……あれ?正体ばれました?
「すみません……取り乱しました。」
「良いんだ。気にしないでくれ。」
あのあと、個室にフランと一緒に通されてギルドマスターさんに謝られました。
冒険者が新人に突っ掛かるのはこちらの教育がなっていなかった、と。
いや、逆に私が申し訳なかった。ギルドマスターさん見て錯乱しちゃったし。
「しかし、お嬢さん強いんだなぁ。Eランクとはいえども三人だぞ?同ランクで数に劣った状況でよく勝てたもんだ。」
「いや、それほどでもないですよ。」
うん、ホントに。
「……ところで、お嬢さん。」
「はい?」
「お嬢さん、人間じゃぁないだろ。」
………え?
ばれ、た?
いやいや、え?何で?
どこかにばれる要素あった?
「いやー。いくら鍛えてるとはいえ、大の大人の男三人に勝てるなんてなー、と思ってな。その様子だと、図星か?」
あ、やべ。しらを切ればよかった。
でも、大精霊の子供だということはばれてないようですね。
うーん…。正直に話して、氷の大精霊が人間側だと思われたくないしなぁ。これから動きにくいし。
……うん。大精霊の子供ということは話さないでおこう。
「えーっとですね、私、獣人なんです。狐の。」
……いるよね?獣人いるよね?
「ほう、獣人か……。」
「私、わけあって人里離れた山奥で暮らしてきたんですよ。だから常識とかよく分からないのですが、獣人って珍しいんですか?」
「いや、そうでもないぞ。普通に街中で暮らしてるし、冒険者の中にもいる。ただ、獣人は身体能力が高いのに引き換え、魔力が低いんだよな。お嬢さんは姿を変える魔法を使ってるだろ?そこまで魔法を使いこなせる獣人はそうそういねえな。」
なるほど。そうなのですね。
「こゆきって獣人だったんだね。俺すっかり人間だと思いこんでたよ。俺もまだまだだなぁ。」
……まあ、魔王様お墨付きですからね。
「ねえ、こゆき。お願いなんだけど、獣人の姿見せてくれないかな?此処には俺とギルドマスターしかいないし、ね?」
「はあ、別にいいよ?」
何でそんなの見たいのかな?まあいいけど。
えーっと、耳を狐耳に変えて、しっぽを出せばいいかな?
さてと、くるりんぱ。
「おおー!かわいい!」
「見事な魔法だな……。」
……うん。何だか照れますね。
褒められなれてないものですから。
まあ、嬉しいですけど。はい。
ーバーン!
「!?」
な、何だ!?急に扉が!
「こゆき!」
「って、スノウ!?」
何故大精霊ともあろう貴方が此処にいるんだい!?
「私のレーダーが反応しました!今のこゆきを見なければならないと!」
何そのレーダー!怖!
「はあああ!可愛いです!これが萌えというやつですね!私、生きててよかったです!」
やめろ!抱き着くなー!
わあっしっぽもふもふしないでー!
「すまない、こゆき。俺には止められなかった。」
ま、魔王様!?
というかあんたら人里に出て来ちゃ駄目だろ!
「大丈夫ですよ。殆どの人間に顔は知られていませんから。それより今はこのモフモフを堪能することが大事です!」
「わああ、ちょ、くすぐったいって、は、あははっ、ちょ、あはははは!ヘ、ヘルプー!」
そこのギルドマスターさん!フラン!ぼーっとしてないで助けて!
「諦めろ。こいつの気が済むまで撫でさせてやれ。」
「馬鹿ですねぇ。そんなの永遠に来ませんよ。」
「たーすーけーてー!」
そのあと見かねた魔王様がスノウを引っぺがしてくれたお陰で助かりました。
「え、えと、そちらは?」
「あー。私の父と、その友人様です。」
「「こゆきのお父さん!?」」
はい、そうです。
「何と言うか、うーん……。」
「こゆき、マトモに育ってくれてありがとう……!」
あ、うん。まあ、そういう反応ですよね。
「ああ、こいつからマトモな子供が生まれたなんて、奇跡だよな。」
魔王様までも。
ていうかスノウけっこうボロクソ言われてるのに気にしてない。鋼の精神ですね。
「これからはくれぐれも娘のことをお願いしますね。」
「はい。わかりました。こちらが責任持ってお嬢さんを見守らせていただきます!」
……微妙な心境ですね。
私ってそんなに頼りなく見えます?
「さて、そうと決まれば帰りましょう。こゆきがいない時間は暇で暇で仕方ありませんでしたよ。」
「これからもっと長い時間帰らなくなるのに………。」
「まあ、次は止められるように俺も努力する。」
「申し訳ないです。」
自分の親が他人様に迷惑かけると思うといたたまれないですね。
しかも自分が関わっていると尚更。
あ、そうだ。二人に挨拶しとかないと。スノウが今にも帰りそう。
「ギルドマスターさん。これから親が迷惑かけるかもしれませんが、よろしくお願いします。」
「おうよ!」
「フラン、またね。」
「うん。またね。」
さて、明日からは依頼をこなしていきますか!
そして、スノウも何とかしなければ!
……ぐだぐだな上に短いですね。
これから精進します。