starting story 2
運命の交差点であります♪
この辺りでもかなり有名なアイス屋『バーアイス』ネーミングはどうかと思うが味は確かだ。
そして一番驚いたのがアイスの種類だ。ざっと50はある。
あいつはチョコにしたけど…俺はどうしよ…。そんなことを考えながらさっきまでにあったことを整理する。
実際、あり得ないことが起きてるんだよなー、もしかしたらこれ事態全部夢かもな。そんな究極的なことを考えながら、ふっと横を見ると―
あの子がいる。美味しそうにアイスを頬張る。見ているだけで幸せになれそうな、そんな笑顔を浮かべながら―、その時トクンと自分の胸が波打った気がした。
「俺はバナナアイスで―」
簡単な挨拶と同時に代金を差し出し…あの子の隣にあっ、そういえば名前聞いてなかった。大問題に今気づき、話し掛けようとした、その時―
「キャァァーーー」
甲高い悲鳴が辺りに響く。
俺はすぐに行動することができなかった。ここは店舗も並んでいる商店街、つまり安全地帯だ。悲鳴が聞こえること事態おかしい。
だが聞こえたのは確かだ。
…だが―、周りの人間は一歩も動かない……何で?
「一真くん、いこっ!」
その声に弾かれるように悲鳴のした方向に走り出した。
いかにもファンタジー世界のゴブリンといったところか?そんな大男が女を片手で弄んでいる。そのとなりには取り巻きが二人。
「おらお前ら金出せよ。もってんだろ?ああぁぁぁあ?イヤダァァ?なめてんじゃねえよ。いい子だから、な?な?」
「い、イヤァァ!」
女の短い悲鳴が聞こえる。
「そんなに嫌なら…そうだな。体で払ってもら―」
会話が途切れた。―その理由は男が宙を舞ったからだ。
「女の子を大人数でいじめるなんて、かっこわりぃ…」
ボソッといってのけたのは救世主『水谷一真』
親分は今さっき一真の蹴りで空を飛び、―今落ちた。
取り巻き二人が親分に駆け寄る。
「大丈夫っすか、親分」
「くそっ、あいつやりやがった」
「親分を敵に回すとは」
「全くバカなやつだ」
まるで稽古でもつけたかのようにすらすらとそれだけをいったあと取り巻きは親分の巨体に隠れる。親分はのそっと起き上がる。
「おい、テメェ!よくも俺の獲物を…」
「獲物?」
獲物、そうかこいつらは人のことをそう見ているのか。そう考えたとき、寂しさを少し感じたあと、怒りが込み上げてきた。
「何回目だ?」
「んぁ?」
「何回やったかって聞いてんだ」
あくまで冷静な声を浴びせる。この世界にもこんなくそみたいな連中が…
「覚えきれないんだなぁ、これが。人ってのはすぐにつぶれて、つまらん。だが、潰れる瞬間のあの顔は何回見ても飽きねぇな」
ここで思考は強制的に遮断された。
怒りに任せて戦うことは負けを意味する。どんなことにも言えることだ。格闘技でも怒りに任せた攻撃はどうしてもぶれてしまう。だから今にも爆発しそうな怒りを懸命に沈める。目の前の敵を倒すために目の前の敵に怒りをぶつけない。矛盾しているようだが、大切なことだ。
もう二度とあの惨劇は繰り返さない。
頭を戦闘モードに切り替えるのは難しかった。右手にナイフのイメージ、少し揺らいだがしかし、はっきりとナイフは現れる。
大男の方も体長の半分程度のこん棒を出す。
「そこ動くんじゃねえぞ!若造!」
もちろん動かないわけがない。大男の攻撃の一撃は重そうだが当たりそうもない。こん棒が頭に降り下ろされるが、難なく右へ左へサイドステップでかわす。
大男のこん棒攻撃はことごとく当たらない。大きなモーションから繰り出される攻撃は何度も空をきる。そのたびに大きな隙ができる。
ハッと気合いを入れながらがら空きになった脇や腹、
腕などを切り刻む。
「クソッ!クソッ!」
大男は叫びながらこん棒を振り回すがそのたびに傷を負う。
もう何回切っただろう。意識は極限まで加速されていた。大男の傷口からは白い光が漏れている。夢世界の仕様なのだろうか、血はでない。
このまま押しきる!そう判断した瞬間―
「動くな!!」
限界まで加速されている思考の中、視界の端に写った。
一人の少女とそれを取り押さえる二人の男。
あいつは…
案内してくれた女の子。
アイスが好きな女の子。
そして何故か一緒にいたいと思った女の子。
この状況は?
加速している意識の中でも判断するのに時間がかかった。一人の少女を取り押さえる二人の男。そしてその男が放ったで有ろう一言『動くな!!』
…人質?
ここまでの思考に至るまで全然気づかなかった。大きな影が自分に接近していることに―
グシャ…鈍い音がした。視界が大きくぶれた。ずれる平衡感覚。後ろに引っ張られるような感覚。
痛みを感じ始めたのは視界がブラックアウトする直前だった。
終わりかた雑です。ごめんなさい
そして更新は気分です