1話『好奇心』
あるところに、この世界を創った神様がいました。
神様は1人で全てを創り上げていきました。
最初は空。
思い切り青をぶちまけ、宇宙との境目を創りました。
次は太陽。
空を明るく照らしあげました。
次は水。
透明でひんやりと冷たいそれは、溜まって海となりました。
静かに手で掬い、一口。
「……」
自然と口角が上がる。神様は不思議な感覚になりましたが、それを表現できる言葉を知りませんでした。
いや、まず言葉という概念がありませんでした。
少し疲れてしまった神様は、海の中でゆらゆら揺れながら、その大きな目で空を見ました。
創ったばかりの蒼々とした空に浮かぶ、眩しい太陽。
神様は目を閉じ、水の中へと沈んでいきました。
__どのくらい経ったのでしょうか。水の中から出てきた神様は、周りを見渡しました。
自分が創ったもの以外何も無い世界。
いつまでも何も変わらない世界を見て、神様は少し寂しく思いました。
___…そうだ、私と同じものをつくろう
神様は1人でいるのに飽きてしまいました。
だから、自分のようなものが増えたらどうなるのか見てみたかったのでしょう。
ただ、見てみたかっただけ。
それはただの好奇心からでした。