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転生したら巨人でした。~人間サイズの街を踏まないように生きるの、難しすぎるんですけど~  作者: nekorovin2501


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第8話 魔王の城と、巨人の覚醒

闇の森の最深部に、黒い塔がそびえ立っていた。

魔王の城。

高さは俺の巨大化時の倍近く、頂上は雲を突き刺すようだ。

周囲の空気は重く、息苦しい。

霧が濃く、視界を遮る。

鳥のさえずりも、風の音も、何もない。

ただ、魔力の脈動だけが、地響きのように響いている。

俺たち四人――人間サイズの俺、エルウィン、グラム、リナ――は、塔の前に立っていた。

剣を腰に差したまま、深呼吸をする。

「ここまで来た。後戻りはできない」

エルウィンが弓の弦を確かめながら、静かに言う。

「魔王の気配……これまでで一番濃い。気を引き締めろ」

グラムが斧を肩に担ぎ直し、髭を撫でる。

「わしらの仇、今日こそ討つ! 家族の無念、晴らしてやる!」

リナが俺の手を強く握る。

小さな手が、震えていた。

「ケンタ……絶対、生きて帰ろうね。約束だよ」

俺はリナの頭を優しく撫でる。

「約束する。みんなで、村に帰るんだ」

塔の門は、まるで俺たちを招き入れるように開いていた。

中に入る。

廊下は広大で、天井が高い。

俺が巨大化しても、まだ余裕がある。

壁には古いレリーフが刻まれている。

巨人族の歴史。

人間との共存、魔王戦争での裏切り、そして絶滅。

俺の胸が、ずきりと痛んだ。

「俺の先祖たち……こんな目に遭ってたのか。許せねえ」

進むごとに、魔物が現れる。

今までの森とは違う。

単体で、圧倒的に強い。

最初に出てきたのは、デスナイト。

黒い鎧を纏った亡霊の騎士。

剣に闇の炎が宿っている。

俺は剣を抜く。

巨人族の遺産――光の剣が、淡く輝く。

「来い!」

デスナイトが斬りかかる。

俺は剣で受け止め、押し返す。

衝撃で廊下がひび割れ、破片が飛び散る。

エルウィンの矢が、隙を突く。

「心臓を狙え!」

風の魔法を纏った矢が、鎧の隙間を貫く。

デスナイトが膝をつき、崩れ落ちる。

さらに奥へ。

罠の部屋。

床が突然回転し、毒の針が四方から飛んでくる。

リナが悲鳴を上げそうになる。

俺は即座に巨大化。

体を盾にし、針をすべて受け止める。

皮膚に刺さるが、巨人の耐性で毒は効かない。

グラムが斧を振り上げ、床の機構を破壊。

「これで通れるぞ!」

エルウィンが回復魔法を俺にかける。

「ケンタ、無理しないで」

「大丈夫だ。行こう」

階段を登る。

一歩ごとに、魔力が重くのしかかる。

リナの息が荒くなる。

「ケンタ……怖いよ」

俺はリナを抱き上げる。

掌に乗せて、優しく言う。

「俺が守る。絶対に」

最上階、玉座の間。

巨大な扉を開ける。

中は広間。

中央に、黒い玉座。

そこに、魔王が座っていた。

人間の姿だが、角が生え、背中に翼がある。

肌は灰色、目は血のように赤い。

ゆっくり立ち上がり、笑みを浮かべる。

「ようこそ、最後の巨人よ。待っていたぞ、佐藤健太」

俺の名前を知っている。

転生者のことまで。

俺は剣を構える。

「封印を解いたのはお前か?」

魔王が低く笑う。

「そうだ。巨人族の力で封じられたが、時代が変わった。人間の欲望、領主のような愚か者たちが、私を呼び覚ました」

すべて繋がっていた。

魔物の増加、村への攻撃、鉱山争い……魔王の布石だった。

戦いが始まる。

魔王が手を振る。

闇の波動が、津波のように襲う。

俺は光の剣で斬り裂く。

波動が散る。

魔王が嘲る。

「面白い。だが、まだ本気ではない」

魔王の体が膨張する。

20メートル、30メートル……俺と同じサイズに巨大化。

翼を広げ、飛ぶ。

爪が俺の胸を狙う。

俺は剣で防ぐ。

火花が散り、衝撃で壁が崩れる。

エルウィンが援護射撃。

矢を連射。

「弱点を狙え!」

グラムが突進。

斧で脚を斬る。

魔王が蹴り飛ばす。

グラムが壁に激突。

「ぐはっ!」

リナが叫ぶ。

「グラムさん!」

俺が魔王に飛びかかる。

剣を振り下ろす。

胸に浅く入る。

だが、闇が即座に再生。

「無駄だ。私の心臓は、闇そのもの」

魔王が嘲笑。

「巨人よ。お前も闇に染まれ」

魔王の目が光る。

精神攻撃。

俺の頭に、幻覚が流れ込む。

前世の退屈な日常。

誰も信じられない孤独。

会社での冷たい視線。

死んだ瞬間の虚無。

「くそ……!」

体が震える。

膝が折れそうになる。

その時、リナの声が響く。

「ケンタ! 思い出して! 私たちがいるよ! 村のみんなが、待ってる!」

エルウィンが叫ぶ。

「立て、ケンタ! 君は一人じゃない!」

グラムが這い上がりながら。

「仲間じゃ! わしらと一緒に戦え!」

俺の目が開く。

胸の奥から、光が湧き上がる。

巨人族の遺産が、完全覚醒。

体がさらに巨大化。

50メートル級。

剣が巨大になり、光が爆発的に輝く。

「これが……俺の本当の力か」

魔王が初めて驚愕の表情。

「何……この光は! ありえん!」

俺は全力で突進。

剣を振り上げる。

魔王の胸に、深く突き刺す。

闇核に、光が貫く。

魔王が絶叫。

「ぐあああぁぁ! こんな……はずでは……!」

核が砕け散る。

闇が爆発。

俺はリナたちを守るように、体を張る。

巨大な体で、みんなを覆う。

光が闇を飲み込み、爆風が収まる。

魔王の体が崩れ落ちる。

灰となり、風に散る。

玉座の間が、静寂に包まれる。

俺は人間サイズに戻る。

疲れ果てて、膝をつく。

リナが駆け寄る。

「ケンタ……勝ったね。勝ったよ!」

涙を流しながら、抱きついてくる。

エルウィンが微笑む。

「やった……本当にやった」

グラムが立ち上がり、笑う。

「ははは……仇、討てた。家族に、報告できる……」

塔が崩れ始める。

俺はみんなを抱えて、脱出。

巨大化して、塔の外へ飛び出す。

森の外に着く。

朝日が昇る。

闇の森が、光に包まれる。

黒かった木々が、緑に戻り始める。

花が咲き、鳥の声が戻る。

俺たちは丘の上に座る。

リナが俺の肩に寄りかかる。

「これで、平和だね。みんな、無事でよかった」

俺は頷く。

「そうだな」

前世の俺は、ただ生きていただけ。

今は、世界を救った。

守るものができた。

巨人の体が、こんなに誇らしいなんて、思わなかった。

仲間たちと、未来を語る。

村に帰ろう。

みんなで祝杯を。

俺の新しい人生は、ここから本当の意味で始まる。

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