、頭を下げてお礼を言う。

 そんな彼の行動を見てか、青の騎士は慌てた様子で「いえいえ、こちらこそ戦っていただきありがとうございます!」と恐縮そうに何度も頭を下げてきた。


 お互い、頭を下げ合う変な空気を作りながらも、ようやく最後の挨拶を終えて二人は石レンガで築き上げられた闘技場から”ログアウト”した。

 

 

      ■ ■ ■

 

 

「おつかれ様でした……と」


 アーサーと名乗る”アバター”を操作していた少年は、そのアバターが動くゲーム内のチャットに、先ほどまで相手になってくれていたプレイヤーに向け言葉を打つ。

 キーボードをたたく軽い音が自室の中に響くと同時に、暗くしていたその部屋に薄明かりが差した。

 

「ぐっ……目が焼ける」


 ゲームからもログアウトし、パソコンの前から立ち上がると少年は窓に近寄り閉めていたカーテンを開く。

 そして、朝の光が出迎えると同時に、一言。


「もう朝か――



 て、これやばっ! 小便出てまう!! 我慢しすぎたぁっ!!」



 バタバタッ! と少年の住む家の中で、階段を駆け下りる音が響いた。





 これは「ソーシャント・ブレイブ・インフィニティ」と呼ばれるゲームで、


 「英雄」と呼ばれる彼――、


 ”アーサー”の物語である。


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