ランクアップと、パーティー結成
「受付嬢さん、依頼の達成報告の受付お願いします。」
「畏まりました。」
さて、無事に王都にたどり着いたので、早速ギルドで達成報告です。これをしないと達成したことにならないとか。忘れないようにしないとね。
依頼書とギルドカードを受付嬢さんに渡せば依頼達成の受理をしてくれる。便利ですねー。
「確認が終わりました。依頼達成おめでとうございます。こちらが報酬です。」
「ありがとうございます。」
報酬が入った袋を受けとる。
んー、まあ、まずまずの料金だと思う。雑魚の群れだったし、ブラックライオンは入れてないし。
「それから、条件を達成しましたので、ランクを一つ上げる事ができますが、どうしますか?」
え、もう?まだ一つしか依頼達成してないんですが。
「ランクを上げるためには、一定の依頼をこなす必要がありますが、それとはまた別に、ランクを上げる方法があるのです。」
「あ、そんなのがあるんですか。」
「はい。方法は性別やランク、年齢等によって内容が異なります。こゆき様の場合、ブラックウルフ五十匹の討伐が条件になっていたようです。」
ああ、そうなんだ。さっきの依頼では余裕で百匹は討伐したからなぁ。フランの出番を奪って。
「しかし、その条件は達成するまでギルドマスター以外では分からないようになっていますから、達成するのは運しだいですね。」
じゃあ私は運が良かったのか。前はくじ引きでもお菓子三袋しか当たった事ないのに。
「じゃあ、ランク上げます。」
「畏まりました。では、カードをこちらの水晶にかざして下さい。」
【 名前:こゆき ランク:D 職業:便利屋 】
お、ランクの所が書き換えられましたね。
………職業の所は、ちょっと、うん。少し後悔してる。
「終了しました。ランクアップおめでとうございます。」
「ありがとうございましたー。」
結構あっさりとランクアップできたなぁ。もっと大変なものだと思ってたんだけど。
まあ今回はラッキーでできた感じですけどね。
「こゆきー!」
あ、フランだ。
「どうだった?」
「うん。通常よりも遥かに毛皮の質が良かったから、高く買い取ってくれたよ。それより、本当にいいの?売れたお金半分ももらっちゃって。これはこゆきの獲物なのに。」
「いいよいいよ。だってフラン、雑魚ならみんな狩ってくれたじゃん。私は大物少数より、雑魚多数の方が苦手なの。だからすごい助かったんだ。だからお礼。」
前世の時から、私はいくら雑魚といえど、数が多くて面倒な作業は苦手だったから本当にありがたかった。
それに、私はスノウがいるから生活には困らないだろうけど、フランは自分で生活費を稼がなければならないから半分くらい当然だ。むしろもっと持っていっても大丈夫なんだけど、フランがどうしてもと遠慮したから半分になった。
「……分かったよ。」
渋々といった感じで受け取ってくれた。
フランはお人良しだな、本当に。こういう時は素直に受け取ってもいいんだけどなぁ。
「あ、そうそう、フラン。ランク上がったよ。」
「え、早くない?」
「条件が達成できたから。ブラックウルフ五十匹討伐が条件だったよ。」
「………いいなぁ、俺一回も達成したことないのに。」
……あ、そうなんだ。
「まあとにかく、ランクアップおめでとう。それから、ちょっと提案なんだけど……。」
ん、提案とな?
「俺達二人で、パーティー組まない?」
へ、何故に?
フランって確か孤高とか言われてるんじゃなかったっけ?
「実は俺さ、今まで機会がなくて一度もパーティー組んだことないんだよね。別に困ることはなかったし、特に一生懸命パーティー組もうと努力したことはなかったんだけどさ、Zランクになってからは恐縮したり、打算的に近づこうとする人ばっかになっちゃったんだよね……。」
……何と言うか、ご愁傷様。それでぼっちだったんだね。
「こゆきは、どちらかというとどうでもいい感じだよね?」
「まあそうだね。能力さえあればそれ以外はどうでもいい。まあ性格腐った人とかは嫌だけど。」
「そうそう。そんな感じの人とパーティー組みたかったんだ。俺はどちらかというとサポートするのが性に合ってるし、大物よりも、雑魚多数を相手にする方が得意だと思うし、こゆきと合うと思うんだけど……どうかな?」
うむ。
確かにそういうサポートできる人がいると便利だし、魔物の討伐効率も上がる。
それに、フランは魔王を敵視しているわけではなさそうだし、私としてもパーティーを組んでもらえるのはありがたい。
ただねぇ……。パーティーを組むということは、それだけ一緒に行動することになり、そうすると私の正体がばれる可能性が高くなる。
大精霊の子供なんて、人間にとっては脅威だろう。実際に見て分かったけど、人間に比べて精霊の魔力は遥かに高い。
私が、スノウやノワールから見ればひよっこだとはいえ、その気になれば人の国の一つや二つ、滅ぼすことも可能だ。
フランだって馬鹿ではない。そのことに気がつくこともできるだろうし、私から離れた方がいいことくらい気がつく。
もしそうなったとして、私はたえられるのだろうか。私は、仲間から恐れられるという事が何よりも怖いのだ。
「駄目、かな?」
「っ、いや、是非パーティーを組ませてよ。これからよろしくね。」
……でも、指し述べられたその手を拒めるほど、私は強くない。
「ありがとう。よろしく。」
だったらせめて、その時がくるまで、私はその手のために生きよう。
前のように、いつ別れがくるか分からないのだから。その時に後悔しないよう、頑張ろう。
「……あ!そういえばこゆきのお父さんに許可とらなくて大丈夫!?」
「え?別にいいんじゃない?」
「いや、俺いつか怒鳴り込まれそう。」
「大丈夫だって!」
「………不安だ。」




